29話 白い世界
悲報。ユナは死んだようです。
でも痛みはありません。
気がつけば、そこは真っ白な世界で、雲の上のよう。ギリシャにあるみたいな、柱と屋根だけの神殿が遠くに見えた。
ユナは大きな手の上にいて、見上げれば微笑みを湛えた端正な顔立ちの天使様と目が合った。天使様は白い羽根を背負ってるけども、着ている衣装は黒色で、この世界では異質な感じがした。
天使様は神殿に向かって歩いていた。
「何で!?まだ約束の日には早いはずよ!!」
メイリーンの声がして、ユナは横を見た。天使様の左手にふわふわとした丸い塊がのっている。
あ!これがメイリーンの魂ね。ってユナも魂じゃん!ふわふわするしか出来なくて、ユナは超びっくりした。
「想定外の事態が起きた為、急ぎ招集をかけた。今より監査が行われる」
「今から?……約束が違う」
メイリーンは黙り込み、ユナは前を向いた。
想定外。それはきっと、ユナたちが揉み合い、一緒に死んじゃったからに違いない。
死……。
じわじわと涙が溢れ出てくる。ユナは未練タラタラで、ただ、どうしようもなく悲しかった。それが伝わったのか、ユナの魂を見た天使様が困った様にユナを揺らす。
「大丈夫、怖くない。そんなに泣いては溶けてしまう」
ユナは揺らされながら、縮こまり、みんなの事を想って泣いた。
「参ったな……大丈夫だろうか。ちゃんと話ができるといいが……」
ユナが泣いている間に神殿に着いたみたいで、天使様が膝をつき頭を下げ、ユナとメイリーンの乗る両手を掲げるのが分かった。
「監査をお願いします」
目の前には個性的な大きな人……きっと神様が5人?いて、皆で豪華な食事の乗った長テーブルに付き、談笑していた。
ここは多分、神様の領域に違いない。ユナは裁かれる予感に更に縮こまった。
「まずは監査が早まった理由について知りたいわ」
ナイスバディな女神様がまったりと言った。天使様は顔を上げた。
「2つの魂は16歳を迎えるまで、命が失われる事がないよう、共に守護されておりました。しかし、2つの魂は出会ってしまい、共に争い、命を奪い合う結果となってしまいました。その為、監査を急ぎ取り行う事を、提案させて頂きます」
「なるほど。我々は2つの魂が出会う事を想定していなかった。加害者が被害者の居場所を知れば、再び命を狙う事は必須。今回の監査は2つの魂を比べる事に重きを置いていた為、片方が死ねば、加害者であっても生き残れる可能性がある。これもまた、我々のミスだ。タイタロスに顔向け出来んな……」
厳つい顔の神様が顎に手を置くと、彫りの深い彫刻顔のイケメン神様が頷く。
「確かに。過去の惨事が繰り返されるところだった。それを未然に防ごうとした守護者の判断は正しいと言えるだろう」
「じゃ、もうどちらが被害者なのか、ハッキリとしてるんじゃない?」
可愛い系女神様が言うと、天使様は立ち上がり、長テーブルを指した。
「はい。提出した精査資料はそちらの手元にあると思いますが……」
プレゼン資料は巻き物だ。読むのが面倒なのか、厳つい顔の神様が、テーブルの端に積まれた巻き物をチラリと見た。
「結論だけでいい。どちらなんだ?」
綺麗な顔の中性的なロン毛神様は、ハラりとその巻物を広げ、うんうんと唸りながら読んでいた。
「加害者メイリーン・ドレン。被害者ユナ・ブラヴォー。すぐに判断出来る程の、大きな差異が出たという訳だな」
天使様は頷いた。
「では!メイリーン・ドレンをここに!」
厳つい顔の神様が言い渡した。
決定!?じゃあ、メイリーンが?
見れば、長テーブルの上にあったご馳走は消えていて、そこには浅い銀杯のみが置かれていた。
天使様が立ち上がり、メイリーンの乗る左手を掲げた。
途端にメイリーンが叫ぶ。
「ちょっと!!私がユナ・ブラヴォーよ!間違えないで!」
え?じゃあ、ユナがメイリーンなの?ユナは震える。
天使様はメイリーンの叫びを無視し、迷いなく杯の上へとメイリーンを乗せた左手を伸ばした。しかし、その手を若いイケメン神様が止めた。
「待て、本当にそっちだろうな?」
神様の問いに、天使様は頷く。
「間違えはございません」
「本当にそう言い切れるの?……ねえ、あなた。神様を前にして嘘はいけないわよ?ちゃんと正直に名前を言いなさい」
ナイスバディな女神様がメイリーンの魂をつついた。メイリーンはそれでも叫ぶ。
「私はユナ・ブラヴォーよ!また間違えて、私を冥界に送るつもり?酷いにも程があるわ!」
うぐっと神達は呻いた。
「ちょっと待て。右手の方の魂も、自分がユナ・ブラヴォーだと言っておるのか?」
ロン毛神様の声に、皆の視線がユナに集中する。ユナは小さく返事をした。
「ユナはユナだよ。メイリーンじゃない」
……ふぅ。
神々はため息をついた。
「どちらかが嘘をついておるという事は分かった。守護者よ、何故左手をメイリーンだと判断したのだ?」
守護者と言われた天使様はキッと顔を上げた。
「はい。私は15年と半月。2人を休むことなく見守っておりました。間違えるはずはありません」
見守って?……もしかして天使様って、ボトルロックなの!?
ユナが見上げると、綺麗な天使様はユナを見て微笑んだ。
その瞳の色は赤く、ボトルロックと一緒だ。ユナは喉の奥がぎゅっとなるのを感じた。
だって今のボトルロックの羽根は片翼ではなく、両方揃ってるんだもの。ユナはとても嬉しかったのだ。
あ、もしかして、ボトルロック。今までユナとメイリーンの2人を守るため、分身していたの?
「絶対だな。では、加害者の魂をここに!」
「はい」
返事をすると、ボトルロックはユナの乗る右手の方を長テーブルの上へと差し出した。
……あれ?ボトルロック?……間違えてない?
ユナはすぐ近くにある、ボトルロックの顔を覗き込んだ。その顔は緊張からか、強ばっていて……。
ボトルロックも緊張するんだ。なら、間違えても仕方ないね!って……。
のぉぉぉぉ――!
ユナはプルプル震え始めた。それを予想していたのか、ボトルロックはすんでのところでユナを引き寄せ、その胸に優しく抱き寄せた。
「こんな時でさえ、この魂は運命を受け入れようと努力している。お分かりですか?なんと健気で愛おしい。対して……」
ボトルロックは左手を持ち上げた。途端にメイリーンが叫びだす。
「ちょっと!どういう事?違うって言ってるでしょ!?間違えたらあなた達が罰せられるわよ!」
必死の叫び声をあげる。ユナは怖くなった。
「待って!ねえ、メイリーンはどうなるの?」
ユナはボトルロックの手の中でじたばたと暴れた。
心臓はドキドキといってる。ユナだって地獄な世界を知っているのだ。あの場所に二度と行きたくない。メイリーンだって……!
ボトルロックは暴れるユナを、ぎゅっと抱いて言った。
「魂は浄化され、新たなる命となる。これは理」
神様が頷き、メイリーンの魂はとうとう銀杯の上に置かれた。
「メイリーン……!」
ユナは手を伸ばした。
「ははっ!ユナ、辞めてよ!この期に及んで同情?ふざけないで!」
杯の上でメイリーンの魂が燃え始める。
「いいわ。最後に、私が何故あなたを殺したか教えてあげる!私が死んだら、あなたがいいとこ全部、持って行っちゃうからよ!お金も、権力も、愛情も全部よ!そんなの許せない!全部私のものよ!あんたに塵一つだって渡さないんだから!!」
「もういい……タイタロス様に送れ!」
厳つい顔の神様が手を振りあげた。
「人の欲望には限りがない。過ぎた欲望は身を滅ぼす。覚えておくがいい」
次の瞬間、メイリーンの魂は銀杯の上からいなくなっていた。
白い世界に長い沈黙が訪れた。ユナの鼻をすする音だけが響いていた。
それを破ったのはボトルロックだった。
「では、私はこれで失礼致します」
ユナを胸に抱いたまま、ボトルロックは歩き出した。
「待て、ボトルロック。その魂をどうするつもりだ?」
厳つい顔の、神様が立ち上がり、それを止めた。ボトルロックは振り向いた。
「この魂は深く傷ついております。早く元の世界へと戻し、保護する事が望ましい」
「その通りだ。だが……」
神々が顔を見合せ、頷く。
「長い間ご苦労だった、ボトルロック。お前の任は解かれた。天使へと戻り、暫く休むがいい。その任は、また別の者に……」
「いいえ。私は天使には戻れません。堕天使として、このまま、この美しい魂を守る為に在るべきです」
ボトルロックはユナを胸に押し付ける。ムギュッ。
「私は魂を取り間違えただけでなく、多くの罪を犯しました。メイリーンは他人を煽り、自身の命を盾に、幾度となく私に殺人を強いておりました。そして最後にはユナをも。……私は命令に背き、メイリーンを手にかけました」
神々が息を飲んだ。
ボトルロック、ユナを助ける為にメイリーンを……?
「ですが、自分は間違った事をしたとは思っておりません。全てはこの愛しい魂を護る為。私は二度と間違いを犯す訳にはいかなかった」
ボトルロックはユナを持ち上げ、膝を着いた。
「ユナ、本当にすまなかった。私が間違えて君を冥界に送ったんだ……。恨んでくれていい。だが、頼む!私が側にいる事を許してくれ」
ボトルロックが頭を下げ、ユナはアセアセした。
すると、ユナの上に影が落ちて来た。
顔を上げれば神様たちがユナを取り囲んでいた。
「確かに魂の送り先を間違えたのはボトルロックだ。しかし、その事故の対処法の不備については、我々にも責任がある」
「我々のミスだと先に述べたはず。謝罪を受け入れて欲しい。ユナ・ブラヴォーよ」
神様たちはユナを見つめていた。その強い瞳に、ユナはなんとなく流されて頷いた。
「では、この魂に太陽の祝福を!!」
厳つい顔の神様が嬉しそうに叫ぶと、ユナに触れた。
ペカ――!!ユナが輝いた!!
おお!ユナ、レベルアップ?
「じゃ、私も!水の祝福を」
「では、僭越ながら、私も火の祝福を」
「土の祝福を遠慮なく受けるがいい」
「うむ。空気の祝福だ」
空気!?
ナイスバディもイケメンも、ロン毛も可愛い系も皆さん、ユナを撫でてくれて、ユナ、ペカペカです!
最後にボトルロックがユナにキスをし、立ち上がったところで、いきなり目の前に黒衣の美丈夫が現れました!
「タルタロス様……」
呆気に取られた表情でボトルロックが再び膝を着く。と、タルタロス様と言われた黒髪の神様は、無表情のままユナを撫でた。
「確認を怠った我の咎に寛大なる恩赦を。月の祝福を与えよう」
ペカ――!ユナが虹色に輝いた。
「まあ!引きこもりのタイタロス様まで!」
「全属性コンプだ。おめでとう」
「!?」
驚きにフルフル震えるユナを、タルタロス様は笑いを堪えた表情で満足したように頷き、姿を消した。
あれ?神様たち、もしかして楽しんでる?
ボトルロックは立ち上がった。
「神々よ。私はこの、慈しみにより生まれた絆に幸せを見出しました。故にこのまま、ユナの影でいたいと願います。どうかお許し頂けませんか?」
でも、ボトルロックの申し出に、厳つい顔の神様は首を振る。
「ボトルロック、それはならん!」
「そうよ。その子、ユナには沢山迷惑をかけたんだもの。堕天使なんかに護らせるわけにはいかないわ。そうでしょ?皆さん?」
女神様が大袈裟に両手を広げ、同意を求める。
「ああ、そうだな。護らせるのなら、堕天使ではなく、天使でなければ!」
うんうんと神々が頷く。
「という訳で?」
「全員合致で、天使ボトルロックを守護者とする!!……さあ、これで一件落着!!宴じゃ、宴じゃ!!」
神々は各々、それはいい!!と同意すると、舞う様に神殿へと戻って行った。
最後に厳つい顔の神様が振り向いた。
「ボトルロック。頼んだぞ」
呆気に取られたボトルロックは頷くと、ユナと目を合わせ嬉しそうに笑った。
「さあ、戻りましょう。ユナ」
「うん!天使様、連れて行ってくれる?」
「もちろんです。さあ、目を閉じて……」
――白い羽根が舞う。
目を開けたユナの目の前には、真っ白なローブを纏った、端正な顔立ちのボトルロックが微笑んでいた。
だけど、ユナが手を伸ばすと、その姿は薄らぎ、眩しい金色の頭をした王子様と変わる――。
「ユナ!!」
フィン様は、伸ばしたその手をガッチリ掴み、ユナを引き寄せた。……温かい。体があるって素敵ね!
フィン様に、こうやって抱きしめられるのっていつぶりだろう?そう思ったら、喉の奥も、鼻の奥も、目の奥までぶっ壊れたみたいに、大洪水に見舞われた。
「ユナ……奇跡だ」
「うん……」
ユナ、神様に会ったよ!
「失ったかと……。良かった……」
あれ?フィン様も泣いてる?
「ユナ、もう離さない」
ぎゅぅぅぅぅ――!!
のぉぉぉぉぉ――!!
天国は思ったより近くにありました。
◇◇◇
「では、ここに証拠を見せよう!N.Y=10K1500G。L.A=10K1700G……」
「ま……待ってくれ、それが我々と何の関係がある!」
「この本を隈無く調査した結果、見えない数字の字体の癖が、ロイス・アンゼロ、ニース・ヨルバドール、あなた方の字に酷似している事が分かった。弁明は出来んぞ」
アレン様の声だ。聞いた事のある数字を読み上げてる。きっと今は断罪イベントの真っ最中。
ユナは少し眠ってたみたい。そっと目を開けた。
ユナは長椅子に横になっていた。
すぐ目の前では、アレン様が正座する成金風のおじさん2人を前に、オレビンオヤジの本とピンクの布を、印籠の如く掲げていた。……ん?その布……。
嫌ァァァ――!!それ、ユナの下着ィ――!!
そう、今、ユナのピンクのびらびらを見つめているのは、成金風のおじさんだけではない。舞踏会会場内はまるで襲撃などなかったかのように元通りになっていて、王座の前で行われる断罪イベントを、多くの着飾った観客が見つめていた。
「更に本の解読と並行し、アンゼロ鉱山に監査を入れた所、アンゼロ採掘場の関係者が逃走。捕まえてみれば、ご丁寧に横流しした鉱石の採掘量を記した帳簿を隠し持っていてね。お陰でこの本に隠されていた数字とすり合わせる事が出来た。勿論2つの数字は合致した。もう言い逃れは出来ないぞ」
「ま……待て、それはアンゼロ鉱山の事だろ?私には何の関係もないじゃないか!」
おじさんの1人が手を伸ばした。それをラディズラーオ隊長が1歩前に出て、見下ろす。
「ヨルバドール。よくそんな口が叩けるな。昨夜の騒ぎ、冒険者全てが、お前の酒蔵にいたのはデッセシュバーム兵だったと証言したぞ。そして先程の襲撃、ヨルバドール家酒蔵からのデッセシュバーム出兵が確認された。一応聞くが、弁明はあるか?」
うぐっとおじさんたちが呻いた。
いつもと違ってお仕事モードの隊長は怖くて、ユナはビクリとした。途端に頭を撫でられ、ほっとする。……ん?
違和感を感じ、ユナは身動ぎをした。……ゴリッ。ユナの枕は高反発です。
見上げれば綺麗な金髪。フィン様だ。
フィン様は真っ直ぐ前を向いてるけど、ユナは恥ずかしくて、慌てて両手で顔を覆った。
公開膝枕ぁ――!!
「お前達は大義を振りかざす事で、自身の悪事を正当化しようとした大馬鹿者だ。理想を掲げる前に自身の行いをよく省みるがいい。連れて行け!!」
アレン様が言い渡した。何かかっこいいです!
ユナが起き上がろうとそっと手をつくと、目の前でおじさん達が、騎士様にひっ捕らえられ、騎士様に連行されて行った。その歪んだ顔を見たユナは、硬直し、そのままフィン様の手によって元に戻された。
「さて、此度の襲撃。事前に情報が入らなければ、この舞踏会に集まった多くの貴族、王族が犠牲となっていた事だろう」
アルビーおじさんの声だ。頭の方からする。ユナ、きっとヤバい位置に寝てるんだろうと想像される。しかもフィン様のお膝の上。何故こんな事になってるんだろう?
「情報提供者については、本人の意思もあり公には出来ぬが、その協力者としてドルバ王国の名を挙げさせて頂く。ドルバ王国国王、アルスリッド殿!ここへ!」
アルスが身を引き締め、アルビーおじ様の前に進み出た。その表情にいつものチャラさは微塵もない。
アルビーおじ様は壇上から降りると、アルスと並び、手を差し伸べた。
「デッセシュバームの聖女メイリーンが、今回の首謀者である事を見抜き、自国の危機もにも関わらず我が国に急ぎ知らせてくれた事、大変有難く思う。アルスリッド国王に最大限の感謝を!そしてこれからも我がティアラ王国は、貴国と良い関係を築きたいと願う」
アルスも手を伸ばす。
「ありがたき幸せ。我がドルバ王国はまだ混乱の中にいる。貴国と友好関係が築けるならば、これほど心強い事はない。こちらこそ、よろしくお願い致します」
アルスはアルビーおじさんの手を固く握ると、涙声で応えた。アルビーおじさんはアルスの肩をポンポンと叩いて激励した。
「さあ、まつりごとはここまでだ!我がティアラ王国は敵国を見事、退けたのだ!!」
アルビーおじさんは目の前の観客を見すえた。
「最大の敵、デッセシュバームの聖女はフィンが、我が国の裏切り者はアレンが、そして我が国の誇る最強の戦士らが敵を全て退けたのだ!!こんな喜ばしい事はない!」
感激のあまり、拍手をする者がいる中、アルビーおじ様は両手を広げた。
「さあ皆の者!今日は思いきり楽しむがいい!!」
ファンファーレの如き音楽が鳴り響き、会場は沸き立った。貴族も騎士様もシェフも、皆、関係なく握手やハグをかわし、喜びを分かちあった。
「ユナ、よく見て。全て君のお陰だよ」
フィン様がユナを起こし、支えてくれた。ユナは嬉しくてニコニコと笑いながら、周りを見回した。
「みんな笑ってるね!フィン様も!」
最後にフィン様の顔を覗き込む。
「ユナ、色々言いたい事はあるけれど……今はひとまず、抱きしめさせてくれ」
フィン様は優しくユナを抱き寄せた。そして、耳元に囁いた。
「ユナ、好きだよ……言葉じゃ表せないくらい。愛してる」




