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26話 夜這い

「ユナ、フィン様に捨てられたのかな?」

 デッセシュバーム兵が跡形もなく消えた、王の絞首場は、上での戦闘音が洞窟の壁に響音し、グォングォンと気持ちの悪い音が充満していた。でも、地味に静かで……。ユナの呟きは響いてしまった。

 

 デデさんは何も言わずに、魔法で地面をならすと、ユナ達を下へと降ろした。すぐに冒険者さんは、上の戦いへ参戦しに行く。チョンは司祭様の消えた穴を恐る恐る覗きに行った。怖いもの見たさね!分かるわぁ。

 

「そう言われたならそうなんじゃないのか?」

 ユナの呟きに答えたのは、どこからともなく現れたローズブレイドさんだ。戦ってきたのか、少し鉄の匂いがした。

 

「そもそも、お前のような、見かけしか取り柄のないガキを、王族が相手にする訳がない。ちょっと珍しかったんで、ちょっかいをかけただけだろ」

「そっかぁ……残念」

 ユナは地面を蹴った。

 

「なんだお前、王妃になりたかったのか?」

 ローズブレイドさんは呆れ顔だ。ユナは首を振る。

「王妃?ユナが?無理っしょ!」

「無理?お前、フィン様と仲良くなるって事は、そういう事だろ?」

「ウソッ……」

 ユナ、驚愕。

 

「何驚いてるんだよ。王妃になるってのは貴族の御令嬢たちの夢だろう?お前……考えなかったのか?」

 ユナは頷いた。

 ……そうか。だからフィン様はユナの前に姿を表さなくなったんだ。ユナが、王妃になるなんて、考えられないから。


「ユナね、フィン様が優しくしてくれるのが嬉しくて、また会えたらいいなぁって思ってただけ。もう、会っても、無視されちゃうのかなぁ……凹む」

 ユナ、ちょっとショックです。ふっとローズブレイドさんは笑った。

「ちょっと優しくされたくらいで、本気になる方が悪い……ああ、泣くな!まいったな。デデ!」

「知りませんよ。貴方が泣かしたのでしょう」


 ユナはスンッと鼻をすすりながら、フォルトル様について行った。お友達が手を振っていたからだ。遠くに行くなよー!って声が背中にかかった。

 

『長い間の見張り、ご苦労だったね』

 お友達はユナと変わらないくらいの年で、フォルトル様が声をかけると、ふわりと微笑んだ。

『いえ、一瞬でしたよ』

 数百年を一瞬って言えるなんて、物凄い忠誠心。

 

『ところでフォルトル先生。サウスティアラは勝ったのでしょうか?』

 お友達はフォルトル様の生徒だったのね。そして、時間はノースティアラとサウスティアラとの戦いで止まっている。フォルトル様は生徒さんの手を取った。

 

『ああ。とても平和的にね。ありがとう。君の様な優秀な生徒がいてくれたおかげだよ』

『そうか、良かった。……という事は、もうここは守ってなくて大丈夫かな?』

 生徒さんは綺麗に笑った。その頬には涙が伝っていた。

 

『ああ、ありがとう。……本当にありがとう』

 フォルトル様の言葉に安心したのか、生徒さんは金白の粒になり、眠るように虚空へと昇華してゆきました。フォルトル様とユナは、両手を組んで祈りを捧げた。

 

『ユナ、彼をサウスティアラ城のお墓に連れて行ってくれるかい?』

 ユナは涙を拭いて頷き、壁の半ば土に埋まったお友達の角を引っこ抜くと、バックにそっと詰めた。

 

『気を付けて行くんだよ』

 フォルトル様が言う。ユナがどっちの穴を選ぶのが分かってるみたい。……と言っても、月海の森の方の穴は行き止まりだけどね。

 

「ユナの言う事なんて、フィン様は聞いてくれないかもしれないよ?」

『それでも、伝えに行くんじゃろ?』

 オレリアンおじ様の問いに、ユナは強く頷いた。

「ユナも誰かの役に立ちたい!頑張ってフィン様に危機を知らせるよ!だから……みんな、手を貸してくれる?」

 ユナが笑うと、みんな出てきて頷いてくれました!ユナは元気が湧き出てくるのを感じた。


「おいおい。ここまで集まるとは!あいつは何の魔法をかけたんだ?」

「不思議な子ですよね」

 ユナは、ゴッディさんと業務連絡中のローズブレイドさんの目を盗んで、今は角の無くなった洞穴へと駆け込んだ。



 横穴の中は、ユナが余裕で通れるくらい広かった。手彫り感が半端ないし、長年放置されていた貫禄があって、ちょっと怖い。でも、ユナ、素敵な事に気が付きました!

「杖の先に火がつけられるのね!」

 いつものように太陽さん、火を貸して!ってお願いしたら、ロウソクみたいに杖の先が光ったのだ。

 

『そうですよ。その杖には、フェリベール様の呪文が彫り込まれておりますので、長ったらしい呪文も短縮できて、とても便利です』

 フォルトル様が杖の綺麗な持ち方を教えてくれる。

「気分あがるぅ――」

 ユナが魔法少女っぽいポーズを考えながら歩いているうちに、あっという間に秘密の通路は、木箱に突き当たった。

 

 そこは物置部屋みたいで、周りは荷物だらけ。しかもかなり古くて、ホコリだらけだった。

『ユナの徒歩で20分。城までの直線距離だと想定されます』

「さすがデンデン。ね、ここ、300人も通れる?」

『荷物をのければ可能でしょう。しかし武装した兵士だと、動きに制限がかかりますので、入れるなら軽装の兵。外からは重装兵で叩き、内と外、両方からの同時攻撃が効果的ですね!』

 フォルトル様?今回は、攻略される側だから!


「でも、侵入経路が分かってるから、ここさえ教えれば、止められるよね?」

 小声で話しながら、小さなユナは木箱とか謎の袋詰めとかをスルスルと避けて、部屋の向こうに見える小さな扉に近づいた。

 

『今日見た兵が全てとは限らないがな。まだ奥にいる可能性も捨てきれん。しかも、相手は貴族の領土内に隠れ、攻められるまでは手が出せない状況にある』

 エリアスはとても慎重だ。でもフォルトル様は攻城戦のプロ。

『ええ。ですが、エリアスの部下は冒険者に紛れて行動しており、騎士団が動いている事は知られておりません。素晴らしいですね。このまま秘密裏に準備が整えば、防ぐのは難しくないでしょう』

 

『でしたら、心を読むという聖女が怖いですな。我が孫フィンの心がどのくらい読まれてるかが問題ですか……まあ、あの子は賢い。内部事情が筒抜けって事は無いでしょうが』

 オレリアンおじ様の心配に、エリアスが安心させるように微笑んだ。

 

『大丈夫だ。先程も、騎士団長、隊長共に不在のようだったし、警戒して、情報を自らシャットアウトしている可能性が高い。ふっ……確かにこれは国民の人気が下がるな』

 傍から見れば、聖女様に夢中で、職務怠慢な状況に見えちゃうって訳ね。

 

「そうかぁ。なら、フィン様にまんま伝えちゃったら、バレちゃう可能性があるのね!ユナ、ふんわり伝える様に頑張る!」

 ユナは明かりを消すと、屈まないと通れないような小さめ扉に手をかけ、そっと開けた。


 真っ暗だ。でも匂いでわかる。ここ、調理場よ!

『誰もいないようだ。明かりをつけてもいいだろう』

『ワフッ!』

 みんながそれぞれ警戒してくれて、ユナ、超VIP対応です!ユナは杖の先に、小さめの明かりを付けて、城内部へ突入経路を探した。

 

『城そのものの構造は昔も今も変わってはないようですね。だいたいの配置は頭に叩き込んでおりますので、どこからでも攻められますよ!なんなりとご指示を』と、フォルトル様。

『エントランスまでゆけば、フィンの部屋はだいたい分かるのだが……幼少の頃から変わってなければ、だが』と、オレリアンおじ様。

『フィン様の御部屋でございましたら、こちらです』

 と、謎の執事のプラズマ。……誰!?

 

『フィン様は蜂蜜入りの紅茶がお好きなので、この瓶をお持ちなさい。紅茶はご自身でお入れするのがお好きですので、これだけで結構です。んん?あなた、衣装が少し乱れておりますよ。きちんとしなさい!』

 謎の執事はクイッとメガネをあげた。


「はい!」

 ユナは言われた通り、メイド服を整えると、何故か蜂蜜の瓶と、謎の執事の宿る銀のスプーンを持って、フィン様の部屋を目指す事になった。


 フィン様の部屋は城の上階にあるみたいで、各階には衛兵さんが立って見張っていた。ユナがどうしようかと覗き見をしていると、謎の執事から叱咤の声があがる。

 

『しゃんと背筋を伸ばしなさい!少し遠くを見るように、真っ直ぐ歩く!』

「はいぃ!」

 怖いです。

 でも、見つかってしまった蜂蜜持ちのユナを見た衛兵さんは、お疲れ様――って、普通に通してくれた。お城の警備、大丈夫?

 

 謎の執事と共に一際豪華な階層に到達したユナは、重厚な扉の前で立ちすくんだ。微かに女の人の声がする。

『こちらです……が、お客様がおられるようですね』

 ユナ、ラスボスの気配に心臓がドスドス言ってます。この声、聞いた事あるんだよね。

 

「では、フィン。また明日。楽しみにしてるわ!」

 ガチャリと扉が開き、出てきたのはメイリーンだった。

 淡い色の夜着に、微妙に乱れた青い髪。前見た時よりも、大人びて見えて、ユナはまた、謎の心不全に見舞われた。

 

『頭を下げる!!お辞儀して!!』

 はいぃ!

 執事様は容赦ありません。ユナは慌てて頭を低く下げた。

 

「……あら、フィン。メイドがいるわよ?」

 頭の上で、メイリーンの声がする。今日のユナの心臓は、かなりの暴れん坊です。そろそろ死期が近いかも知れません。

 部屋からはフィン様も出てきた様子で、靴のつま先が見えて、ユナは卒倒しそうだった。

 推しのつま先よぉぉぉ――!

 

「ああ。いつもの……」

 フィン様の声が一瞬止まった。すうっと息を飲む音が聞こえる。

 

「蜂蜜か。実は先日亡くなった執事が、夜中に蜂蜜を持って来てくれるのが恒例でね。懐かしいな、ありがとう、可愛いメイドさん……」

「あら、そうですの?ふふっ。こんな所まで追ってくるなんて、大した度胸ね、ユナ」


 バレたぁぁぁぁ――!!


 ユナは顔を上げて、後ずさった。

 逃げたい。でも、伝えるまでは逃げられない!!

 

「まあ。あなたったら、伯爵令嬢なのにいつまでもメイドのままなのね。こんな夜中まで働かされて、可哀想に。……ねえ、フィン。この子に普段着の1つでも買ってあげたら?これしか持ってないなんて、可哀想よ?」

 メイリーンったら、いつからフィン様を呼び捨てに!?でも、フィン様は顔色1つ変えずに、ユナを見ている。ユナ、ちょっと嫌です。

 

「アレンが用意しているだろう。さあ、戻るんだ。ここは君が立ち寄っていい場所ではない」

 む!フィン様!ユナ、ピンクのビラビラは嫌なの!

 

「まあ、アレン様はピンクがお好きなのね。って、本当にアレン様が!?こんな色気のない女の何処がいいのかしら……」

 確かに!ユナ、ピンクのビラビラ似合わないと思うんだよね。

 

「ふふっ。本当に素直で……お馬鹿な子」

「おお、凄っ!喋らなくても伝わるって便利ね!」

 思わずユナは尊んでしまう。メイリーンはアハハって笑い始めた。

 

「……メイリーン。そろそろ寝ないと、明日に障るよ?」

 フィン様はメイリーンの目を真っ直ぐに見て、ユナの方は見ない。突然のユナの夜這いに呆れたのか、死んだ魚の様な目をしてる。

 

「ふふっ!フィン様。この子、夜這いに来たようよ。可愛いわね。そうね、お茶を用意してくれたら、ちょっとはフィンと話しをさせてあげてもいいわ」

 え?ユナの家、キッチンなかったから、やり方が分からないのよね――。

 

「ふふふっ。あなた、どんな御家に住んでたの?キッチンないって……可哀想――」

 メイリーンはフィン様の腕を取って、しなだれかかった。フィン様と目を合わせ、今にもキスしそうな距離感だ。

 

 これはまずい!……何がって?

 ユナの中の何かが、嫌だって叫んでるの!

 ユナ、満を持して作戦を決行します!

 ユナは拳を握りしめ、思い切り叫んだ。

 

「フィン様がそんな人だなんて思わなかったわ!大っ嫌い!!」

 

 ユナは踵を返し、元来た道を走って逃げた。

 途中、チラッと振り返りながら……。

 

 これは、ザ!待ってくれ、違うんだ!俺の話を聞いてくれ――!作戦よ!!

 これなら、聖女様に怪しまれる事なく、フィン様だけを誘導できるはず……なのに?


 チラッ……チラッ。……あれ?

 ユナは廊下の端まで走ると、大きな花瓶に隠れて首を傾げた。

「おかしいな……追ってこないよ?」

 

 エリアスが出てきて、眉間を押さえた。こんな時だけど、カッコイイです。アンリンも出てきて、同じ様に目尻を押さえ、ユナに残念な結果を伝えた。

『ユナ、何となくやりたい事は分かったわ。でも、その作戦は多分、恋人同士の場合にしか有効じゃないと思うの』

 なんですって!?

 

「ユナ様……」

 でも、誰かが追って来てくれたよ?

 上を見上げると、花瓶の上からラディズ隊長が、かなり焦った様子でユナを見下ろしてた。そして、ユナとバチリと目が合った途端、ユナを抱え上げ、静かに階段を降り始めた。

 

「ユナ、さすがといいますか……どうして城に?」

 小声だ。ユナもスパイ気分で、小声で話す。

「ラディズ隊長、お久しぶりー!ユナの作戦効いたみたい?ね、調理場に行って!」

 ラディズ隊長は何故か困惑している。


「何の作戦ですか?フィン様の鋼の心臓は、確実に叩き潰されましたけど」

 フィン様って人外だったんだ。

「ユナ、フィン様をおびき寄せるつもりだったの!でも、隊長でも大丈夫!早くっ!見つかる前にっ!」

「え!?私では、役不足ですよ?」


 しかし、困惑していた隊長も、調理場の例の小さな扉の前まで来る頃には、顔を引き締めていた。

「ユナ、貴方はここから来たのですか?」

「うん!」

 

 隊長は小さな扉を開け、ランプを中にかざす。

「ここは何処に……」

『ワフッ!』

「隊長!誰か来た!」

 ユナは小さな扉の中に、隊長をギューギュー押し込んで、灯りを消して潜んだ。


「確かにこっちに来たのか?あのユナ・ブラヴォーが?」

 こっそり覗けば、ランプを手にした、長ったらしいローブを身につけた、男の人が見えた。

「そうよ!私を疑ってるわね。たかが神官のくせに、無礼よ!何様のつもり?」

 それとメイリーンね。神官と言われた男は、メイリーンに並んで歩き、大仰に天を仰いで嘆いてた。

 

「ですが、貴方様は王太子かから何の情報も引き出せていないじゃないですか!これでは信じろと言う方が無理でしょう?しかも先程、外からの連絡が入ったばかでしてね」

「外?クソッ!司祭め、また失敗したのね!」


「いえ、ユナ・ブラヴォーは現れたらしいのですが、彼女、魔法使いを引き連れてましてね。逃げられたらしいですよ。更に彼女、冒険者まで集めていたらしくてね。優秀な第1隊が壊滅状態……ははっ!おかしいですね。ユナ・ブラヴォーは2人いるのでしょうか!?」

「でも、確かにこの城にいたの!!」

 メイリーンは拳を握りしめ、必死に訴えていた。


「まあ、いいでしょう。明日、しっかり役目を果たしてくれさえすればね、聖女様」

 神官は優位に立てたのが余程嬉しいのか、ドヤ顔。

「分かったわよ!でも、明日、ティアラを落とした暁には、貴方の首を真っ先に刈り取ってあげるわ!覚悟しときなさい!」

 メイリーンはぷるぷると拳を震わすと、踵を返し……2人は城の住居区へと消えていった。


「ユナ、今の話は?」

「隊長、こっちよ!」

 ユナは、隊長を急かすと、秘密の横穴へと誘った。隊長はユナの通る、荷物の狭い隙間を諦めて、荷物の上をはい進んでついてきた。

 

「20分でヨルバドールの酒蔵なのよ!」

「ヨルバドール……。ユナ、何故その名前を……」

 秘密の通路に入ると、ユナは走りながらラディズ隊長にヨルバドールの酒蔵で起こった事を話して聞かせた。

 そして、明かりが見えてきて、ユナは横穴から飛び出した!

 

「いたぞ!!」

 目の前には、沢山の冒険者さん達が待っていました!

「良かった……無事だったか。心配したぞ」

「ユナ、怪我はないか?」

 みんなに囲まれて、ユナ、嬉しくて……ホロり。

 

「ありがとう……」

 ユナは冒険者さん達によしよしされながら、いっぱいお礼を言った。あれ?門兵長?……ええ!?騎士様も混ざってる!

 みんな制服を脱いで、違和感なく溶け込んじゃってるけど、確かにどこかで見た騎士様たちよ!

「みんな非番なんだよ……って事にしといてくれ」

 門兵長は渋い顔を歪ませ笑うと、ウインクした。


 その時、突然冒険者さん達が、スザッと割れた。

 正面には、立ち塞がる大きな壁が!

 

「ユナ?あなたは一体、何を考えて……こんな無茶を……」

 テラが涙声です!手には、赤い雫の垂れる剣を手にしていました。ユナは、やりすぎたと悟った。

 

「テラ、ごめんなさい。でもユナ……」

「言い訳は後で聞くわ。今は黙って抱かれなさい!」

 テラが剣を落とすと、ガバリ!とユナは抱きしめられていた。後ろには、黒装束のフェリベール先生の姿もチラリと見えた。

 

 ぎゅぅぅぅ――!!

 のぉぉぉぉ――!!

 ユナは、天国にまた1歩近づいた。


「ユナ。帰るわよ。私たちの家に」

 ひとしきり泣いたユナに、テラが微笑んでくれた。


 ユナの家。そうか、ユナには家がある。

 ユナはホッとし……途端に眠気が襲ってきた。テラに支えられるともうダメだ。

 テラの肩越しに、ラディズ隊長が敬礼してるのが見え、ユナは目をつぶった。

 

 優しくユナを抱えるのは、冒険者さんに扮したにローズブレイドさんだ。途中、フードを被せられたけど、血の匂いと、酒蔵の持ち主であろうオッサンのダミ声が、耳と鼻にいつまでも残った。

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