ごめんなさい、お兄様
先生と別れ、俺は自分の教室へと向かっている。
すると前から凛が歩いてきた。
迎えに来てくれたのだろうか?
……いや多分違う。凛の顔がいつもより暗い気がする。俺以外の奴なら誰も気がつかないレベルだろうけど。
「凛どうしたんだ?」
俺は凛にそう言った。
「……お兄様」
凛はそう言って俺に抱きついてきた。
よく分からないが俺は優しく凛を抱き返した。
凛が落ち着くまで俺は優しく凛の頭を撫で続けた。
横を通る生徒達は皆俺と凛を見て行くがそんなことは一切気にしない。
「少しは落ち着いたか?」
「はい……。ごめんなさいです。お兄様……」
凛はしょんぼりとした表情でそう言った。
「気にするな。それより…凛、どうしたんだ?なにかあったんだろ?」
「……はい。実は……」
と、凛は教室であった出来事を話し始めた。
凛の話はこうだ。
クラスメイトの皆が俺の不正を疑い、無能と侮辱した。凛はそれに耐えられなくなって強い口調でクラスメイトに言い返してしまった。
心優しい凛はクラスメイトに強くあたってしまったことを後悔している。多分こんな感じだ。
「ありがとな。凛、俺のために怒ってくれて。」
俺は凛の頭を撫でた。
さらさらで銀色の髪。俺に喜んでほしくてわざわざ染めた髪。
優しく、優しく撫でた。
普段は大人しい凛が俺のために怒ってくれた。
俺のことを思って怒ってくれた。そう思うと…凛の全てが愛おしい。
凛は黙って俺に頭を撫でられていた。
それから数秒ほど経過すると俺は手をどけた。
すると凛は、俺の目を見てこう言った。
「私は……お兄様のためならなんでもします!」
「あぁ。ありがとな、凛。俺も凛のためだったらなんでもするよ。」
「そ、それじゃ今日このまま学校をサボって私とデートしてくださいっ!」
「それは凛のためにならないからダメです!」
俺は凛の手を取り、一緒に凛の教室へと向かった。