凛、我慢できない
職員室で優と神沢先生が話している頃、凛は1人で自分の教室1年1組へと向かっていた。
「凛さんおはようございます。」
と、名も知らぬすれ違う生徒に挨拶をされる凛
「はい。おはようございます」
と、笑顔で挨拶を返した。
凛は、頭脳明晰容姿端麗なので学園でかなり人気があるのだ。
凛に憧れている生徒も数多くいる。
教室の扉を開け、凛は自分の席に座るとすぐに凛の周りに多くの生徒が集まった。
「おはようございます凛さん!」
と、皆が凛に言う。
凛は1人ずつ丁寧に返事をした。
そこで1人の生徒が……
「凛さん、兄の勉強を教えてあげたりしたんですか?」
と、凛に言った。
「いえ、私は……」
凛はすぐに否定しようとしたのだが…
「なるほど…!だからあの兄貴でも1位になれたのか。」
「それなら納得だね!凛さんに教えてもらってるんだから」
「あー、私も凛さんに勉強教えてもらいたいなー」
生徒達が勝手な勘違いをして、口々に話すせいで凛は言い出すタイミングを逃してしまった。
そもそも凛の点数より優の方が点数が高い時点でおかしいと感じない生徒達を凛は不思議に思っていた。
そんな中1人の生徒が声を上げだ。
「そんなことで納得できるか!」
そう言って机を叩き、立ち上がった生徒は凛の元へとやってくる。
「神沢さん…いくら貴方が勉強を教えたからってあんな点数を取るのはありえない!そもそも神沢さんより兄貴の方が点数が高い時点でおかしい!無能野郎は不正したに決まっている……!」
男子生徒は叫んだ。
「確かに…あいつの言う通りだな…無能がいくら凛さんに教えてもらったって全部100はないよな……」
「そうね……不正したとしか考えられないわ」
「あの無能……凛さんの兄貴として情けなくないのか……!」
周りの生徒達もその男子生徒の発言を聞いておかしいと思い始めたのか優が不正したんだと言い始めた。
「お兄様は……不正などしていない…」
凛はそう呟いた。
「いや…凛さん……自分の兄貴をそう思いたい気持ちもわかるけど……」
「お前になにがわかる?……」
「……え?」
鋭い目付きで、普段の凛ならありえないような言葉遣いのため生徒は驚き、皆が黙ってしまった。
「いつもいつも私の前でお兄様の事を無能、無能と侮辱して……そしてお兄様が少し本気を出したら不正を疑う。私はもう耐えられません。」
凛はそう言うと、優の事を侮辱してきた生徒達を鋭く睨みこう言った。
「これからよく見ていてください…貴方たちに私のお兄様が"本当の無能"は誰なのかを教えてくれます……。」
凛はそう言ったあとに1度大きく深呼吸をして教室を出て行った。