さすがです、お兄様!
うーん……流石に全部満点はやりすぎたか?
周りのざわつきを見るに少しだけやりすぎたのかもしれない。
「おいおい……おかしいだろ…なんであの無能が1位なんだよ……?」
「不正でもしたんじゃねぇのか?」
と、こんな声がちらほらと聞こえてくる。
そんな中…妹の凛だけは、目をキラキラと輝かせ貼り紙を見つめていた。
「さすがです、お兄様!」
凛はそう言った。
凛の声と同時に貼り紙の前に立っていた生徒達がほとんどこちらを見た。
……すると先程よりも生徒達がざわめき始めた。
もちろん理由は俺の容姿が変わりすぎているからだろう。
「う、嘘だろ?あれって凛さんの兄貴なのか?」
「いやいや……そんなはずないだろ…?あっていいはずがないよな?」
と、生徒達は言う。
「何を言ってるんですか?この方は、私のお兄様で間違いありませんよ!」
凛がそう言うと周りの生徒達は状況をよく理解できていないのか黙り込んでしまった。
そんな時だった……
「見つけたわ!神沢 凛!今回こそは貴方よりも高い順位になってやるんだからっ!」
俺達の後ろから高い女の声がした。
彼女の名前は……いや、知らねぇ……。
特徴は長い黒髪をツインテールにしてるとこだな。顔はまだ少しだけ幼い気がするけど……それでも間違いなく美少女の部類だろう。
「おい、凛?あれは誰だ?」
「さぁ?わかりません。」
……ってお前がわからねぇのはおかしいだろ…。
まぁ今は名前が分からないからお嬢様とでも呼んでおこうか…喋り方がそんな感じだし。
お嬢様は俺達の横に立ち、腕ん組んで貼り紙をみた。
「えっと…まぁ下の方はいつも通りな感じね。4位が…咲さんで…3位が……って、えぇ!?さ、3位がわ、私!?いつも2位だった私が3位!?一体どういうことなの!?に、2位は神沢 凛……?神沢 凛が2位!?い、い、1位は……神沢 優……?え?…… う、うそ…」
彼女の名前は神楽坂 美颯だな。
いつも2位だったのに3位になったことがショックだったのかその場に座り込んでしまった。
それとも1位のやつ(俺)が意外すぎて腰を抜かしたか?
「か、神沢 凛!これはどういうこと!?」
神楽坂は凛にそう言った。
「どういうこともなにもありません。1位が私のお兄様で、2位が私、3位が貴方。ただそれだけの話です。」
凛は冷静にそう言った。
「そんなの……納得できるわけないでしょ!今までTOP10にすら入ってこなかった無能と呼ばれているあんたの兄が! 1位よ!?それに800ってなに!?all100じゃないの!!出木杉君かっ!」
神楽坂は1人漫才でもしてるのか?
随分と楽しそうだ。勢いも凄まじいから芸人とか向いてるんじゃないだろうか?
「神沢 凛!あんたの兄は今どこにいるのよ!」
神楽坂は凛にそう言った。
俺は、凛が答える前に座り込んでいる神楽坂の前に腰を下ろした。そして神楽坂の目を見てこう言った。
「ここにいるぞ。神楽坂美颯」
「ふぇ……?」
と、言って神楽坂は顔を赤くした。
そして、こういった。
「王子様……?」
「うん。違います」
俺はとびきりの笑顔でそう返事をした。




