三人の美少女
撮影スタジオに着いた俺達は早速別の部屋に連れて行かれた。
「お兄様?これはどこに向かっているのでしょうか?」
「んーわからん……。森山さんどこに向かってるんですか?」
俺は前を歩く森山さんに聞いてみた。
「メイクだよ。君をメイクしてくれる人のとこに行ってるんだ。まぁメイクと言っても少しだけどね」
「メイクですか……」
正直あまり気が乗らない。メイクが必要なことは理解しているが、顔に何かを塗ったりするのは抵抗がある。今まで一度もそう言うことをしたことがないからだろうか。
「神沢がメイクをすると……すごいことになりそう。ちょっと楽しみ」
「確かにそうね。出来上がった姿が楽しみだわ。」
凛と石田さんがそんな話をしている。期待しないで欲しいんだけどな……
「お兄様?大丈夫ですか?顔色がよくないです。」
「え?あーうん。ちょっと緊張してきてな。でも大丈夫だ。なんとかなるだろ」
「そうですね。私のお兄様ですから!きっと大丈夫ですよね!」
凛はそう言った。
はぁ……何してんだよ俺。自分で期待させてるじゃねぇか……
「それじゃ神沢君以外の人達はここでお別れだ。メイクが終わったら呼びに行くからそこの自販機のとこで待っててくれるかな?」
メイク室の前に着いた森山さんはそう言った。
「また後で、お兄様!」
凛がそう言うと2人も少し離れた場所にある自販機へと向かった。
「それじゃ行こうか、神沢君」
森山さんが俺の肩をポンポンと叩きメイク室の扉を開けた。
やっぱり少し緊張するなぁ……
◇◆◇◆
「ね、ねぇ!日向!あそこにいる美少女3人組は誰?!なんて女優さん!?」
「お、落ち着いて……有栖!えっとど、どこの男優さんなのかしら……?!!」
「日向の方が落ち着いてよ!!」
自販機を買いに来た日向と有栖は3人の美少女の姿を見て驚いている。影に隠れてコソコソと話している。
「あんなに可愛い子なのに……私達が名前も知らないなんておかしいですよね……」
「うん!さすがに知ってるよ!あのレベルになると!……ってなると新人さんかな?」
「いきなり3人もですか?それにあのレベルを一気にスカウトするなんて無理だと思います……」
「うん……そうだよね?やっぱり声かけるしかないかな?……」
「そうですね。それが1番早いかと」
「よし!わかった!私が声かけるよ!だから一緒に来て!」
有栖と日向は3人の元へ向かった。
◆◇◆◇
「神楽坂……コーラーとか有り得ない。炭酸の良さが分からない」
「はぁ!?あんた今炭酸バカにした!?許さないわよ!?ふんっ。あんたみたいなお子ちゃまはオレンジジュースで十分ね」
咲と美颯はまた喧嘩している。炭酸が好きか嫌いかのくだらない喧嘩だ。
「全く2人は本当に仲良しですね。」
「凛は……水?水好きなの?」
「はい。水は肌にもいいと言いますし、自販機で何かを買う時は水を買ってます。」
「「美意識たっか…………」」
2人の声がハモった。自販機で肌の良さを保つために水を買うなんて2人には考えられない事だった。
2人の喧嘩が収まったそんな時……
「あのちょっといいですか……?」
2人の美少女が声をかけてきた。その正体は有名女優の日向と有栖だった。




