約束ですよ、お兄様!
学校が近付くに連れ、生徒の人数も増える。
俺と、凛が並んで歩いている姿を見ると周りの生徒達が小声で話し始めた。
内容はよく聞こえないが、だいたい想像する事はできる。凛の隣に歩いてる俺の事についてだろう。
凛はすごくモテる。だから狙っている男子も多い。
そんな凛の隣に、昨日までは不潔な男子(俺)がいたのにいきなり美青年(俺)になっているんだらから注目されるのも当然だろう。
まぁ、アイツらは、俺が変わりすぎてこいつの兄であると言うことにすら気がついてないだろうがな。
……あともう一つ原因があるとすれば……
「凛…そろそろ腕離してくれないか?歩きにくいんだけど……」
凛が俺の腕に腕を絡ませてくるのだ。
傍から見ればカップルにしか見えないだろう。
凛に彼氏ができたと勘違いして、泣き崩れている男子もいる。
「なりませんお兄様!今のお兄様は私が守らなくてはなりません!」
「いや…守るってなにからだよ?」
「もちろん!お兄様を狙ってくるビッチからですっ!」
ビッチって……凛はそんな言葉どこで覚えて来たんだか…。ま、まぁ確かに女子からの視線もすごい気がする。
「凛は俺とカップルだと勘違いされてもいいのか?」
「本望です!!将来私は、お兄様と結婚したいと考えています。あぁでも、兄妹での子作りは危険と聞いたことがあります。だから私は子供はいりません!」
で、ですよねぇ……
凛って超ブラコンだからなぁ…。本気で俺と結婚したいって考えているんだろうなぁ…。
まぁ俺も正直、満更ではなかったりもする。
よく分からん男に凛をやるくらいなら、俺と結婚して2人仲良く暮らしたいと思っている。
それまだ凛には内緒だがな。
「結婚式はハワイがいいです!……あとこれは私のお願いなのですが、結婚式は2人きりでしたいんです……他の人は一切呼ばないで…私とお兄様の2人きりで…」
凛が恥ずかしそうにそう言った。
どうやら凛は相当先のプランまで考えているらしい。いや、そんなに先の話ではないのかもしれないが。
「考えとくな。」
俺は笑ってそう言い、凛の頭を撫でた。
凛は「約束ですよ…」と、頬を膨らましてそう言った。
これから先、お前が俺以上に好きになる奴が現れなかったら……その時は俺がお前と結婚してやんよ。
俺は心の中でそう呟いた。
◇
俺達の学校は各学年ごとのTOP10の名前を大きな貼り紙に印刷して発表される。
ほかの学校の事はあまり分からないが、こんなやり方をしてるのは多分俺達の高校だけだと思う。
今日もその貼り紙の前に人だかりができている。
しかし、雰囲気がいつもと違う。
まぁ、それは当然かもしれない。
だって今回のテストの1位は…今まで無能と呼ばれ続けてきたてきた俺なのだから。