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かっこいいです、お兄様!

テスト結果発表当日の朝の話。


俺はいつも通りの時間に起きて、歯と顔を洗いリビングにあるソファーに座っている。


「お兄様、朝ご飯ですよ」


凛のその声で俺はテーブルへと向かった。


今日の朝ごはんは、食パンに目玉焼きといったシンプルな料理だった。ちなみに俺も凛も朝は、断然パン派である。


「「いただきます。」」


俺と凛は声を揃えて言った。

食パンにバターを塗り、食べ始める。


「あの、お兄様…今日から1つだけ私のお願いを聞いてもらってもいいですか?」


凛が突然そう言った。


「ん?なんだ?俺のできる範囲でならかまわないぞ。」


「ありがとうございます!――それで私のお願いなのですが…今日から身だしなみにも気を使ってほしいのです!」


「身だしなみ…?それまたどうして?」


「今日はテストの結果発表ですよね?本気を出したお兄様が1位なことは既に確定しているようなものです。そんな素晴らしい結果を出したお兄様が身だしなみにも気を使ってくれるとさらに美しくなるのですよ!あ、もちろん私は今のお兄様も愛しています♡」


「う、うん……」


あまり凛が何を言ってるのか理解出来ていないが、言いたいことは何となくわかった。

つまり、学年1位に似合う身だしなみをしろってことだよな?

たしかに今の俺は寝癖も治していないし、髭もそっていない。かなり不潔に見えるだろうな。


「と、言うことで朝ごはんを食べたらもう一度洗面所へと行きましょう!私がお兄様の髪をセットするのでお兄様は髭をそってください!」


「ん。了解した」


俺はそう言い、食パンを口に詰め込んだ。





1度寝癖を治すために髪全体を濡らして、その後ドライヤーで乾かして、少量のワックスを手に取った凛は俺の髪の毛をセットしてくれている。


ちなみに髭はドライヤーをしてくれている時点で全て綺麗に剃ってしまった。

髭は一昨日そったので量的には多くはなかった。


〜2分後〜


「よし…完成しましたよ!お兄様!」


凛がそう言うと俺は自分の姿を鏡で見た。


「おぉ…これはすごいな」


そこには美青年が映っていた。

まるで美容院に行った後みたいな感じだ。セットが上手すぎる。

凛にはこういった才能があるのかもしれないな。


「お、お兄様、かっこいいです!かっこよすぎます!いつものお兄様は可愛い感じですが、こっちのお兄様はかっこいいです♡」


目をハートにして凛はそう言った。


「凛のおかげだよ。ありがとうな」


俺はそう言い凛の頭を撫でた。

すると凛は


「えへへ。おにぃしゃま〜♡♡」


と、気持ちよさそうな声を出していた。


そんな声を出されるともっと撫でたくなってしまう。しかし、朝は時間がないのでここまでだ。


「よし!じゃそろそろ学校に行くか!」

「はい!お兄様!」


凛は満面の笑みでそう言った。


こうしてテスト結果発表当日の朝は幕を閉じた。


そしてこの時の俺はまだ知らない。

今日を境に俺の日常が、変わり果てていくことを。


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