なんだアイツ
はぁ……よりにもよって今日体育1時間目かよ……。俺はそんなことを考えながら凛と共に通学路を歩く。
「お兄様、もっと背筋をピシッとしてください!せっかくのスタイルと顔がだいなしですよ!」
「え、あぁ、すまんすまん。」
凛に言われ、俺は猫背を治した。
「そんなに体育が嫌なんですか?意外と楽しかったりするかもしれませんよ?」
「いや……まぁそうかもしれないが…1時間目ってのが憂鬱なんだよ…。気分的にな」
「なるほど…その気持ちはわかります。ですがお兄様?おサボりは許しませんよ?」
「わってるよ……。」
はぁ……。まぁ適当に頑張ろ。
俺は心の中でため息をついた。
少し歩いた先に石田さんと神楽坂さんがいた。
「あ、あら!神沢兄妹じゃない!奇遇ね!こんなとこで偶然会うなんて……!」
「ん?神楽坂は何を言ってる?2人をここで待ち伏せしようと言ってたのに」
「ちょっと!石田咲!どうしてそれを言うのよ!あんたってホントに馬鹿なやつね!」
2人は昨日でとても仲が良くなったようだ。
喧嘩するほど仲がいいとはまさにこのことだ。
「おはようございます。咲さん。神楽坂さん。」
凛は2人にそう言った。
俺も凛に続いた。
「おはよ。2人とも。相変わらず仲がいいな」
「お、おはよう…!な、仲なんてよくないわよ…………」
「ん。2人ともおはよう。あと神楽坂とは死んでも仲良くなるつもりはない」
「そ、そこまでなの!?石田咲!」
「冗談。」
「そ、そう。冗談ね……。」
神楽坂さんは安心した顔をした。
俺には『よかった』と声も聞こえた気がしたが……
「お、お兄様?予鈴までもう時間がありません!急がないと!」
「え、ま、まじでか!?」
結局俺達4人は学校まで走ることになった。
◇◆◇◆
「神沢…私は更衣室に行く。また後で」
同じクラスの石田さんは俺にそういい教室を出て行った。
クラスの男子達も体操服に着替え始めている。
はぁ……
いつもなら着替える必要なんてないけど…今日は着替えるしかないか…。
俺も大人しく着替えることにした。
上の服を脱ごうとした時、クラスの男子達が俺の机を軽く蹴ってきた。
「あれ?無能君体育するの?不正でいい点数取って、ちょっと髪整えてみんなにチヤホヤされて調子にのちゃった?」
なんだこいつ……
確か…陸上部の…ナントカカントカさん……いやダメだ。名前すら思い出せねぇ…
こいつの周りにいるのも確か陸上部…確かだけど。
俺は無視し、着替えに取り掛かる。
「……おい。無能……てめぇ無視すんじゃねぇよ!」
俺の机が倒れた。
ナントカさんが蹴ったのだ。
……ったく。物に当たってんじゃねぇよ
俺は上の服をぬいだ。
「無能のくせに……調子乗ってんじゃねぇよ!」
ナントカさんは、勢いよく俺に殴りかかろうとしてきた。しかし、直ぐにナントカさんの動きが止まった。
「…………お、お前…なんだよ…その体…チッ……クソが。今日の体育は短距離走だからな…そんな筋肉関係ねぇんだよ」
と、訳の分からないセリフを残し去っていった。
一体何がしたかったんだ?まぁいいか。
それにしても短距離走か……マジで帰りてぇなぁ……




