神沢家、集合!
「それでお兄様……どうして今私達の家に、咲さんと神楽坂さんがいるんでしたっけ……」
凛が不機嫌そうに言う。
はぁ……。
あの後、神楽坂さんと、凛と、石田さんが友達になれた。んで、その後またみんなで勉強しよう!ってなったんだけど……図書の先生にもう帰れと言われてしまった。
普通ならそこで今日の勉強会は終わりのはず。
はずなんだが……2人とも俺達の家に着いてきてしまったのだ。
「神沢宅中々綺麗にしてるじゃない!二人暮しの割には上出来ね」
すごく上から目線で言う神楽坂さん。あんたはどうしてそんなに偉そうなんだ。
「ん。それにこの家すごくいい匂いがする。凛の匂いと、神沢の匂いがする。」
「まぁ……そりゃ俺と凛が住んでるからな」
石田さんも鼻をくんくんとして、匂いを嗅ぐのを辞めて欲しい。堂々とやられると結構恥ずかしいんだぞ。
「とにかく!咲さんも美颯さんも!7時までにはぜっーーたい!帰ってくださいよ!」
「わかった。」
「ふん。分かったわ」
二人は凛の言ったことに素直に返事をした。神楽坂さんは素直かは微妙だけど。
「神沢、凛、神楽坂皆にも1つお願いがある…」
石田さんがそう言った。
「ん?なんだ?」
俺はそう返事をした。
凛と神楽坂さんも首を傾げている。
「みんなで写真を撮りたい。私……初めてこうやって友達の家にあがってみんなで楽しくお喋りしてる。思い出に1枚撮りたい」
石田さんは少し恥ずかしそうに言う。
確かに、石田さんは教室でもいつも一人でいる。
だからこうやってみんなでいるのがとても楽しいんだろう。
「俺は全然おっけーだぞ!」
「私もかまいませんよ。」
「わ、私も別にいいわよ!……あとで撮った写真送りなさいよね……」
俺達がそう言うと、石田さんはすごく笑顔になった。俺の中で石田さんは無表情の子だった。しかし、本当は石田さんは感情豊かな子なのかもしれない。
「うん!みんな……ありがとう」
そして俺達は、みんなで横に並んで写真を撮った。
その後俺達は、勉強などすることなく雑談をするだけで解散の時間になってしまった。
玄関に2人をむかわせる。
「今日は突然家に来てごめん。少し反省してる……」
「いや、まぁいいよ。結構雑談も楽しかったし、また来てくれ。」
「そうですね。是非また来てください!」
「ん。ありがとう」
「ちょっと!私の存在忘れてないでしょうね!?」
「あぁ。もちろん忘れてないぞ。神楽坂もまた来いよ。」
「ふんっ!し、仕方ないわねぇ……どうしてもって言うならいいわよ。」
うん。相変わらずのツンデレだ。
「あ、そうだ。みんなに1つ確認しておきたい。この画像ネットにあげてもいい?」
「ネットってTwitterとかInstagramだよな?まぁ別に俺はいいけど……?」
「私も別に大丈夫です」
「すきにしなさい!」
「わかった。ありがとう」
そう言うと、二人は出て行った。
ま、ネットにあげると言っても所詮学校の生徒とかしか見ないだろう。ただの一般人の投稿なんてな…。幅広く見られても友達の友達くらいだろうし。
この時の俺は、まだ知らない。
石田さんのSNSのアカウントのフォロワーが50万人を超えているということを……




