友達になってあげるわ、神沢
放課後になった。
俺と凛と石田さんは図書館で勉強している。
勉強していると言っても、俺と凛が石田さんに教えている。
石田さんも普通に頭がいいため、教えると直ぐに理解してくれる。
ぶっちゃけもう教えることがない。
「ん。2人が教えるの上手いからもう完璧に理解した。ありがとう」
石田さんは俺と凛にそう言った。
「そうか、ならよかったよ」
「はい!咲さんは頭の回転がすごくいいので教えやすかったですよ」
俺達がそう言うと、石田さんは少しだけ顔を赤くした。
時刻は5時前だ。
小一時間くらいの勉強だった。
だが、教えるのはどうにも向いてないらしい。かなり疲れた。
「それじゃ今日は帰るか…」
「そうですね!お兄様!」
「了解」
俺達は、勉強道具を片付け、鞄に治す。
「やっと見つけたわ!神沢兄妹!石田咲!」
図書室の扉が勢いよく開いた。
……そこに居たのは…また神楽坂さんだ。
「神楽坂……何しに来た。もう私たちの勉強は終わった。今から帰るとこ」
石田さんはそう言った。
「なに勝手にやってるのよ!そんなのってあんまりじゃない!!」
「神楽坂とは一緒にする約束はしてない」
「……なによ…私だって一緒にしたかっただけなのに」
神楽坂さんは小さく呟いた。
恐らく、凛にも石田さんにも聞こえてはいないだろう。だが、俺の耳にはしっかりとその声が聞こえた。
「それじゃ私達は帰るから。行こ2人とも」
石田さんはそう言って歩き出したが俺はそんな石田さんを止める。
「石田さん少しだけ待ってて。」
俺はそう言い神楽坂さんの方へと向かう。
「ねぇ、神楽坂さん…」
俺は神楽坂さんにしか聞こえないような声で話す。
「なによ……神沢 優…」
「神楽坂さんって本当は友達になりたいんだよね?石田さんや、凛と。ついでに俺も?」
「……なっ!私は別にそんなつもりは……」
「あははっ。神楽坂さん演技下手すぎ。今ならまだみんな仲良くなりたてだから入りやすいと思うよ?」
俺はそう言うが神楽坂さんから返事はない。
「今のうちにみんなと仲良くなってた方がいいと思うよ?友達になりたいんでしょ?石田さんと、」
神楽坂さんは顔を赤くしてコクコクと頷いた。
「よしっ……なら一緒に行こう。チャンスは今だ。」
俺はそう言って石田さん達の方へと向かおうとしたのだが……
「まって!……」
「……どうしたの?」
「そ、その……!し、仕方ないから神沢 優!貴方とも友達になってあげるわ!」
神楽坂さんは真っ赤な顔でそう言った。
「それはそれは、ありがとうございます。」
俺は優しい笑顔でそう言った。
「ふんっ!」
そう言って神楽坂さんはそっぽをむいて俺の後をついてきた。




