夕方の先
人生のさきっちょ
道の延長
崖の先延ばし
どうしようか
目の前は薄暗いのに足が動かされる
紅く染まる夕日
頭の下がりきらない稲穂
耳を浸す蝉の合唱
外しきれない足枷
時々轢かれそうになる
泥に遊ばれた衣服が汗に滲む
空気を揺らすのに飽きたアスファルト
体を蝕む暇が
終わりを告げる蜩が
引き伸ばされる時間軸が
未だ夕方
ほっといてくれない
感傷は食い散らかした
感動は置いてきた
心象の語彙を失った
変わりゆく思想
朝に起こしてくれる人はいない
それでも帰る場所があってしまう
ありがとうございました




