第11話 Antinomie
『 Antinomie 』
20XX年に突如ネット上に配信されたそのオンラインゲームは空前絶後の大ヒットとなった。ゲームは剣と魔法が存在する一つの世界に全てのプレイヤーが参加する王道ファンタジーのMMORPGである。世界は人間界と魔界に分かれ、プレイヤーは一人の勇者として人間界に降り立ち、モンスターと戦ったりギルドの依頼をこなしたりすることでレベルを上げながら最終的に魔界に君臨する魔王の討伐を目指す。誰でも簡単にしかも無料でダウンロードができ、ゲーム内においても課金することなくプレイすることできた。さらにクオリティは無料ゲームとは思えないほどに高く、登場人物や背景のグラフィックは鮮明かつ美麗、フィールドマップは他のゲームに類を見ないほど膨大、BGMについても軒並み評価が高い。また他にもゲーム内に登場するCPUがあたかも最新鋭のAIシステムが導入されているかのように高知能かつ本物の人間のような言動をするなど、評価点は数え切れないほど多くある。そのためプレイヤーの数は瞬く間に増えていき、社会現象を呼び起こすまでになっていた。以下はこのゲームの概要である。
ゲームを立ち上げるとまず初めにプレイヤーの設定を行うことができる。設定では、性別、年齢、身長、体重の順に入力していき、自動生成された見た目を好きなように修正することができる。設定が終わると、プレイヤーはホームと呼ばれる人間界の拠点に降り立つ。ホームは全部で5つ存在する。緑豊かな〈ラフレシア・ガーデン〉。寒冷な〈アイス・バーグ〉。砂漠地帯の〈ロンリー・サンド〉。鉱山が集積する〈アメジスト・マイン〉。寂れた工業地帯の〈オールド・ブルー〉。これら5つあるホームの内、初めに降り立つホームはランダムで決まるが、一定の条件を満たすと別のホームに移動することができるようになり、拠点を移し変えることもできる。人間界にはこれら5つのホーム以外にも大きなフィールドゾーンが存在する。それは〈カセンドラル〉という場所である。カセンドラルは人間界のちょうど中心に位置しており、さらに大地が魔法の力によって浮いている。そのため中に入るには各ホームに存在する城門と呼ばれる特別な門を通らなくてはならないが、城門はゲーム内に登場する特別な人間しか通ることができず、プレイヤーは基本的に通ることができない。プレイヤーがカセンドラルに入る唯一の方法は、各城門を守護する守護神を倒すことである。ただし守護神はどれも破格の強さを有しており、並大抵のレベルやスキルでは全く歯が立たない。カセンドラルには大聖城と呼ばれる巨大な建造物があり、そこには何人もの聖女と、そして彼女たちが仕える大聖人と呼ばれる人物がいる。聖女は魔物が苦手とする光の力を操り、魔王を討伐せんとする勇者の力になろうとする。一定の条件を満たすことによって聖女を仲間にでき、魔界において共闘することができる。
このゲームの最終目標は魔王を倒すことである。魔王が君臨する魔界は人間界のちょうど裏側に存在すると言われており、プレイヤーは両者を繋ぐワームホールを通ることによって行き来することができる。ただし魔物と呼ばれる魔界のモンスターもまたそのワームホールを通ることで人間界に侵入してくることがある。魔物は人間界のモンスターよりも強く、特殊な技や武器を持ち、中には人間のように喋ることができる個体もいる。プレイヤーは人間界である程度レベル上げを行なった後、魔王討伐に向けて魔界を探索することになるが、そこで一つ注意しなければならないことがある。それは、魔界で体力が0になった場合、そのプレイヤーの情報が完全に消滅する、ということである。人間界ではたとえ体力が0になったとしても多少のペナルティを受けるだけで、しばらくすれば自分の拠点で復活することができる。しかし魔界では永遠に復活することができず、再度プレイするには一からレベル上げをしなければならない。
このゲームは配信当初から難易度が非常に高いと言われていた。それは魔界で死ねば永遠に復活することができないからというだけでなく、単純にレベル上げがかなりの時間と手間を要したからである。基本的にはモンスターを倒すことで経験値を稼ぐわけだが、自身のレベルより低いモンスターを倒した場合にもらえる経験値は極端に少なく、レベルが上がれば上がるほどもらえる経験値の量は激減していく。そのため、最高100レベルまであると言われたこのゲームで、ほとんどのプレイヤーがレベルを50まで上げることすらできなかった。これによってこのゲームが配信されてから2年の月日が経っても魔王を倒すことができたプレイヤーは一人も現れず、まして守護神すら倒すことができなかった。ネット上ではだんだんこのゲームの攻略が事実上不可能なのではないかという噂が流れるようになり、次第にプレイヤーの数は減っていった。その影響があってか、3年目に入った頃に運営側が特別なアイテムを提供することを発表した。それは例えば、簡単にレベルを上げることができるようになるものや戦闘において優位になれるようなものであった。それらのアイテムを手に入れるにはゲーム内において課金する必要があったが、プレイヤーの多くはそれを受け入れた。こうしてゲーム内でできることの幅が広がり、プレイヤーの数は再び上昇を見せることになったが、しばらくして再びプレイヤーの不満が徐々に高まっていった。それは、どれだけ課金アイテムを使っても魔王を討伐することができなかったからである。プレイヤーの中にはこれが詐欺だと訴える者もいた。それでも運営側が課金アイテムの使用を促し続けたため、プレイヤーの数は再び減少し始めた。当初は誰もが絶賛するゲームであったにもかかわらず、この頃になると誰もがこのゲームを酷評するようになっていた。それも全て魔王が絶対に倒せないようになっているとしか思えなかったからである。しかし3年目の終盤になって突如、二人の凄腕のプレイヤーが現れた。一人は剣術士の男性プレイヤーであり、もう一人は魔術士の女性プレイヤーだった。二人のレベルは軽く90を超え、今まで誰も見たことがないような技やスキル、武器を所持していた。二人のプレイヤーはあっという間に魔界の最深部まで攻略し、ついに魔王を倒した。ネット上では二人を〈伝説の勇者〉として称える声で溢れ、このゲームに対する評価も概ね好転した。ただ一方で、なにか不正が行われたのではないか、あるいは運営側が仕組んだ陰謀なのではないかという噂が密かに囁かれた。なにはともあれ、魔王が討伐されたことで人間界と魔界の繋がりは完全に断ち切られ、人間界はとても平和になった。そのためこのゲームをプレイする者はほとんどいなくなり、魔王が討伐されて数ヶ月が経った頃に運営側が公式にサービスの終了を発表した。
このゲームの配信元であり、運営を行なっていた『Crimson;Unity』についての情報はほとんどなく、その実態は現在でも謎に包まれている。雑誌などの取材もことごとく断り続けていたらしい。そのためネット上では様々な憶測やデマが流れた。一説によれば、あれほど完成度の高いゲームを作った上に、しかもそれを無料で配信したことから、あれは大手ゲーム会社が愉快的に行ったのではないかと言われている。一方で、ある説によると、あのゲームは何人かの学生がただ単に趣味で作ったものに過ぎないとも言われている。真偽のほどは結局分からずじまいであり、ゲームがプレイされなくなってから日が経つごとに段々とそのゲームのことを口にする者は減っていった……
…...そんな中、誰もがそのゲームを忘れ去っていた頃、突如ネット上に奇妙な噂が流れ始めた。それは、運営を行なっていた『Crimson;Unity』のメンバーがことごとく失踪するという噂だ。しかしどうしてそのような噂が流れ始めたのか、出所がどこなのかもわからずじまいであり、信憑性の低いこの情報を鵜呑みにする者はほとんどいなかった。
***
〈カセンドラル〉
-大聖城-
色鮮やかなステンドグラス越しに差し込まれる日の光を浴びて、一人の少女がゆっくりと歩みを進める。コツ、コツという規則的な足音が全くの静けさに包まれたこの巨大な空間に響き渡る。少女の体は豪奢な鎧風の衣装に包まれ、凛とした雰囲気を存分に醸し出していた。白く美しい雪のような大理石の上に敷かれた薔薇のような紅に染まるカーペットを進んで行った先に、一人の人物が待ち構える。彼は大聖人と呼ばれるここ大聖城の当主にして、人間界を象徴する人物である。しかしその姿は薄い布によって仕切られているためはっきりと見ることはできない。分かるのは彼が荘厳な衣装を身に纏い、頭には冠をかぶっているということくらいである。
少女は低い段差を前にしてようやく歩みを止め、その場にひざまづき、恭しく頭を下げた。
「オリーヴァ・デル・フランシス。ただいま参上しました」
清く透き通った声が辺りに響く。少女の言葉を聞いた大聖人は彼女に頭を上げるよう言い渡し、参上したことに対して優しい言葉で労った。
「お言葉、ありがたく頂戴いたします」
そして大聖人は一つ呼吸を置いた後、早々に話を切り出した。その内容は、先日出現したと言われる魔物についてだった。
「魔物、ですか」
大聖人は以前、魔物の存在を探知し、それを調査するべく一人の聖女を派遣していた。当初は魔物の数も強さも微々たるものであり、対処するのにその聖女一人で十分だと思われていたが、それから数日が経って、さらに多くの魔物やより強大な魔物の出現を探知した。
「そのような事態になっていたとは、今すぐ救援を向かわせるべきではありませんか」
少女はわずかに慌てた様子でそう訴えたが、大聖人は落ち着いた態度を決して崩すことなく首を軽く振り、それほど慌てる必要はないと言った。少女は不思議に思ったが、大聖人が言うには、探知した魔物の存在がつい先ほど全て綺麗に消滅したからであった。
「まさか、その聖女が一人で?」
少女の疑問に対して大聖人は端的に分からないと言った。確かに聖女が魔物に対して優位であることは間違いなく、派遣した聖女もそれなりの実力者であったはずだが、それにしても一人であれほどの魔物を全て倒したというのは大聖人でさえにわかには信じられなかったからである。
「それでは、協力者がいたということでしょうか?」
最も考えられる可能性の一つがそれである。しかし、それがあまり信憑性のない可能性でもあることを大聖人だけでなく発言した少女自身も理解していた。魔王が討伐されたことで世界が平和になり、カセンドラルに住まう一部の人間を除けば人間界ではむやみに戦う者はほとんどいなくなっていた。そのため今のこの世界に魔物を倒すことができる人間がそう簡単にいるはずがない。そのような人間が仮に何人かいるとしても、まさか魔物が出現した場所に偶然居合わせていたということがどうにも腑に落ちないのである。
「それは確かに、どこか奇妙な話ですね」
ここまでの話を聞いた少女もさすがに自分がどうしてここに呼ばれたのかに気づき始めていた。そこで大聖人は少しの間を置いた後、少女にある提案をした。それは、これらの疑問を払拭するべく、少女にその事実を確認してきてもらうというものであった。なぜその少女なのかと言えば、彼女は聖女に負けず劣らずの戦闘経験とレベルを有しており、何より大聖人が最も信頼を置く人物の一人だからである。
「その任務、謹んで拝命いたします」
少女は文句ひとつ言うことなく、その提案を受け入れた。大聖人は感謝の言葉を述べつつ、少女に対して決して油断してはならないことを忠告した。
「ご忠告誠にいたみいります」
そして少女はその場で立ち上がると頭を上げた。
「それでは行って参ります」
少女は再びカーペットの上を歩き大聖城を後にしようとする。その堂々たる振る舞いからは少しも不安や気後れが感じられない。それは、これから危険な魔物あるいはそれを倒したと思われる強力な人間と対峙するかもしれないと分かっていても、少女は自分の実力を信じて疑っていないからである。一方でそんな彼女の後ろ姿を見守る大聖人の表情は決して芳しくはなかった。はっきりとした根拠はない。しかし大聖人の胸中には確かに一抹の憂慮があった。少女の身に何かよくないことが起こるのではないか、と。
***
〈ラフレシア・ガーデン〉
-ヤドリギの街-
▼宿屋
「…...もう、頭にきた」
一人の女性が険しい表情を浮かべながら自室の扉を荒々しく開いた。そのまま廊下に出ると、隣の部屋の前まで移動し、その閉じられた扉を思い切り叩き始める。
「ちょっと出てきなさい!」
金切り声に近い大声を出して扉を叩き続ける。その力強い拳は今にも扉に穴を開けてしまいそうな勢いだった。しばらくしてようやく扉が開いたため、彼女は叩くのをやめた。するとわずかに開かれた扉の隙間から何者かがサッと出てきた。それは彼女から見ても相当歳の若い少女だった。少女は彼女に何も告げることなく逃げるように建物の出口へと走って行ってしまった。彼女はその少女に全く見覚えはなかったが、少女がなんのためにこの部屋にいたかは、少女の苦悶に満ちた表情と乱れた衣服を見れば嫌でも想像することができた。彼女の表情はより険しさを増していく。そして彼女は少女が消え去ったことを確認するまでもなく、扉を大きく開き部屋の中へと立ち入った。
「もういい加減にしなさいよ!」
開口一番に放たれた言葉はこれまでで一番の声量と迫力を帯びていた。
「聞いてるの!?」
彼女に怒鳴られながらも、その人物はベッドに寝転んだままほとんど反応を見せない。しびれを切らした彼女はとうとうベッドのそばまで近寄りその人物を覆っていた布団を思い切り引き剥がした。
「起きなさい!」
「……うるさいな」
現れたのは一人の男性だった。彼は彼女の方に少しだけ視線を送ったが、すぐに目を閉じた。そして一切衣服を着ていないにもかかわらず、恥じ入ることなくベッドの上で寝転び続けた。
「うるさいのはあんたの方よ!こんな朝から何してんの!少しは周りのことも考えなさいよ!」
「そんなに気になるなら出て行けばいいじゃないか。宿なんて他にいくらでもあるだろ」
「そういう問題じゃないでしょ!」
彼の軽薄な態度に彼女の怒気はますます高ぶっていく。
「自分のやってることが恥ずかしくないわけ!?」
「いいだろ別に。犯罪ってわけでもないんだから」
「……最低」
その瞬間、彼女の怒りは一気に落ち着いていった。代わりに冷たく鋭い軽蔑の眼差しを彼に向けると、彼から一歩でも離れるように壁際まで遠ざかった。しかし彼はそんな彼女の行動を一切気にとめることなく、再びつぶやくように言葉を発した。
「それに、他に何しろって言うんだよ」
「はっ?」
彼の言葉を聞いて彼女の怒りが再び込み上げてくる。
「あんた分かってるの!?私たち“この世界”から出られなくなってるのよ!少しは真剣に考えなさいよ!」
「考えただろ散々。だけどこんな広い世界、俺たちだけで手がかりを探すなんて無理に決まってる」
「あきらめないでよ!いやよ私はこんな世界!早く元の世界に戻りたいの!」
「うるさいな。そう言うお前は何か一つでも手がかりを見つけたのかよ」
「それは…...今から探そうと思ってるのよ!」
「そうかい。なら頑張れよ」
「あんたねぇ!協力くらいしたらどうなの!」
頭に血が上り興奮を抑えきれなくなってきた彼女の声量はさらに高まっていき、喋るスピードも上がっていく。彼の方も彼女に対する嫌悪感が増していくとともに次第に苛立ちを隠せなくなってきた。
「いちいちうるせぇな!何だよさっきから文句ばっか言いやがって!お前何様のつもりだよ!」
彼はとうとうベッドから起き上がると、威嚇するように彼女との距離を詰めて行く。彼女も彼の態度の豹変に一瞬驚きつつも、それを悟られまいと威圧的な態度を決して崩すことなくむしろより高圧的な視線を送る。
「あんたが真面目にやろうとしないのがいけないんでしょ!」
「俺だって真面目にやってるよ!」
「嘘言わないでよ!本当どうしちゃったのよ!昔はもっと気が利いたのに!」
「はっ!?お前の方が昔に比べて図々しくなってるんだよ!」
「そんなわけないでしょ!」
「そんなわけあるよ!」
「…...もう知らない!」
彼女は彼に背を向け、部屋の出口まで行くと、彼の方に振り向くことなく扉を思い切り閉めた。そして再び自分の部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。彼女の彼に対する怒りは本物だった。今すぐにでもぶん殴ってやりたい、彼の元から離れてやりたいという気持ちで溢れていた。それでも彼女は決してその場から動こうとはしなかった。そんな自分に嫌気がさしたのか、それとも声を張りすぎて疲れてしまったのか、彼女は服を全て脱ぎ去った後布団にくるまりながら眠りにつこうとした。
二人は元々恋人同士だった。同じ趣味を持ち、同じ目標を持って共に協力し合うことができる良いカップルだった。しかしあることをきっかけに二人の距離は次第に離れて行った。そして恋人関係がほとんど自然消滅していた頃、二人はこの世界に閉じ込められた。それ以来二人はほとんど毎日のように言い争いをしてきた。お互いに気持ちが不安定な状態が続いていて、ちょっとしたことですぐに気が立ってしまったからだ。それでも二人は、たとえどれだけ激しい喧嘩をした後でも、一度も別れることなく絶えず共に行動してきた。それはひとえに、この謎に包まれた状況においてお互いが唯一の見知った存在だからであり、絶対に失ってはいけない関係だということを無意識のうちに自覚しているからである。
そして気持ちの整理がつき始めた頃、二人はようやく冷静になって話し合うことができるようになった。自分たちの置かれている状況を再確認したり、街の中を歩き回ったり、住民と話し合ったりすることで情報を集めた。とはいえ、分かったことと言えば自分たちが今まで経験したことがないような事態に巻き込まれているというだけのことで、この世界から脱出するための手がかりになるようなことは何一つ見つけられなかった。
「……きっと、全部あいつの怨念なんだ。俺たちをこの世界に閉じ込めて苦しめようとしてるんだ」
「バカなこと言わないでよ。それに第一、私は何もやってないじゃない」
「嘘つけ。お前だって陰であいつの悪口を散々言ってたじゃないか」
「それは……」
落ち着いて話し合うようになってから二人はこの世界に閉じ込められた理由をいくつも考えてきた。しかしどんな理由を考えても、しかもそれがまともな理由であればあるほど、これほどの超自然的な現象を説明できるようなものはなかった。そして最終的に二人の脳裏にとある人物が思い浮かんだ。それから二人はその人物に恨まれていたかもしれない、その人物の怨念が生み出した世界に閉じ込められたんだと半ば信じるようになっていた。かといって何か証拠があるわけでもなく、本当のところは何も分からないままだった。
「……もしかしたら、俺たち以外にもこの世界に閉じ込められてるやつがいるかもしれない。まずはそいつを探すぞ」
「探してどうするのよ」
「話を聞くんだよ。何か知ってるかもしれないだろ」
男の提案に対して女は少し小さな声で「分かった」と言って同意を示した。そして二人は外の世界へと繰り出した。男の手には大きな剣が、女の手には豪華な杖が握られていた。