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HERO SAGA ~NOAH~  作者: 陰キャ怪獣ザトウクジラ
第二章 超高速と無風注意報
12/12

鮮烈のアフターショック

今回から新章スタートです!とは言っても敵が

ブリザード→カームに変わっただけですが…

 ~銀河山付近の病院~

 宿での事件の後、レイは早急にこの病院へ運び込まれた。

 ギリギリのところで一命をとりとめ、これから流離市の病院へ搬送されるところだ。

「なぁヒーローマン…貫通パンチを喰らっても無事っていうのは要するに…暗黒の巨人のオーパーツの副作用…ってことだよな?あんなに冷たくなっても心臓が動き出したってことは…」

「ああ。アナザーワンを筆頭とした暗黒の巨人には基本的に死は存在しない。ダークブリザードに高い適性を持つ彼女を完全に殺害するには今のアナザーワンでは力不足ということだ。だとすれば、肉体を破壊しようとするだろう。恐らく仕掛けるのは流離市までの道中。搬送車が襲われる可能性が高い!」

「なら大丈夫だ。同乗できるように話は通してある。」

 そう。この早星秀樹という男は変なところで用意周到なのである。

 いつもの態度とは裏腹に、常人を超えた先見性は時に大きな武器となる。

 彼はレイが搬送車で運ばれると聞いた時点でそれが襲われる可能性を考えた。

 そして教師と医師、その他関係者諸々に話を通しておいたのだ。

「で、どう話したんだ?『レイちゃんと一緒に帰りたいです』といっただけでは同乗できないだろう?」

「それは…」

 この男、ついさっきまで関係者諸々にとんでもない嘘を言いふらしていたのである。

 その内容というのは、

「俺は氷咲の彼氏です!どうか同乗させてください!」

 といったものである。

「そうだ秀樹、なんて言ったのか当てて見せよう。そうだな…言いたがらないってことは…」

「ではそろそろ出発します。忘れ物は無いですか?」

 ヒーローマンの思考が結構いい線まで行ったところで搬送車は宿を()った。

 ~山中の道路~

「ヘェ…なるほど…つまりこういうことだ。早星秀樹という卑劣な男は女の子が気を失っている間に「自分はその子の彼氏だ」と嘘を流し、既成事実で外堀を固め、彼女の意思に関わらずお付き合いする計画を…控えめに言ってクズの手段だな…」

「待ってくれ!俺はそんなつもりなかった!ただその…邪念はあった…ロマンというか…」

 先述した通り秀樹は先見性がとても優れている。が、代わりに大きな欠点がある。

 そう。奴は天然でやらかす。一ミリの悪意も無く結構エグイことをしでかす。

「そうかそうか。君はそういう奴なんだな。好きな女の子を自分のロマンのためだけに利用する。そういうヒーローも斬新でいいと思うよ。うん。」

「腕時計叩き割るぞコノヤロウ」

「冗談だ。それに、彼女が君に対し好意を抱いているのは事実だ。私としては君たちのゴールインを祝福したい。」

「ゴッ!?ちょっと待て一体どこまで話が飛んだ?」

「ゴールインは言いすぎだな。まぁ簡単に言えば、二人とも生きてこの戦いを終えてほしい。」

「二人ともって…それを言うなら『みんなで』じゃないのか?」

「それもそうだな…だが今はそれどころじゃ無いらしい…山の斜面を見るんだ。あのカーブの所。違和感が無いか?」

 秀樹はふとヒーローマンの言った方向を見る。

 百メートルちょっと先のカーブの上の方、コンクリートで固められた部分に三本の亀裂が入っていた。

「あれは…爪痕か?」

「恐らく。傷の深さと間隔からして怪獣の種類は…」

 ヒーローマンは思考を巡らせ怪獣の正体を突き止めようとし、秀樹はいつでも変身できるようにオーパーツを手首に突き立てる。

 次の瞬間だった。爪痕は爆発するように弾け飛び、山の斜面は岩雪崩(いわなだれ)を起こしながら崩れ去る。

「この能力は!時間差怪獣アフターショック!奴の四肢から繰り出される攻撃は全て爆弾だ!条件式、時限式、任意式のいずれかで再び威力が暴発する!」

「今のは条件式か?『何かが近づいたら爆発する』とか!」

「いや、恐らく任意だ。『何か近づいたら』という条件ならば約500m前方を走っていた車は素通りできないはず。つまり奴はこの近くにいる!」

「まぁどっちにしろこの車を守らなきゃいけないことに変わりない!運転手さんたち!クラスのみんなにはヒミツにしといてくださいよ!」

 オーバーブレスにロッソグリンガーのオーパーツを突き刺し、真紅の巨人へ変身する。

「じゃあ…えっと…何かいい技ない?」

「落ちる前に全部手で拾うしかないな。ロッソグリンガーなら大した作業じゃない。」

「ちょっとカッコ悪いな…まぁいいか。『マキシマムブースト』!」

 秀樹の運動、鼓動、思考が全て超加速し、相対的に世界中の時間がスローモーションで流れ始める。

「どうせ周りからは見えない速度だ。関係ないだろう?」

「俺が見てるんだけどな…」

 そうつぶやきながら秀樹は落下する岩を拾い集めて山のふもとのくぼんだ部分に捨てた。

「一難去ってまた一難ってこともあるだろうし…一応付いて行った方が良いよな?」

「いや、この先に爪痕や足跡などの不自然なものは無い。不自然なのはこの地面だ。今岩を捨てた(くぼ)みだが…こんなものが自然にできるか?できるはずがない。この(くぼ)み、触らないと分からないがここから見て右の方が緩やかに(えぐ)れている…それに対し左側は砕けたように、滅茶苦茶に吹き飛んでいる。今空中にとどまっている物体だ。この山は上半分が全てコンクリートで固められている。恐らく崖崩れ防止のためだろう。だが落下中の岩の中には土や草が含まれている。コンクリートが砕けたにも関わらず。表面のコンクリートごと内部の山が爆発したとしても、木が混ざっているのはおかしい。今落下している土、これは私たちが今岩を捨てた所に元々、ついさっきまであった土だ!」

「ってことは…この窪みは足跡か?それもでっかい何かが俺たちの右方向へダッシュしていった…」

 秀樹は右を向き地面に足跡を探すが、怪しいものは何一つ見つからない。そして目線を上げると、つい数分前に通り過ぎた山の斜面に一本、破壊跡のラインが頂上まで刻まれているのに気が付いた。

「あの山は標高400m近くある…怪獣サイズでも走って登れるほどにはデカい…まさか!」

 秀樹は破壊痕の謎を解き明かし、空を見上げる。

 赤く輝く太陽の光を遮る人型の黒い影、全身に光のラインを刻み、その目は確実にヒーローマンを捉えていた。

「奴は超加速に追いつくことができる!私たちがマキシマムブーストを発動した瞬間に地面を蹴り、山の斜面をジャンプ台にして上空へ逃れていたんだ!奴は…」

 ヒーローマンの言葉を遮って足元から爆発音が響き、秀樹は反射的に後ろへ離脱する。

「これは罠だ!遅れて聞こえてきた足音だ!超加速に音は追い付けない!奴はそれを理解して利用した!奴らは種族全体で知能が高いが、こいつは特にずば抜けている!」

 アフターショックは背中から半透明の翼を広げ、全身の光を増しながらヒーローマンへ迫る。

「空気を蹴り固めてどこかへ飛ぶんだ!距離をとったらマキシマムブーストを解除する!奴はあくまでもこちらのスピードに『追いついている』だけだ!解除すれば元のスピードに戻る!」

「分かった!ヒーローマン!はあぁぁぁぁぁっ!」

 残像が残像を覆いつくすほどのラッシュが空気を圧縮し、遅く流れる時間はそれを(ほど)かない。

 透明の壁はキックのパワーを弾き返すほど強固に押し固められ、ヒーローマンは後方へ離脱した。

 直後、土煙がその場所を包み込み、その中に光のラインが浮かび上がる。

「コオォォォォォォォォ……」

 アフターショックはゆっくりと息を吐き、ヒーローマンへ狙いを定める。

「かかったな!マキシマムブースト、解除!」

 その言葉と同時に、投げ捨てられた岩は地面へ落下し、斜面に刻まれた破壊痕のラインは崩れ落ち、土煙が晴れ、アフターショックが姿を現す。

 次の瞬間、その体がヒーローマンの方向へ吹き飛んだ。

「押し固められた空気がはじけ飛ばなかったのはマキシマムブーストによって相対的に時間が遅く流れていたから。それを解除すれば当然、キックの威力は爆弾のように、しかも手前に向けてはじけ飛ぶ。ちょっぴりオハコをパクらせてもらったぜ!頭が良くても所詮怪獣、自分自身の行動を考えるので精一杯だろう!」

 秀樹は飛んできたアフターショックに向けて再びキックのラッシュを叩き込んだ。

「これで決まりだ!」

アフターショックとの戦闘はヒーロー物よりは超能力バトル系の漫画を見て考えました。

主にジョの付く人達の奇妙な冒険ですが…

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