1話
ドタドタドタ!!!
教室の前の廊下で騒ぐ生徒達の声と共に、誰かが猛スピードで走り去る音が聞こえた。
「まてぇ!このブタ!!」
1人の少女の叫び声が聞こえる。
「おい、またやってるぞ、会長達」
「ほんと、仲いいよね」
そんな会話がされてる中、俺、仏田カジは生徒を避けながら、その迫り来る少女、生徒会長こと相澤リコから、全力疾走で逃げていた。
「いやだあああああ」
「逃げんなブタ!」
「俺は絶対つかまんねぇ!」
そんな会話を繰り広げながら、俺は疾走を続ける。
男と女の体格差的なものがあるはずなのに、リコは、もうすぐそこまで迫っている。
「おめぇ、足速すぎんだろ!」
「おめーがおせぇんだよ!」
そう、よそ見をして走っているうちに…
「っておわああああっ」
ガラガラガッシャーン!
「ってあぶねぇっ!」
機材を運んでいた、生徒会の生徒にぶつかり、機材は俺が慌てて受け止めたものの、捨て身の技なだけあり、 いろいろと強打。そして、あいにく、女生徒を下にした挙句、押し倒す形になってしまった。
「っ!いっててて」
「あ、あのー割と重たいんですけど」
「あ、ああ!ごめん!機材は死守したからこわれてないよ!仕事お疲れ様!引き続き頑張ってください!」
「あ、はい、ありがとうこざいます」
とりあえず、謝罪をし、機材を持たせ、再びその場から逃げようとしたとき…。
「やっと、捕まったわね。ブタ」
気づけば、まだしゃがんだ状態だった俺はリコにネクタイを掴まれ、上からゴミを見るような目で見下ろされていた。
「ほら、早く立ちなさい。行くわよ」
俺はリコに逆らうことが出来ず、リコがリードを引くように持ったネクタイに従うように、生徒会室へ向かった。