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ユニゾン 生命一心共同体  作者: カミカクシン
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過去

 隼人がユニゾンに感じた疑問。

 それは隼人がユニゾンとして任務をするようになり、しばらくして訪れた。


 隼人は竜二とマルクに育てられた。


 その過程でさまざな特訓を受けて育った。

 今の隼人の力はそれゆえのものだ。


 そして、ユニゾンに入るのも必然だっただろう。

 自分の育て親である二人が所属していて、人類を救ったのだから。


 隼人は拾われてから三年ほどでユニゾンの任務をこなすようになった。

 

 始めは人間を害する魔物の討伐だった。

 何度も何度も魔物を倒した。


 隼人は誇らしかった。自分が魔物を倒している。

 自分も人類を救う手伝いが出来ていると。


 始めは竜二らと任務を行っていたが、月日が経つにつれ一人で行うようになった。

 

 彼はさらに強くなりR3にまで登りつめる。

 それは隼人が上がるには早すぎる階段だった。


 そしてその日がやってくる。


「今日の任務はこの人を殺すことです」


 今まだに言われたことのない任務。

 隼人は驚愕する。


「え? 人を殺すんですか?」


「そうです。この男性は人の命を奪う選択をとりました! だから断罪します」

「これもユニゾンの仕事です!」


「分かりました」


 隼人は若干の疑問を抱えながら任務に向かった。


 対象の人はごく普通の男性のようだった。


 本来してはいけないが隼人は直接事情を聴くことにした。


「私はユニゾンのものです」


 一人になった瞬間を見計らい声をかける。


「貴方を断罪するように任務を受けています」


 男性は力なく地面に崩れ落ちる。


「ごめんなさい」

「ごめんなさい」


「何があったか私は聞いていませんので事情を聞かせてください」


 男性は落ち着きを取り戻す。


「私は昔家族ごと魔物に捕まっていました」

「毎日毎日、ひどい仕打ちを受けていました」

「そんな時、魔物に言われたんです」


「自分の家族ともう一方の家族どっちを殺されたいか?」


「私は自分の家族をとってしまいました」

「もう一方の家族は殺され私たちは解放されました」

「でも、仕方なかったんです。許してください!」


 隼人は彼を殺す気なんてなくなっっていた。

 理由は一つ、彼が悪いことをしたように思えなかったからだ。


 結果としてもう一方の家族を殺してしまった。

 でもそれは仕方がないと納得ができた。

 殺された家族のことを思えば許されないだろう。 

 

 しかし、自分も同じ立場ならそうするだろうと思った。

 自分も他の家族をさしだしてしまうだろうと。


「僕はあなたを殺す気なんてありません」

「少しユニゾンの人に聞いてみます」


 男性の顔に希望が表れだす。


「お願いします!」


 隼人が男性に背をむけ通信用の機器を使う。


「……という任務を受けているんですが」

「彼は悪くありません。結果として命を奪ってしまっただけです」

「僕には彼が殺せません」


「貴方の価値観など聞いていません」

「彼が死ぬことはユニゾンの決定です」

「貴方がやらなければ他の誰かがやるだけですよ」


 そう言い終わると通信が切られる。


 バキッ

 

 隼人は怒りが抑えられず通信機器を粉々に握り潰す。 


 その光景を見ていた男性は通信の内容を理解した。

 そして涙を流しながら隼人に後ろからすがりつく。


「お願いだ! 見逃してくれ!」

「俺だってやりたくなかったさ!」

「人を殺す選択をするなんて」

「助けてくれ!」


「ごめんなさい」


「お願いだよ……お願いします……助けてください」


 男性の涙が滝のように流れる。


 隼人は刀を手元に召喚する。


「家族が……いるんです」

「たす……」


 男性は振り返った隼人の顔をみて言葉を失う。


「ごめん……なさい」


 隼人は泣いていた。

 男性にも負けないぐらい。


 人を殺したことがない隼人は耐えられるはずがなかった。


「ごめん……なさい」

「ごめん……なさい」


 隼人は涙を流しながら謝り続ける。


「たすけて!」


 男性をはねのけ涙を流しながら刀を構える。


「ごめん……なさい」


 男性も自分が死ぬと分かったのか最後に言葉を残す。

 その目にはもう涙はなかった。 


「君にもつらい思いをさせていしまって本当に申し訳ない」

「家族のことを頼みます」


「うああああああああ」


 言い終わると同時に刀が振り下ろされる。

 隼人の涙、悲しみの叫びと共に。


 竜二は自分の任務が終わり隼人がR3に上がったことを知る。

 そして、血相を変え隼人の任務を調べ始める。

 隼人の任務を知った竜二は急いで隼人のもとへ向かう。


 竜二が到着した時に見たものは、死んだ男性の前で謝り続ける隼人の姿だった。


 隼人は竜二の姿を見つけるとさらに強く泣き始める。

 竜二はそっと隼人を抱きしめる。


「すまない。つらい思いをさせてしまった」

「もう終わったんだ帰ろう」


 その日、隼人は一日中涙を流していた。


 隼人がユニゾンを疑問に思った日、それは隼人にとって忘れてはならない大事な一日となった。

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