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ユニゾン 生命一心共同体  作者: カミカクシン
18/37

奈津子と少女

 模擬戦の次の日。

 いつも通り隼人は学校へと向かおうとすると、竜二が


「どうした今日は元気がないな」


「そんなことないよ。でも少し悩み事が」


「まあ、考えすぎないようにな」


 学校につくといつものように隼人と雅章が声をかけてくる。

 だがいつもと違うこともある。


 知らない生徒からのたくさんの視線。 


「「おはよう」」

「周りのことあんまり気にすんなよ」


「うん」


 その返事には気持ちがこもっていなかった。

 まるで大切な何かを失ってしまったかのように。


 授業中も隼人はボーっとしたままだった。


 奈津子との約束がある昼休みになる。

 しばらくすると奈津子が教室に入ってくる。


「如月君、話があります」

「できれば他の人がいない場所で」


「分かった」


 場所を移し奈津子が話し始める。


「模擬戦でのことを聞いたの」

「如月君はユニゾンだって聞いたんだけど本当なの?」


「本当だよ」

「僕のことがユニゾンだって知って嫌いになった?」


「そんなことないよ」

「ただ、謝りたかったんだ」


 隼人が首をかしげる。


「謝る?」


「うん」

「ユニゾンのこと詳しく知らないのに悪口ばっかり言ってて」

「たくさん如月君のこと傷つけただろうと思って」


「そんなことないよ」

「ああいう奴がいるのも確かだし、人それぞれ考え方があるからさ」

「気にしなくていいよ」


「それでも謝りたいの」

「ごめんなさい!」

「如月君は私たちのために戦ってくれたのに」


「僕が勝手にしたことだから」

「それより、五条さんに嫌われてなくてよかった」


「そんなことあるわけないよ」


 そう言った奈津子の顔はほんの少し赤みを帯びていた。


 話し合いが終わり隼人が教室に戻るとすぐに雅章が近づいてくる。


「どうだったの?」


 隼人が満面の笑みになる。


「よかったよ! ほんとによかった!」


「そうかい。それはよかったね」


 そういった雅章の顔は少し曇っているようだった。



 放課後、四人で自主練が終わり帰っていると泣き声が聞こえてくる。


「どこに行ったの。おにいちゃーん」

「うぁーーん」

 

 四人が泣き声のほうへ行くと、六歳ぐらいの少女がいた。


「どうしてこんな学校の敷地内にいるんだ?」

「よくわからないね」

「とりあえず迷子みたいだから警察にでも連れてくか?」

「そうだね」


 雅章がそっと少女に近づく。


「どこから来たの?」

「おにいちゃんの連絡先わかる?」


「グスン………グスン………」


「大丈夫安心して泣かないで!」

「僕らが絶対におにいちゃんのもとへ連れてってあげるから」


 少女が少しづづ泣き止む。


「外」


「外?」


「建物……グスン……見てたら」


「てことは外から来たんだわ!」

「いったん外に連れてきましょうよ」


「そうだね」


 奈津子が少女の手を引く。


 しばらく歩いて敷地外に出るがそこには誰の姿もなかった。


 時間がたつにつれて少女が再び泣き始める。


 その瞬間、隼人をかつてないほどの悪寒と圧迫感が襲う。

 まるで心臓を誰かに掴まれているような。


 「おにいちゃんだ!」


 そいって少女が走り出した方向には、一人の男性がたっていた。


「葵! どこ行ってたんだ?」

「あいつらに変なことされなかったか?」


「そんなことないよ!」

「一緒におにいちゃんのこと探してくれたんだ」


「そうか!」


 男性がそういうと同時に隼人の圧迫感が消える。

 

 隼人は瞬時に理解した。

 さっきの圧迫感の正体はこの男性からで、自分よりはるかに強いと。


「私の娘が迷惑かけてすいません!」


「いえいえ! とんでもないです」


 他の三人は圧迫感を感じていないようだった。


「本当にすまないね」

「この借りはいつか必ず返すから」


 そういって立ち去ろうと、隼人の隣を通り過ぎる瞬間とても小さな声で話しかける。


「さっきは悪かったな。誘拐犯か何かかと思ったんだ」

「本当にすまなかった」


 それだけ言葉を残し、二人は歩いて行った。

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