食堂
「ふぁ~~もう朝か」
大きなあくびと共に隼人が起床する。
ケータイを確認すると雅章からメールがはいっていた。
『奈津子が昨日のことで申し訳ないから、食堂でご飯をおごりたいといっている』というものだった。
『わかったよ』と返信をして学校の支度をする。
二階から降りると隼人の兄貴こと 一之瀬 竜二 が家を出ていく直前だった。
「おお、起きてきたか」
「今日は仕事が忙しいからもうでるな。朝ごはんは作ってある」
「弁当は時間がなかったからつくれてない。昼飯は置いてある金で適当に買ってくれ」
「わかったよ。気を付けてね兄貴」
「行ってらっしゃい」
そうして竜二は仕事へ向かっていった。
朝ごはんを食べ終わり、隼人は学校へ向かう。
学校につくと翔と雅章はすでに教室にいた。
翔が隼人に気づき近づく。
「よう! 隼人」
「俺、食堂なんて生まれて初めて行くぜ。中学はなかったからな」
「おはよう! 翔」
「僕も初めてなんだよ。とっても楽しみだよ!」
「まあ、おごってもらうってなるとちょっと考えるもんがあるけどな」
「そうだよね。僕もそう思うよ」
キーンコーンカーンコーン
学校の始まりを知らせるチャイムが鳴る。
安藤先生が教室にはいってくる。
「席についてください。授業を始めます」
そうして午前中の授業が始まる。
昨日と同じように魔法の授業や一般の授業が行われる。
チャイムが鳴り四時間目の終了を知らせる。
「これからどうすればいいんだ?」
「待ってればこの教室に来るって言ってたよ」
雅章と翔が話していると奈津子が教室に息を上げて入ってくる。
「遅れてごめんなさい」
「私が言いだしたのにすぐに行きましょう」
隼人が少し微笑む。
「そんなに急いでませんから大丈夫ですよ。五条さん」
少し時間を空けて四人で食堂に向かう。
食堂は各学年用に分かれており一年用の食堂に入る。
「へー食堂ってこんなんなんだな」
「学校の食堂ってこんなに大きんだね。びっくりだよ」
奈津子が問いかける。
「二人とも学校の食堂って初めてきたの?」
「そうだよ」
「ああ、そうだな」
「これを基準にしないほうがいいわ。これは規模が違いすぎるから」
翔が笑う。
「やっぱりか! こんな立派なのが全部の学校についてたらびっくりだわ」
「確かにそうだね」
料理をもらい見晴らしの良い窓側の四人席に座る。
「これおいしいね」
「そうだねおいしいよ」
「食堂って結構うまいんだな。予想と違ってたわ」
会話をしている四人に声をかける人がいた。
「おい! そこの席俺らの特等席なんだよね。どけよ!」
声の方向を向くとA1と書かれたバッジを襟につけた四人組がっ立ていた。
「なんだC5かよ! C5の分際で邪魔なんだよ」
雅章が立ち上がる。
「なんなんだ君たちは食堂はみんなのものだろう」
とりまきらしき生徒が口を開く。
「この人を知らないのか?」
「この人はユニゾンのR2である 佐々岡 健二 様だぞ」
「R2? 一級魔導戦士より強いって今日習ったんだ」
「どうせウソだろ!」
そう言うと同時に健二が雅章を力強く押す。
雅章は不意のことで対応できずこけてしまう。
健二が胸ぐらをつかむ。
「ウソってんなら模擬戦でもしてやろうか?」
雅章はこわくて立ち上がることができなかった。
「わかったらさっさとどけよ! お前らもだ」
翔が小声で隼人に問いかける。
「あいつはユニゾンって明かしていいのか? ルール違反だったりしないのか?」
「別にルール違反じゃない。抑止力になったりするからね」
「でもこの人はそれ以前の問題だ。人としてどうかしてる」
健二が大声を上げる。
「なにごちゃごちゃ言ってんだ!」
「さっさとどかねえとこいつが痛い目見るぞ」
そういうと、こけている雅章に蹴りをいれようとする。
だが、健二が振りかぶった足は隼人に拒まれ、雅章に届くことはなかった。
周囲がざわめく。
「さっきまであいつ座ってたよな」
「いつの間に立ったんだ?」
「なんだお前? 俺と戦いたいのか?」
隼人が口を開く。
「ああ、そうだね。君の実力を確かめたいんだ」
澄ましたように言ったその言葉には、溢れんばかりの怒気が含まれていた。




