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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

あなたの隣に首切り人形

作者: 超音波8号

 少女はギロチンを愛していた。

 ギロチンで首を切ることが、この国の処刑法だ。

 少女は処刑がある日、学校があっても、旅行の予定があっても、友達に遊びに誘われても、処刑を見に行った。

 誰もが少女を馬鹿にして、次第に周りには誰もいなくなった。

 それでも、少女は処刑を見に行った。

 少女は、首が切られる場面を見るのが好きなのではない。

 いつからギロチンが好きになったのか、少女自身も忘れてしまった。

 いつしか少女は、自分もギロチンにかかりたいと思うようになった。

 しかし、一瞬で終わるのは嫌だ。

 悩む少女に救いの手を差し伸べたのは、地獄の悪魔。

 悪魔はこんなことを言ってきた。


「人間としての肉体と魂を差し出せば、

  人形としての体と永遠の命をやろう」


 少女は考える時間が欲しいと、悪魔に頼み、一日返事を待ってもらった。


 そして、翌日。

 少女は人間としても死と、人形としての生を受けた。


 首切り人形の誕生だ。



 ある死刑囚の男は、明日処刑される。

 もちろんギロチンで。

 男は大量殺人の犯人で、指名手配されていた。

 うまく逃げていたが、へまをして捕まり、もうすぐ死を迎える。

 多くの人を殺しても、やはり自分は死にたくない。男は何度も脱獄を試みたが、全て失敗に終わった。

 最後の食事をしていると、粗末なパンを誰かにひょいと奪われた。


「誰だ!」


 男は誰かに殴りかかる。

 しかし、相手は軽くよけて、自己紹介を始めた。


「あなたの隣に首切り人形。

 こんにちは、死にたくないアナタ。アナタの姿をワタシに頂戴。返事は『イエス』しか認めないわ。アナタ、死にたくないでしょう?」


 男は激しく頷いて、死にたくないと訴えた。

 首切り人形はにっこりと笑い、その姿を変え始めた。悪魔からもらった変身能力で、死刑囚に変身するのだ。


「ここから出ていきなさい。もうここはアナタの場所ではないわ」


 不思議なことに牢屋のカギは開いていた。

 男は逃げた。


 そして、翌日。

 大量殺人を行った男は処刑された。ギロチンによって、首を切られて。

 男は死ぬまでずっと、死んでもなお笑顔だった。


 遠い国で大量殺人が起こっている。

 犯人はまだ捕まっていない。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] 首切り人形ってなんか不気味ですね。そして 、しゃべり方が可愛いです。
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