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死の惑星に安らぎを  作者: 京衛武百十
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決心

アンナTSLフラウヴェアとプリムラEL808との会談は、タリアP55SIにとっては決して無駄ではなかった。幼い子供のCLS患者を人間と捉えて偽りの日常を繰り返す彼女達の為にも、ここに人間の世界を取り戻したいと考えた。


それは、メルシュ博士も同じなのかもしれない。博士もこのリヴィアターネに人間の社会を再び蘇らせる為にあのようなことをしているのかもしれない。だが、博士が生み出すメイトギア人間やクローンやCLS患者らを母体として人工的に生み出された赤ん坊達のような<偽物>をいくら生み出してもそれは人間にはなれないとタリアP55SIは考えた。サーシャのような本当の人間を探し出してその人間達の力で作り出してこそ、本当の人間の世界になると彼女は考えたのだった。


『やはり、サーシャをあのままにはしておけない…!』


彼女の中で、それは明確な強い意味を持った。狂気に囚われた科学者の実験から少女を救い出し、人間としての尊厳を取り戻させてあげなければいけないと思った。今のままでは少女は、ただの実験動物でしかないからだ。


人間であるサーシャに会えば、アンナTSLフラウヴェアやプリムラEL808はもちろん、あのフィーナQ3-Ver.1911も自らの過ちに気付くだろう。本物の人間の前では、トーマスもリンナもレミカも哀れなCLS患者でしかなく、早く安らかな眠りにつかせてあげなければいけないと分かってくれる筈だ。今の状態は、決してこの子達の為にはならないと。


その為にもサーシャを救い出さなければいけない。それこそがロボットである自分の役目だ。


タリアP55SIは改めてそれを自覚した。


「ありがとうございます。あなた方のおかげで私は決心がつきました。私はロボットとしての役目を果たしたいと思います」


アンナTSLフラウヴェアとプリムラEL808を真っ直ぐに見詰めながらそう言って、彼女は立ち上がった。自分のやるべきことが決まれば、あとはそれを実行に移すだけだ。そして急がなければいけない。いつサーシャに危害が及ぶかもしれないからだ。メルシュ博士は、必要とあらば少女をバラバラに切り刻むことすら躊躇わないだろう。今はまだその心配はないとしても、いつ状況が変わるか分からない。のんびりはしていられない。


「それでは、失礼します」


見送る二体に向かって頭を下げて家を出る。


とその時、歩き出したタリアP55SIは、家の陰に何かが転がっていることに気付いた。


『あれは…?』


それが何なのかすぐに察した彼女は、それへと歩み寄ったのだった。



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