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死の惑星に安らぎを  作者: 京衛武百十
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不合理

フィーナQ3-Ver.1911の呼びかけによって生まれたコミュニティーを襲撃していた不明機の正体こそ、エレクシアYM10であった。


しかしなぜ彼女はそんなことをしたのだろうか?


その辺りは彼女のデータを詳細に分析しないと断定はできないだろうが、ケインという、まぎれもない本物の人間の存在を確認したことで、フィーナQ3-Ver.1911らが保護している子供のCLS患者らはやはり人間ではなく処置すべき対象でしかないということを再確認したのかもしれない。この辺りの割り切りは、さすがにロボットということなのだろう。


また、彼女がケインを連れまわしているのは、彼に現実を見せ付けることで苦しみを与え、自分を殺人ロボットに作り変えてしまった人間への復讐の意味もあるのかもしれない。


だがそれらはあくまで推測でしかなかった。本当のところは彼女にしか分からないのだと思われた。


…いや、もしかしたら彼女自身にさえ分からないのかもしれないが。


ケインは、このリヴィアターネで何も知らずにただ生き延びてしまった幼い子供でしかない。彼女を違法改造した犯罪組織とは何の繋がりもない。唯一の共通点と言えばどちらも<人間>というだけである。また、彼女はCLS患者を処置するという命令に対してもそれに従う意味を見出していなかった。彼女はその命令に背くことが容易にできてしまう、壊れたロボットなのだから。


彼女の行動には、ロボットらしい合理性がほとんど見られないとも言えるだろう。まるで、狂気に囚われた人間のように支離滅裂な不合理さだった。


それでも彼女は淡々と襲撃を繰り返した。初めの頃はそれこそ楽なものだった。無防備に人間の真似事をして呑気に日常生活を送っているメイトギアを、一キロほど離れたところから狙撃すればよかっただけだったからだ。


メイトギアを直接狙う必要はなかった。保護されている幼いCLS患者を狙えば、メイトギアの方から勝手に射線に入ってきてくれる。たとえば、わざと外してCLS患者の近くに着弾させ、CLS患者を狙っていると見せかけるだけで、次々と立ちはだかってくれるのだ。心がないゆえに死を恐れず人間の盾となって守ろうとするという、ロボットの習性とも呼ぶべき反応であった。


実際、要人警護に就いているメイトギアも必ずそう動く。警護対象者の動く盾が本来の役目であり、反撃等はそれ専門の部隊が担うからだ。それに、要人警護仕様に限らず、ロボットならどれも人間を守る為にその身を差し出す。戦闘能力や防弾性能を持たない一般仕様機でも、それは同じなのだった。



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