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死の惑星に安らぎを  作者: 京衛武百十
72/120

再開

時間は若干遡る。


コゼット2CVドゥセボーのボディを得てサーシャの下に帰ってきたデイジーFS505は、自らを<コゼット2CVデイジー>と称し、再び穏やかな日常を送り始めた。しかも、このボディでは、表情は作れなかったものの、勝手にサスペンドしたり再起動を繰り返したり記憶が失われたりということもなかった。一部欠損した記憶については、外部端末に保存してあったもので補った。


こうして一体と一人の生活は再開したのだった。


そんなある日、コゼット2CVデイジーは奇妙なメイトギアに遭遇した。それはフィーナQ3-Ver.2002という、現在最新バージョンのメイトギアだった。デイジーFS505としてこのリヴィアターネに来て以降に発表されたメイトギアだったこともありデイジーFS505にはそのデータはなかったものの、最近になってCLS患者を処置する為に投棄されたコゼット2CVの方にデータがあった。


フィーナQ3-Ver.2002が近付いてきていることに気付いたコゼット2CVデイジーは、詳細を確認する為に、サーシャには念の為に隠れていてもらって商業施設を出て、出迎えた。それは、彼女がまだデイジーFS505だった時にコゼット2CVが来た時にも行ったことだった。


コゼット2CVの記憶があることでてっきりCLS患者の処置の為に現れたのだと思ったのだが、フィーナQ3-Ver.2002が不可解なことを言い出したのだ。


「この周辺のCLS患者を確保し研究施設に運びます。ご協力を願います」


『研究施設…?』


確かに今回の事態について詳細を調べる為に研究くらいするだろうが、それをわざわざ断りに来ると言うのはいかなる意図があってのことだろう? 命令が更新されたのであればそのように通知すればいいだけの筈だ。自分達は現在、総合政府の所有物なのだから。にも拘わらずこのようにして個別に告げに来るというのは、それは公的な機関による研究ではなく、個人の研究者が私的に行っていることの証拠だった。


「用件は承知した。ただしその条件として、あなたにその指示を出した人物についての情報を開示してほしい」


CLS患者がどうなろうと今の自分とサーシャには関係ない話だが、その研究者の素性と目的だけは確認しておきたかった。サーシャにどのような影響があるのかを知る為に。そして、場合によってはサーシャのことで相談することも可能かもしれないと思ったからである。


するとフィーナQ3-Ver.2002は躊躇うことなく、自身の主人の名を明かしたのだった。


「私は、アリスマリア・ハーガン・メルシュ博士の命により行動しています」



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