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死の惑星に安らぎを  作者: 京衛武百十
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出会い

<コゼット2CV(ドゥセボー)デイジー>とは、コゼット2CVのボディーを持つデイジーFS505のことである。通常のコゼット2CVと区別するために自ら名付けたのだった。


しかしそれはどうでもいいことだった。メイトギアに名前を付けるのは特に珍しいことでもない。それよりも。


『不顕性感染者を保護していると聞きました。詳細についてお聞かせ願えますか』


ロボット同士、人間のような回りくどい挨拶をしていても意味がないので、タリアP55SIは、必要なことを単刀直入に問い掛ける。


『はい。現在のライブ映像をお送りします。彼女が私の保護下にある不顕性感染者のサーシャです』


コゼット2CVデイジーが送ってきた映像には、白いドレスを着た金髪碧眼の十歳くらいの少女が、商業施設の遊戯コーナーで遊んでいる姿が映っていた。その少女がこちらに向かって手を振っている。もちろん少女はコゼット2CVデイジーに向かって手を振っているだけなのだが、タリアP55SIにとっても自分に手を振られているようにも見えてしまった。


思わず手を振り返してしまい、しかしそれは自分の眼前にある光景でないことに気付いて慌てて手を下ろす。だが、間違いなく人間の姿がそこにあった。その事実に、タリアP55SIは自らのメインフレームに言いようのない負荷を感じた。


『ああ、アンナ。あなたと同じ人を私は見付けることができました。まるであなたが引き合わせてくれたように感じます…!』


通信によって情報を交換し、タリアP55SIとコゼット2CVデイジーは互いの状況を把握した。


『アンナは残念でした。しかしこうして二件の実例が確認できたということで、他にも同様の事例がある可能性が高まったと私は判断します。不顕性感染者の捜索と保護に、私も協力を惜しみません』


抑揚のない平板な感じの声だったが、データ通信の際にコゼット2CVデイジーの一部の機能にエラーが生じていることはタリアP55SIにも伝わったので、その淡々とした様子はエラーによるものだと理解できた。だからそれは問題ではなかった。


『現在、他のロボットに捜索と保護の協力を依頼しています。情報が入り次第、お伝えします。お互い、人間の為に最善を尽くしましょう』


コゼット2CVデイジーにそう告げたタリアP55SIに、メルシュ博士が話し掛ける。


「実は現在、サーシャのような不顕性感染者を保護する為の<町>の建設を始めたところなんだ。そこで君にも協力をお願いしたいのだが、引き受けてもらえるだろうか?」


アンナやサーシャのような生き延びた人間の為なら否も応もない。タリアP55SIは、二つ返事で博士の提案を承諾したのであった。



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