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死の惑星に安らぎを  作者: 京衛武百十
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マッチポンプ

現在、惑星リヴィアターネの封鎖は、衛星軌道上の外側を総合政府から派遣されたロボット艦隊が担当し、内側は廃棄されたロボットと、そのロボットによりリヴィアターネの資源を用いて新たに製造された機器によって行われている。


一応、惑星リヴィアターネには豊富な資源も眠っている為、その資源だけでもなんとか利用出来ないかと検討もされたのだが、万が一のことを考えるとやはり踏み切れず、ならばリヴィアターネの封鎖そのものをリヴィアターネの資源を用いて行えばよいという考えの下、基礎となるプラントを上空百キロの軌道上に設置、地上には資源発掘用のロボットを降下させ、発掘した資源を打ち上げる為の発射台を建造。一日一回のペースで打ち上げを行っている状態だった。


また同時に、プラントの一つを起点にして軌道エレベーターの建造が現在進行中であり、それが完成すればより効率的にプラントが稼働することになるだろう。


プラントで製造されているものは主に三つ。


一つは、リヴィアターネを監視する為の監視衛星。二つ目は、その監視網の下、もしリヴィアターネから外に出ようとするものがあればそれを迎撃、破壊する為の攻撃衛星。そして三つ目は、プラントに電力を供給する為の大型の原子炉である。


アミダ・リアクターが実用化され、大規模発電設備に電力を依存するというのは社会的な弱点であるという認識が定着した現代では原子炉など過去の遺物でしかないが、アミダ・リアクターの製造には非常に高度な設備が必要である為、そこまでのものをただ廃棄物の管理の為に設置するというのもさすがにもったいないというのがあって、前時代的ではあってもやはりそのエネルギー効率は今なお決して非実用的とまでは言えない原子炉が採用されたという訳である。しかも、人間がいないのだから放射線被曝を心配する必要もなく、安全対策も必要最小限で済むというのも利点であった。


こうして、大型の原子炉を基にした大規模発電衛星を配置、無線送電にてプラントを稼働させ、リヴィアターネを封鎖する為の設備をリヴィアターネの資源を用いて製造するという皮肉なシステムが構築されていったのだった。


なお、余談ではあるが、攻撃衛星に装備された武装の一つに、プラズマ・リーダーがある。これは、三機の攻撃衛星が互いに連携し、その間にプラズマ結界を派生させ、レーザーやミサイルなどによる点の攻撃ではなく面の攻撃で複数の対象物を一網打尽にしようという発想の下で装備されたが、ここまでそれが使われたことは一度もない。と言うか、攻撃衛星による攻撃そのものがこれまでに一度も行われていなかった。


何しろ、リヴィアターネを出ていこうとするものが何一つなかったのだから。



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