↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死の惑星に安らぎを  作者: 京衛武百十
18/120

クラウディアM44

惑星リヴィアターネは、非常に自然が豊かでとても美しい星だった。急速で大規模な入植が行われ、特に入念な計画の下で開発が行われた区画以外では混乱や無秩序な乱開発が行われたりということが一部にはあったものの、それほど大きな問題になるほどのものでもなかった。


ただ、一部では、疑問を感じている者もいない訳ではなかった。惑星リヴィアターネには、ある程度以上の大きさの動物が極端に少ないという事実について。特に、犬猫を超える大きさの生物が、陸上、海洋を問わず全く存在しなかったのである。


まるで、ある程度の大きさ以上の生物は存在出来ないかのように。


餌になる動植物は豊富にあり、気候も地球とほぼ同じだから大型化する生物がいてもおかしくない筈なのに、やはり存在しないのだ。不自然なまでに。


いや、もしかすると、大型化し始めているのかも知れないが。犬猫程度の大きさの生物がまさにそれで、以前は精々ネズミ程度の大きさの動物が大型化してそうなったのだろうということが遺伝子解析で分かっていた。


人間が入植してから一部の生物を家畜化すると、突然、大型化するものもいた。地球のヘラジカに似た動物に至っては、それまで体高八十センチ、体重七十キロくらいのサイズだったものが、僅か二代後には体高二メートル、体重五百キロを超えた事例すらあった。若干の遺伝子操作は行ったものの、さすがにこれは普通ではない。


ではなぜ、それまでそういう生物がいなかったのか?


このことについてはまた後ほど語ろう。


とにかくリヴィアターネは、開発が進んでいる都市部を除けば、自然が豊かで風光明媚で、ゆったりとした時間が流れる実に牧歌的な場所であった。


彼女、クラウディアM44は、そんなこの星が気に入っていた。


彼女は、<壊れたロボット>だった。廃棄される以前、要人警護の任務で要人を庇ってテロリストの攻撃を受け、左足の膝から下と顔の左半分、右手の薬指と小指を失い、しかも旧式化していたことで修理もされず廃棄されてここに来たという訳である。


それを恨んではいない。自分はロボットだから必要なくなれば廃棄されるのは分かっていたし納得もしていた。さらにここはいいところだ。死ぬことも出来ず苦しんでいるCLS患者に安らぎを与える任務もやりがいがある。壊れて醜くなった自分の姿に憐みの視線を向ける者もいない。


拾った鉄パイプを針金で左足のフレームに括り付けて、まるで童話に出てくる義足の海賊のような姿になったクラウディアM44は、たまに現れるCLS患者の処置の為に動く以外は、近くの住宅から拝借してきたロッキングチェアに腰かけて、日がな一日、のどかなリヴィアターネの景色を眺めて過ごしていたのだった。


そう、状況を受け入れさえすれば、ロボットにとってはここの暮らしは決して悪いものではなかったのだ。特に、殺伐とした任務には少々飽きていた彼女にとって実に好ましい余生だったのである。いつか機能が停止するのをただ待っていればいいのだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。