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死の惑星に安らぎを  作者: 京衛武百十
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フライマット社デザートイーグルレプリカ

グローネンKS6は純粋な戦闘用ロボットではあるが、戦闘時以外では人間の兵士などとも行動を共にすることは多く、それ故、通常モードではそれこそ平穏な状態の猫科の動物を思わせる仕草をするように作られていた。非常時以外でまで人間に過度の緊張感を与えないようにする為である。


不運な遭遇戦によりアレクシオーネPJ9S5を破壊してしまった彼も、この状態ではもはやペットのように従順だった。フローリアCS-MD9も、そんな彼をペットのように受け入れる。


とは言え人間のように彼を愛でたりはしない。精々、猫が甘えるように体を寄せてくる彼に同じように寄り添うだけだ。それでいて、CLS患者が現れれば淡々と<処置>した。


彼女も、先のアレクシオーネPJ9S5と同様に要人警護の用途で主に使用されていたらしく、その対応は非常に冷淡であった。たとえそれが、幼児のCLS患者であってもだ。


この時、彼女が使用していた武器は、フライマット社のデザートイーグルレプリカというハンドガンである。これは、人類がまだ地球上でのみ生活していた頃に普及した45口径のハンドガンを再現したもので、軍用としては他に優れたハンドガンがいくつもあった為に正式採用はされなかったが一部のマニアを中心に人気が出たものだった。


が、それも発売されてから既に百年が経過し、やはり彼女と一緒にコンテナに詰められて廃棄されたものでもあった。


「…残弾数、ゼロ。使用可能な弾丸なし。装備の更新を要する」


CLS患者を安楽死させるだけならそれで十分だった為に彼女はずっとそれを使っていたが、同梱されていた弾丸が底をつき、この時点では適合する弾丸もなかった為に、彼女は新しい武器を手に入れることを考えた。すると、グローネンKS6がデータ通信を通じてここから五キロほど離れたところにあるロボット戦闘艦の残骸の中に使用可能な装備が残っていることを通知してくれたことにより、そちらへと回収に向かうことにした。


他にもグローネンKS6のようなロボットが<殲滅モード>で稼働中の可能性はあったが、今回はグローネンKS6が同行することでフレンドリー機であると確認できる。万が一の時にはそれが役に立つ筈だった。


しかし懸念されていた戦闘用ロボットとの遭遇もなく、彼女は、通路に落ちていたテルキネルFJ3スナイパーライフルと遠距離狙撃用の弾丸を始め、いくつかの銃器や弾丸を回収して拠点へと戻った。その中には、デザートイーグルレプリカに適合する弾丸もあり、彼女は再び、それを手にCLS患者の処置を再開したのだった。



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