第８話〜日向side〜
入学式も無事終わり
今日は全校生徒一斉帰宅というハッピーな日。
ただ、俺の気持ちは対照的に凄くブルー。
これから、湊と淡い高校生活を送る予定だったが、己のミスで狂ってしまったからだ。
肩を落としながら、下校のため下駄箱へ向かう俺に
「日向！」
携帯電話を左手に持ち、廊下を足早に進みながら俺に近づいてくるのは
「…ぁ、蒼弥…どうした？」
青い髪で充分目立つのか。
元々顔が整っているからなのか。
新入生と思える女の子たちが蒼弥に視線を送っているのが分かる。
赤い髪の俺はここまで視線を貰ったことがないことを考えれば、後者だろう。
そして、俺がもらう視線は悲しいことにだいたい目が合うと逸らされる。
そんな俺の思いをよそに
「晴南第三…て、言ったよな」
蒼弥は突然、姉妹校の名前を俺の左耳に囁く。
「…それがどうした」
俺は不機嫌な顔をする。
今は、聞きたく無い高校名だからだ。
「そんな顔するなよ。朗報だ」
そう言って、蒼弥は俺に爽やかな笑顔を見せる。
「朗…報…？」
言葉の意味を思い出し、悪いことではないんだなと理解する俺だ。
「…悲報と一瞬迷っただろ」
からかう様にビシッと、額を弾かれる
「ってぇなっ！お前、それ今日二回目だぞっ！」
右手で弾かれた額を触りながら抗議する
「馬鹿なのが悪い」
「あぁっ⁉︎」
「見つけたんだよ日向。…お前のお姫様を」
蒼弥は微笑みながら告げる。
「…は？…ぇ？」
「口開いてる」
と言って、蒼弥は俺の間抜け面を指摘する。
そして俺の右腕を掴み引っ張ってきた。
その行動で我に返った俺は
「…ちょっ⁉︎」
「いいから。行くよ」
「ドコヘ⁉︎」
引っ張られながら俺は下駄箱へ抵抗むなしく、連れてかれる。
己のシューズを出しながら蒼弥は淡々と
「どこって…お姫様のところ」
「ぇ…いやいやいや待って！心の準備が‼︎」
俺は行くまいと下駄箱に張り付く。
しかし
「何、怖気付いてんだよ！」
そう言って、蒼弥は俺の中身のほぼ入っていないスクールバッグを引っ張る。
「俺、1人で会うんだろ⁉︎無理無理無理無理無理！だって、晴南第三はエリートたちが行くところ！」
「そこを指定したのはお前だろっ‼︎」
「あれは手違いだっ！」
否定するために俺は振り向くが…
張り付いていた手が緩み…
「よし。捕獲。行くぞ」
呆気なく、
いい汗かいた。
と呟く蒼弥に捕まる。
こんだけ騒いだからなのか、ギャラリーが集まっていた。
気づいた俺は羞恥がこみ上げる。
「……っ…一人にすんな…」
大人しく捕まる。
そんな俺に
「大丈夫。俺がいるさ」
ふざけて俺の顔を…いわゆる顎クイってヤツをしてきたため
蒼弥の手を振り払う。
そんな俺らの背後では
「蒼弥…やっぱ赤髪と付き合ってんのかなー」
「ぇー？アオにはユッキーでしょ？あの人、箱で見ないし、野蛮だしー」
という女子の声が聞こえ始める。
(アオ？ユッキー？てか、俺らが付き合ってる??ていうか、野蛮って‼︎)
あまりのことに勢いよく振り返ると
「日向、言わせておいていいから」
そう俺に告げ、蒼弥は歩みを止めることをしない。
だから、俺は言われた通り、無視をして蒼弥について行き校舎をあとにした。
バレンタインデーなので、職場の更衣室て更新です(*´∀｀*)笑
あと10分で仕事が始まります☆
皆様が、素敵な1日を送れますように☆
