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愛すべき馬鹿と僕の日常  作者: 雪菜
7/18

第7話〜湊side〜


外に出た僕たちの髪を、春風がすり抜けていく。

幸人君の、オレンジ色に染められた一筋の髪が太陽の光に照らされる。

「風、気持ちいいねーっ」

「うん」

お互い見慣れぬ青いブレザー姿がなんだかくすぐったい。

「この間まで俺たち中学生だったのにねー」

「本当。今朝なんて僕ネクタイなかなか出来なくて」

寮で1人格闘していたことを伝える。

「ぇ?湊くんにも苦手なことあるんだ」

凄く意外そうな顔をされる。

「ぇ?」

「だって、勉強も優秀でしょ?」

キリッとした顔で、幸人君は架空の眼鏡を持ち上げる仕草をする。

「そんなことないよ」

僕は否定をする

「ぇ?またまたぁ?」

からかうように、幸人くんは僕の腕を肘で突いてくる。

「僕ね、今回この高校に入るのに相当勉強したんだ」

「えぇ?そうなの?生徒代表挨拶してたからてっきり余裕なのかなって」

僕はその答えに首を横に振る。

そして

「…2年前にね約束しちゃったんだ」

「約束?」

「そう。ある人に追いかける約束」

僕は目を細め空を見上げる。

「へーっ!そんなに尊敬する男の先輩が居たんだね!」

どんな先輩だろう…

と僕と同じように空を見上げ幸人君は考え込む。

僕は幸人君の発言に

「ぇ?どうして僕の追いかける先輩が男ってわかったの?」

思わず聞いてしまう。

そんな僕に

「湊くん…嘘でしょ?」

幸人君はガシッと僕の腕を掴む。

「ぇ?何が?」

「いやいやいや!とぼけて見せてるんでしょ?だって、ここ男子高だよ?」

この幸人くんの言葉に、僕の頭はフリーズする。

「ぇ…?」

そぅ…

思い起こせば、女の子を今日一日見かけなかった。

気付かなかった僕はどれだけ間抜けなんだろう。

確認とばかりに僕は周囲を見回すが

やはり皆…男。だ。

その時

「ぁ、湊くんちょっと待って!電話…」

幸人君の携帯電話が呼び出しを告げる。

「出てあげて。待たせると悪いよ」

僕が、告げると

「ありがとっ」

と言って電話に出る

(…そっか…ここ、男子高かぁ…)

自分の馬鹿さ加減に呆れかえっていると


「ぇ?桂木湊?」

幸人君の口から僕の名前がでてくる。

(誰からだろう?)

「あははははっ!それは凄いですねーっ!」

ケラケラと幸人くんの笑い声が春風に乗ってさらわれる。

「はい。はーいっ。わっかりましたーっ」

そう言って、幸人くんは、電話を切る。

「僕の名前出てたようだけど…」

気になり、問いかけると

「うん。突然で悪いんだけど…」

「何?」

僕は続きを促す。

「部活見学、明日に出来ないかな?」

申し訳なさそうな顔で申し出される。

その幸人君の態度に

「えぇ?まぁ…いいけど…」

「ありがとうっ」

「別に、急がないし大丈夫だよ。で…どうしたの?急用?」

「今から2人の人に一緒に会ってくれないかな?」

そう言いながら、

この通り!

と、顔の前で手を幸人君は合わせる。

ふーん。人に会うのか……って

「えぇ⁉︎一緒に⁉︎今から?」

僕は声を上げてしまう。

なんせ…僕はこう見えて人見知りなのだ。

初めて会う人にはそれなりに心の準備が必要で…。

「1人は俺の趣味仲間なんだけど…もう1人はきっと湊くんが追いかけてる人だと思う…」

僕はその言葉に

「…ぇ?」

耳を疑う。

「結論から言うと、きっと湊君に約束をした先輩はこの高校にいないっ」

「いや、でもこの高校に…て…」

それでなければ、約束の意味がない。

一体どういうこと?

やっぱり、からかわれてただけだったの?

グルグルと思考が回り始め、混乱する僕に

「どうやら本人に手違いがあったようなんだ…」

だから…と幸人君は付け足す。


陽向先輩ならありえないこともないかな

なんて、突然脳裏をよぎり

僕は

「…わかった」

渋々了承した。

次回は日向sideに、なります。


明日はバレンタインですね。


素敵なバレンタインをお過ごし下さい(*´∀`*)


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