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愛すべき馬鹿と僕の日常  作者: 雪菜
3/18

第3話~日向side~


教室に向かいながら廊下を機嫌よく歩く俺に

「なんだか、嬉しそうだね」

声をかけてきたのは

「ぁ、蒼弥(そうや)

「こんなに早く登校してくるなんて珍しいね」

「そう言う、蒼弥も早いな」

時刻は午前8時20分

普段、遅刻魔の俺とギリギリに登校する蒼弥。

自分たちにしてみればかなり早い登校だ。

「今日は入学式だから。可愛い子がいるかチェックしないと」

日向はチェックしないの?

と俺に声かけて、蒼弥は青い髪をかきあげる。



窓から校門を見下ろす蒼弥の耳は、シルバーのピアスが太陽の光を受け止め鈍く反射する。

「しねぇな…俺にはお姫様がいるからな」

そう言って、俺は蒼弥が見下ろす窓辺に寄りかかる。

蒼弥は一年のとき偶然隣の席になったクラスメイト。

2年に上がったが、またクラスが一緒になったのだ。

今ではお互いのこと知らないことはないってくらい仲がいい。

だから…

「あぁ、例の年下君。だから機嫌いいんだ?」

勿論、俺が湊に勢い余った告白を知っていて。

「そういうこと」

「単純だねぇ」

茶化す蒼弥に俺は、

「ピュアって言えよなぁ」

と、言い返して垂れてきた赤い前髪をピンで留める。

「はっ。口にピアスしてる男がピュアねぇ」

「…いいだろ別に」

ブスくれる俺に

「…ところで…だ。一つ質問いい?」

「なんだよ」

「…例の年下君、この高校に来なかったときお前どうすんの?」

意地悪に蒼弥は聞く。



できるだけ、この2年間考えないようにしていた俺は、

「…来なかったらどうしよう…」

はぁぁぁあ…と長い溜息をつき、ズルズルとしゃがみこむ。

「…お前らしくもないね」

俺に視線を合わせるため、蒼弥は俺の前にしゃがみ覗き込む。

「…だって自信ねぇよ」

「まぁ、聞いている限りだと突然の告白と、シュシュの趣味の悪さに疑問はあるけどね」

「…シュシュの話は辞めろ…マジで…」

ギロリ。と、俺はカラーコンタクトを入れた青い瞳で蒼弥を睨む

「そんなに威嚇するなよ。楽しみに待とうぜっと」

ビシッ!と俺の額を蒼弥は人差し指で弾く。

「ってぇな!何すんだよっ」

「そうそう。その元気らしさがお前だよ」

爽やかに、蒼弥は微笑む。

その時


「おぉい!そこの信号機2人!来てくれー!」

廊下の向こうで担任が俺たちを呼ぶ。

赤い髪の俺と、青い髪の蒼弥。

大っ変不本意ではあるが気付けば、俺たちは『横断歩道の信号機』という呼ばれ方をしていた。

「なんだ。佐々岡ちゃんじゃん」

ゆっくりと俺は立ち上がり担任のところへと歩む。

「佐々岡ちゃん、俺らのこと信号機って呼ぶのやめてくんないかなー」

と言いながら、蒼弥も俺の後ろについてくる

「お前らこそ、俺のこと佐々岡ちゃんは辞めろ。佐々岡先生…だろう?」

と言って、俺の赤い頭を小突く。

「はいはい。佐々岡センセー。何かゴヨウデスカー」

俺はふざけて右手を高らかにあげる。

なんていったって、俺はとても機嫌がいい。

「おぅ。お前ら2人に頼みがある」

そう言って、佐々岡先生は俺らに分厚い紙の束を渡してきた。

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