第11話〜湊side〜
落ち着いて見えてはいる…と思う。
でも…
僕の頭の中は突然の出来事に混乱している。
目の前には…
髪を赤く染めた男の人。
中学一の問題児と言われていた、日向先輩。
一緒にいてくれたはずの幸人君は
あの青い髪の…蒼弥さんと共に何処かへ行ってしまった。
そんな僕を見て
「……湊…」
日向先輩は僕の名を呼ぶ。
「ぁっ…なんですかっ⁉︎」
咄嗟に出た声は思っていたよりも大きくて
「スゲ〜声出たな」
クックッとまた喉で笑う。
「ぇ、ぁ…すいません」
恥ずかしくなり僕は下を俯く。
「笑って悪い……その…なんだ…」
日向先輩は咳払いしたあと
「昼飯はどうするつもりだった?」
と続ける。
「え?」
僕は振り返り校舎の大きな時計を見ると、針は昼時を指し示している。
「都合よければ、一緒に食いに行かね?」
僕はこの一言で寮母さんにお昼を断っていることを思い出す。
今日は入学式しかなくて、部活動を見学したら、高校の周りを散策をしたいと思っていたからだ。
「行きたいのは山々なんですけど…」
蒼弥さんも幸人君も気を使ってくれた。
きっとすぐ戻ってくるだろう。
「けど?」
「僕たちだけで…ですか?」
僕より少し背の高い、陽向先輩に問う。
「…?」
日向先輩はキョトンとした顔をする。
だから
「いや…その…蒼弥さんたちは…?」
と僕が告げると
「あぁ。アイツらは来ねぇと思うぞ」
そう言って日向先輩は僕を見る。
「え?」
日向先輩は、ズボンのポケットに手のひらを入れながら
「アイツらバンドやってるからよ。こう…学校が早く終わる日とかは結構打ち合わせしに行くんだよ」
ま、今日は偶然だけどな。と付け足して日向先輩はニカッと笑う。
「バ…バンド?」
「そ。ヴィジュアル系?だかのバンドやってんだ」
「えぇっ⁉︎」
僕の余りの驚きぶりに
陽向先輩は
「湊、もしかして知らなかった?」
「知りませんでした…」
「そっか。俺も最初は驚いたから無理もねぇな」
そう言って、ニカッと人の良さそうな顔で笑う。
「てっきり蒼弥さんもお仲間なのかと思いました」
「仲間?」
僕の発言に、日向先輩は怪訝そうな顔をする。
「ぁ…」
しまった。と思うがもぅ遅い。
「どういう意味?湊?」
「ぁ…えと…失礼ながら…不良…なのかと…」
恐る恐る本音を言うと
「…あのよ…湊の中での俺のイメージってなんなの?」
「え、えと…喧嘩っ早くて、遅刻は常習犯。喫煙もしている中学一の問題児…」
当時の日向先輩の噂をツラツラと僕は挙げる。
「…ぅ…」
と、引きつった顔をしながら
陽向先輩は僕の両肩に手を置く。
「どこか…違いました?」
「あのな…タバコについては尾ひれが付いただけだ…」
「はぁ…じゃあその他は?」
僕の質問も虚しく、日向先輩は一つ咳払いをして
「まぁ、なんだ。まず飯行こう」
な?と僕の腕を掴む。
「…拒否権は無さそうですね」
と僕が呟けば
「…俺と2人だとイヤ?」
なんて、不安げな顔をするから
「まさか。じゃなきゃ追いかけてなんて来ませんから」
と意地悪に僕は告げる。
少しだけ拗ねた顔をして日向先輩は
「…そうかよ。じゃ行くぞ」
と言って歩き出すから…。
桜が舞う中
「えぇ。行きましょう」
日向先輩に僕は付いていく。
暖かい春の日差しが
僕と日向先輩を優しく照らすのだった。
ご拝読ありがとうございます(*´∀`*)
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やっと、二人きりで動き出しました。
次回、湊が顔を真っ赤にする小さな事件があります。笑
第12話
更新は、本日21時を予定しております♡




