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~1990年3月12日~


 この手紙を淳基くん宛に書くことを決めた後、本当にこんなことを書いていいのかどうか迷うに迷いました。

 あなたは、なぜ私が姿を消さなければいけなかったのかを知りたいのですね。おそらく、それは教えることは可能でしょう。しかし、私は怖いのです。

 怖いのです。あなたから嫌われたしまうことが、あなたから汚い人間だと思われることが…

 でも、私は淳基くんという人間を想像して思いました。とても思いやりがあり、分け隔てなく誰とも仲良くできる存在だった淳基くん。

 だから、その真実をここに記してもいいのではないかと思いました。

 

 でも、私からそのことを伝えることが怖いです。だから、ここには書きません。

 書かない代わりに、一つの住所を示しておきます。

 この場所に行くと、なぜ私があなたの前から姿を消さなければならなかったのかが分かるでしょう。


 もう、これで最後かもしれませんね…

 これだけは迷惑かもしれないけど言います…

 まだ、あなたのことを愛しています。

梁田由紀子


~1990年3月25日~


 由紀子ちゃん、あなたが記した住所な場所に行きました。そこの住人とも話してきました。

そして、知りました。そこの人たちが、生まれた瞬間背負わされた宿命を、人間としての扱いを受けられない運命を知ったのです。

 そして、あなたがこの地で産声をあげたことも…

 でも、関係ないか?

 僕は、このことを子どもたちにも教えているし、それだけでなぜ僕と一緒にいてはいけなかったのか…

 理不尽だ…

 ただそれだけだ。


 由紀子ちゃん、それでも僕は君を愛している。

 君と生きていけるなら誰に何を言われたってかまわない。



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