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2通目

~1990年1月20日~

 

淳基くん!

お返事ありがとう!

もう、好きだったとか書いちゃって、私感動して泣きそうになっちゃったよ。

だって、私もあなたのこと好きだったから…


そういえばさ、淳基くんと私が初めて会った時のこと覚えてる?

淳基くんとは、中学校から同じ学校で、同じクラスだったけで、初めての出会いは塾だったよね!

淳基くん、あの時の第一印象は、よく喋って、授業を邪魔して、いつも先生に怒られてる腕白な男の子だよ!すごく面白いやつだなって思ってた。

でもね、正直言ってら、あの時淳基くんに向かって、「うるさい黙れ!」って何度も小声で言ってたの。それ、淳基くんにも一回聞こえて喧嘩になったことあるよね。

そう考えたら、マイナスのスタートだったのかな?


そう言えば、あの日だよ!

私たちが、大ゲンカした日!

塾で、私が消しゴムを落としたら淳基くんが座ってるところへ転がっていったの。

私が淳基くんに「消しゴム取って!」て言ったらさ、淳基くんそれに気づいて、私の消しゴム違うところに投げちゃったの。

授業が終わった後、私が「もう、何するのよ!」って淳基くんに噛みついていったら、淳基くんは「お前が落すから悪いんだ、くそババア!」って言ったから、それから淳基くんも怒って大ゲンカになったよね。

それから、塾の先生にこっぴどく怒られて、二人で居残りさせられて、「どちらも計算問題終わらないと、二人とも帰らせないぞ」とか言われた。

もう私、算数苦手だったからさ、帰れないからしぶしぶ淳基くんに聴いたら、淳基くんもしぶしぶ教えてくれた。

しばらくして、淳基くんが「ごめんね」って言ってきたんだよ。

その時から、意外にいいやつかもって思ってたら、中学校一緒で、仲も良くなってて、だんだん好きになった。

淳基くんのこと大好きだった。でもあなたから離れた理由は、言いたくないの。

お願い、このままでいいから、文通は続けて…

梁田由紀子



~1990年1月26日~


僕のこと、好きだったと言ってくれてありがとう。

嬉しかったし、今すぐにでも君に会いたくなった。

ごめん、困るよな…。そんなこと…。


初めて、由紀子ちゃんに会った時、すごく覚えてる。

あの、喧嘩して、居残りさせられて、仲直りしたことも。それから、仲良くなっていったことも。

僕にとってあの思い出は、宝物だから。


由紀子ちゃんは、お互いマイナスのスタートだったのかなって書いてたよね…。でも、僕は由紀子ちゃんに対しては、マイナスのスタートじゃなかったんだ。

由紀子ちゃんが初めて塾に来た日、由紀子ちゃんを一目見て、好きになってた。

あんな感情は初めてだった。

それから、君の気を引こうとして、授業中に騒いだり、君にいたずらをして困らせようとした。

落とした消しゴムを、遠くにやったのも、君が好きで、気を引こうとしただけなんだ。

中学になって、君と付き合えて本当にうれしかった。

もう、これで思い残すことはないって思ってたんだ。


それなのに、君はいなくなった。

理由が知りたいけど、由紀子ちゃんは言いたくないんだね…。

それなら、言えるようになる日まで待つよ。

信じてるから。

城山淳基


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