1通目
~1990年1月1日~
あけましておめでとうございます。
城山淳基くん、何年振りだろう?10年ぶりかな?
お互い、25歳!大人になったね!
10年前は、いきなりあなたの前からいなくなってごめんなさい…
あれから、どうしてたかな…?
あなたの10年間、知りたいです!
文通しない?
気が向いたら、手紙ください。
~1990年1月10日~
あけましておめでとうございます。
少し、遅くなってしまいましたが…
文通しましょう!
梁田有紀子さん、年賀状、驚いた…。なんていうか、どう考えたらいいのか分からなかった。
君は10年前、いきなり僕の前から姿を消した。中学校は卒業した後だったけど、同じ高校に受かってたし、3年間同じところに行くはずだった。
君の親友だった、良子ちゃんに聴いても、「よく分からない」って言われたし、もうどうしていいか分からなかった。
本当に、君が僕のことを嫌いになったのかと思った。本当だよ!
でも、「そんなことはないだろう」って親友の悟志からも慰められたし、君を疑うことはしたくなかった。
あれから由紀子ちゃん、君を探して、町を出て自転車で数週間家にも帰らず走り回ったこともあったよ。
それは、僕が君のことが好きだったからさ…
君が居なくなって、僕は死ぬことを考えたこともあった。
だから、教えてほしい、なぜ君はいきなり姿を消したの?
僕のことが嫌いになったのなら、どれでもいいんだよ。
返事、待ってます。