表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/46

5 あれ?異世界のほうがよくない?

★★★

なんで国王が俺の目の前で腹踊りをしているんだろう。

どうやら、前世の記憶があるゴースト達が集まってニコラス王国は復活したという。復活といっても、この異世界のほとんどは魔王リヴェルトンの支配下にある為、集落と言った方が妥当だと思う。

このニコラス王国の国王に挨拶をしに来たのだが……なぜか俺の目の前で腹踊りをしている。なんでこうなった?


数分前。

俺らは国王に挨拶をしに来ていた。


「リヴェルトン国王。私が異世界No.3ニルバナ王国の女王、ニューヘル・ゴルンです。ヘルとお呼びください」


もうめんどい。ていうか国王魔王と同じ名前なんですけど!おいこいつが魔王じゃないのか!?


「そうか!お主がニルバナ王国の女王ニューヘル・ゴルンか!ヘルと呼ぶぞ!」


やけにハイテンションだなおい。

チラと横を見る。なんでヘルは笑いをこらえてんだよ!全然笑えねーよ!


「おいお前ら!救世主のおでましだ!パーっとやるか!」

【はーい】


おいお前らやる気ねーな!まぁわかるけどさ!


その結果が今目の前で国王が腹踊りをしている。え?ゴーストだから腹がないって?いやね、ゴーストでも服ぐらい着るし、ゴーストの形は全員が全員丸い形じゃなくて人の形もあるらしいよ。


「ねぇヘル?国王って馬鹿なの?」


大爆笑しているヘルに聞いてみる。


「み、見てわからんのかアハハハハハハハハ」


いや、見ててわかるけどさ。相当馬鹿だよね。

あー笑えないんだけど。マジ笑えん。

と、そんな蓮雄を見たのか国王が


「おいお前ら!ニューヘル女王がつまらなさそうだぞ!」

「え、いや」

「もっと楽しませろぉぉぉ!」

【はーい】


ドドドドドド!


「え、ちょおま、い、いや、キァァァァァァァァァァァァァァァ!」


★★★


「貴様本当は女だったのか!?」

「……」


恥の多いい人生を送ってまいりました。もうここで歯止めをつけましょう。

――死にます。さようなら。

ゴェェェェェェェェェェ!

死のうとした瞬間、吐かれた。吐かれた。俺の顔というかヘルの顔に。でも感触は俺に伝わってんだよ!


「す、すまん飲みすぎたゴェェェェェェェェェェ!」


えちょ、なんで2回も俺の顔に――

ゴェェェェェェェェェェ!

ゴェェェェェェェェェェ!

ゴェェェェェェェェェェ!

ゴェェェェェェェェェェ!

れ、連続4回だと……!?って驚いてる場合じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!


風呂で全身洗ったあと部屋に戻ってくると、ヘルはモクモクとご飯を食べていた。そりゃそうだろうね。全部吐き出したんだから。ていうかモザイクかけてよね?


「私の顔に貴様のゲロがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「てめぇが吐いたんだろうが!」

「……ところでもうそろそろ戻るぞ。時間がない」

「時間?」

「あ?言ってなかったか?」


言ってねぇよ。


「この異世界にいられる時間は5時間。そして、次にこれるのは12時間後。この時間は、異世界No.1と異世界No.2と異世界No.3と異世界No.4以外の異世界にのみある。異世界No.1から異世界No.4までの異世界は自由に行き来ができる。簡単にまとめたらこうだな」


またも強制理解魔法発動。


「ということは――」


と、俺が言おうとした瞬間。謎の光に包まれ、目を開けると自分の部屋にいた。あ、これが時間というやつか。

辺りを見回すとヘルの姿がなかった。あれ?どこいった!?と、その時隣の部屋から騒がしい声が聞こえてきた。

自分の部屋を出て、隣の萌愛めあの部屋の前に立つ。そういえば今の俺は『両親ともに死んでしまい、行くところもない時にこの家に拾われた親同士知り合いの娘』という関係か。めんどくせーなおい。良い子ぶらないとな。

トントン。

ドアをノックアウトする。間違えた、ノックする。


「め、萌愛ちゃん?何かあった?」


すると物音が消える。が、数秒して物音が聞こえ始める。え?無視?

ドアに耳を当て中の声を聞いてみる。

――だ、ダメだよお兄ちゃん。

――へ、いいじゃないか。

――わ、私の初は明智光秀って決まってるもん。

え?ちょ、え?

脳内に部屋の中の映像がうつる。

――いや、萌愛の初は俺が奪ってやるさ。お前の処女膜を、な!

ブサっ!

――あ、アン!い!いやぁん!アンアン!ら、らめぇ!そ、そんなは、激しくぅ!

ドゴン!


「テメェーら何やってんだぁぁぁぁぁぁぁ!」


ドアをぶち壊し中に入ると、中で萌愛とヘルが仲良く★★★していました。間違えた、仲良くTVゲームをしていた。え?え?


「どうしたのヘルお姉ちゃん?」

「どうしたヘル」


えちょえ?あれ?い、今の声は?あ、あれ?な、何?ちょなに?


「な、なんでもない……」


そう言って部屋から出た瞬間。横からものすごい足音と声が聞こえてきた。


「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいぃい!俺が改造した『耳を当てると兄弟でのヤりとりが聞こえるドア』がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「てめぇーのかいぃぃぃぃぃ!」


親父がすぐさまドアを直しにかかる。もうこのジジィ死んでくれないかな。とてもとても迷惑なんですけど。ていうかさっきのドアなんだよ。よくもまぁ萌愛に気づかれなかったな!萌愛の好きな人もご存知で!中3の娘に何やってんだよ!

必死になって直している親父を見下した目で見てから、自分の部屋に戻った。

俺はなぜこんなことをやっているのだろう。数日前までは極普通の人間だったのに。なぜこうなったのだろう。ベッドに寝転んで頭の中に浮かぶのはこれしかない。

なぜ俺が選ばれなければならないんだろう。俺がなんか悪いことしたか?確かに思ったことをすぐに言葉にしちゃう性格だから、誰か傷つけるかもしれん。それは確かに悪いが、こんなのより殺人とか強盗の方がはるかに悪い。そういう人達に罰を与えればいいのに、なぜ俺なんだ。いや、悪いわけではない。何度も異世界行きたいとか思ったよ。だけど男まで奪われるなんて思ってもねぇよ!なんだよ、異世界行ける代わりに入れ替わりですかコノヤロー。

俺には何もできない。魔法だって使えないし、戦う力も勇気もない。なのに俺は何をするんだろう。ニコラス王国へ行って何をするのだろう。何もできない俺はいる意味あるのだろうか。

と、そんなことを考えているうちにだんだんと視界が狭くなっていった。


★★★

魔王リヴェルトンはニューヘル女王の暗殺が失敗したとわかって笑っていた。

当然失敗するのはわかっていた。そもそも成功すると思って殺し屋を送り込んだわけではない。ある確認の為に送り込んだのだ。

――どうやらニューヘル女王は異世界No.2地球の男と入れ替わったらしい。

そんな情報が耳に入り確認したいと思っていた時に、

――ニューヘル女王が異世界No.9ニコラス王国に視察に来るらしい。

という情報まで入ってきた。もう絶好のチャンスだ。そして、本当かどうかを確認する為に腕の立つ殺し屋を送り込んだのだ。その殺し屋にカメラをつけ、殺す瞬間を見る。もしも間違っていたら殺し屋はニューヘル女王の体が殺すだろう。だが、もし本当に入れ替わっているならその男の体が殺すだろう。

答えは、本当だった。

見たところ、殺し屋は男の体に殺された。ニューヘル女王の体は怖気ついたように座り込んでいる。

つまり、今ニューヘル女王は男の体の中にいる、と。そして、ニューヘル女王の体の中にいるヤツは、何もできないただのゴミだと。魔王リヴェルトンはここで異世界No.3ニルバナ王国の女王、ニューヘル・ゴルンが死ぬ、と笑っていた。

それと同時に、異世界No.2地球をも支配下にするという恐ろしい計画も進めていた。


★★★

どうやらそのまま朝まで寝ていたらしく、学校を遅刻した。いや!起こせよ!

教室に着いた時には、ホームルームが終わっていた。

カバンを片付け、ヘルがいないと気づいた時。


「あれれー?遅刻ですかー?」


ちょ魔李ちゃん!?キャラ戻して!?あの天然可愛い魔李ちゃんは!?


「だ、めですよー?」


魔李ちゃん軍団が俺を取り囲む。男子がぞろぞろと教室を出ていく。おい待て!助けてくれ!お願いだ!


「ま、魔李ちゃん?私、トイレに行きたいのだけれど……」


いや、まじで行きたい!漏れる!漏れるぅぅぅぅ!

足をもぞもぞさせる。


「先生が説教しないのなら、魔李達が説教しないとね〜」


ちょ怖!なにこれ怖!魔李ちゃん怖!声怖!


「いや、魔李ちゃん?漏れそうなんだけど?」

「漏らせばいいじゃないですか〜?」


ええええええええええええええええええええええええええええええ!?

恥ずすぎんだろおい!てか恥ずすぎるとごろじゃなく、人として終わるぞ!?どうすんだよ!漏れる!ヤバイ!早くいかないと!やばい!

くそ!どうする俺!く……こうなったら……。ここからトイレまでの距離は約100m!行くぜ!


「お★んぽォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」


俺は全力で叫んだ。


「ヒッ!?」


と、魔李ちゃん達が怯んだ瞬間。

俺は軍団を抜け出し、全力でトイレにダッシュした。

数々の男子トラップをクリアし、なんとかトイレの個室に入れた。そして、トイレをする。

……。

トイレが終わって、個室を出たその時。


「れ、蓮雄?」


と隣の個室から俺の声が聞こえたような、聞こえなかったような。

俺は無視して手を洗う。


「蓮雄ンンンンンン!!!!」

「てめぇなんで女子便にいんだよ!」

「急いで入ったら間違えて……助けてくれ」


おいおいおいおい!これ見つかったらマズイよ!ヤバイ俺の名誉がぁぁぁぁ!


「どうしやーいいんだよ」

「貴様、何も策なしにここに来たのか!?」

「てめぇがいることなんてわかるわけねぇだろ!」

「なんでだ!」

「当たりめーだろ!」


馬鹿かこいつ!もうヤダ。ほんとにもう。と、その時俺のクラスの女子、新蔵陽虎にいくらようこが入ってきた。こいつはいつも読書をしていて大人しいやつだ。

ヤバイ!見つかったら死ぬ!


「あれヘルちゃん。何してるの?」

「え?な、何って今からトイレだけ、ど?」

「そうなんだ」


俺はヘルがいる部屋をトントンと小さくノックして、「開けろ」と合図する。しばらくして納得したのか、ドアが開いて中に入る。その後、隣の個室に陽虎が入る音がした。

俺らは小さく話をする。


「おいどうすんだよ」

「今のうちに出るしかない!」


確かにその通りだ。俺は流したあと、ドアを開け外に出る。そして手を洗うふりをして、ヘルと女子便を出る。

ちょーびびった。もう最悪。とここでトントントンと足音が聞こえてくる。こっちに向かってない?と振り返ったら最後。


「あれ〜?蓮雄君〜?なんで女子トイレからでてきたのかな〜?」


イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!魔李ちゃんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!?これは誤解だぁぁぁぁぁ!最悪だぁぁぁぁぁ!てめぇどうしてくれるんだよ!


「誰貴様」


いや、魔李ちゃんだからぁぁぁぁぁぁぁ!


「蓮雄君〜?頭大丈夫でちゅか〜?」


もうやめてぇぇぇ……お願いします……魔李ちゃんが魔李ちゃんでなくなっちゃうぅぅぅ!


「貴様の頭が大丈夫か?」


ちょまて?喧嘩うらないで?ほんとやめて?


「あれれ〜?蓮雄君キャラ変わりました〜?」


魔李ちゃんもな!と言いそうになる。いや、まじで変わってんじゃん。


「俺は元々こうだ」

「蓮雄君〜先生にこのこと言いますね〜」

「ふん。俺の方が早く先生のところに言えるな」

「それはどうでしょう」

「笑わせるな」

【3、2、1、ゴー!】


え?待て。くだらない喧嘩だこれ!おいどっちが早く先生に言えるかという喧嘩してるぞこれ!おい!

と!その時


「ヘル。もうすぐ授業始まるぞ」


と、尾澤おざわ先生がいた。あれ?やばくない?


そんな本物の蓮雄をよそに、ヘルと魔李は猛ダッシュしていた。

数々のトラップをクリアしていく。

トラップ1。

滑りやすい廊下!★これは先生が毎日磨いている廊下!走者を転ばせるという!

トラップ2。

長い階段!★これは建設者が早く降りさせないという悪意!時間がかかる!

トラップ3。

生徒達!★これは意図的に邪魔をしてきたり、ぺちゃくちゃ喋っていて通路を阻む者!よけたりしないとダメで頭を使わなければならない!ぶつかったら最後!

トラップ4。

落ちているゴミ!★これを踏むと大爆発!

トラップ5。

ozawa!★ozawaの形をした紙。少しでも触れると、ozawa!になってしまう!

という数々のトラップをクリアしてきた。アホか!

っで結局職員室に入った瞬間チャイムが鳴り、先生がいないと気付き、急いで教室に戻ってきた。その後、授業中は睨み合いをしていた。もう魔李ちゃんに嫌われたわ。最悪。

てか馬鹿だろおい。こりゃ異世界のほうがいいわ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ