1 そして私達の心は曇り始める
★★★
[ニュースをお伝えします。昨日午後23時頃。3丁目の路地裏でまたしても変死の遺体が見つかりました。これで5件目の変死事件となります。今回は、全身の血をすべて抜かれていた、とのことです。
では、改めて今までのを振り返ってみましょう。
まず最初の変死事件は、4月25日に死亡したとみられるAさんです。Aさんは、顔・手・足・胴とバラバラで発見された事件です。場所は1丁目にある山の中。山の持ち主が3日後に発見。
2件目は、5月3日に死亡したとみられるBさんです。Bさんは、手足の場所を入れ替えられた状態で発見された事件です。つまり、腕が足になっており、足が腕に入れ替わっていたということです。しかも、異常が見られない、つまり生まれつきかのように骨がくっついている、と専門家が証言しています。調査をしても、生まれつきそのような骨ではなかった、とのことです。場所は1丁目の公園のベンチです。朝、子供が発見。
3件目は、5月5日に死亡したとみられるCさんです。Cさんは、全身の骨が抜かれた状態で発見された事件です。場所は2丁目の路地裏。通りかかったサラリーマンが発見。
4件目は、5月7日に死亡したとみられるDさんです。Dさんは、異常に細い状態で発見された事件です。アニメや漫画のようなペラペラな状態だったそうです。場所は3丁目の路地裏。今回の事件と同じ場所で、警察が発見。
……これらを聞いて高橋さんはどう思いますか――]
★★★
ピッピッピッ。
という音が聞こえてきたかと思うと、一気に意識が覚醒する。
突然起き上がった為か、ピーピーとうるさく鳴り響く。
タンタンタン!
という複数の足音が聞こえてきたと思うと、バー!といきなり扉が開いた。
そこにいたのは爆颶蓮雄――ではなく、看護婦さん達だった。
「せ、先生に連絡を!」
「は、はい!」
1人の看護婦さんが言うと、1人の看護婦さんがドタドタドタ!と走り去っていく。
よく状況がわからない。
――私は、なぜ病院にいるのだろう?
「残念ながら優凪ヘルさんはまだ目が覚めておりません」
「な……な……」
私が目を覚ましてから1日が経った日のこと。病院の先生は私にいろいろと説明してくれた。
まず、1週間前に緊急で運ばれて2人とも目覚める気配はなかった、と。日付の感覚を失っている私は、1週間前がどのくらいなのかわからなかった。
そして、私は昨日目覚めたこと。私は通常なら1日ぐらいで目覚めるぐらいだったのに、なぜか1週間も目を覚まさなかったという。だからある意味奇跡なのかもしれない。
優凪ヘル――外見は女だが、中身は爆颶蓮雄という男。どういうわけか、優凪ヘルと爆颶蓮雄は入れ替わってしまったらしい。つまり、今目が覚めていないのは、体は優凪ヘルだが魂は爆颶蓮雄ということになる。
ここまで運んできたのは、爆颶蓮雄という少年だと聞いた。つまり、優凪ヘルが運んでくれたのだろう。
いつぐらいに目覚めるか?と聞いたところ、返答は「わからない」だった。
先生によると、「いつ死んでもおかしくない状況」だと言う。
私は目の前に横たわっている優凪ヘル―爆颶蓮雄―を見ることができなかった。
病室に戻ると、来訪者が現れた。――爆颶蓮雄―優凪ヘル―だ。
「……よかったな、目が覚めて」
「……よかった……?なんでですか……?蓮雄君は……蓮雄君は……!」
私の目から涙が溢れ出す。
しかし、それは私だけでもないらしく。
「貴様が泣いてどうする……命を投げ捨ててまで助けたんだ……せめて笑って過ごしてやれ……蓮雄が起きた時に貴様の笑顔を1番に見せてやれ……見たいのは泣き顔じゃなく笑顔だからな……」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」
「……すまない……せめてニルバナ王国の病院にでも連れていけたら……!」
「なんでですか……なんでそっちに運ばなかったんですか!?」
「……蓮雄が他の世界に行けないからだ……」
「なん……で……?」
「……私にもわからん……蓮雄を他の異世界に連れてこうとしても……体が拒絶反応を起こして異世界に行けないんだ……」
「そん……な……」
「……正直言うが……この世界の技術では、爆颶蓮雄はいつまで経っても目を覚ますことはないだろう……」
「……」
涙も言葉も出なかった。
心が痛い。何かモヤモヤする。
あぁそうか。これが、
――私の心は曇っている。
ということか。
さて、新章突入です!
今後ともどうぞよろしくお願いします!
ではでは!




