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24 思わぬ乱入者――

★★★

荒れ狂う大地真っ赤に染まる。

辺りの地面はデコボコに膨れ上がっていたり沈みかかっていた。

そして、辺りに広がる赤色の液体。

男と女は、両方血を流していた。見た感じ重傷である。

ナンの片手の骨は折れている。かけていたサングラスは片目だけ穴が空き、マフラーはボロボロになっていて、ナンの素顔がほぼ丸見えである。全身から流れる大量の血。

ディーダの片足はどこかへ飛んでいってしまいそこにない。今は空中に浮いている。そこから流れる、ナンよりも多い大量の血。

お互い、もう死にかけである。

両者ともに息づかいが荒い。


「なかなかやるじゃねーかー……」

「あなたこそね……」


と、再び目を合わせ、動こうとしたその時。

ナンとディーダの間に、地面から紀亜とゼロが現れた。両者とも、ナンのせいかそこまでは多くないが血を流している。


「ちょっとそんなことをしている場合じゃないルル……」

「ナン殿ディーダ殿、ここは早く逃げた方がよろしいかと」


ドタドタドタと大勢の人がこちらへ走ってきた。

一言で言うなら、お坊さん。お坊さんの大群がこちらへ走ってきた。全員、先端に珠々と鈴が2個ついている槍を持っている。

……これは……


「〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉……ですか……」

「えぇそのようです。ここは一時休戦し、あれの対応をするのが妥当だと……」

「まぁしょうがないなー……」


4人が向いた時には、周囲を囲まれた。


「我々に大人しくついてこい――それが出来ないのなら……死んでもらう」

「じゃあ殺してみろよー……ハゲども」


一斉に襲いかかってきた。これは勝ち目はなさそうだな、と思った瞬間。

浄土空宗じょうどくうしゅう〉の者達が吹き飛ばされる。

吹き飛ばした犯人はナン達の目の前に降り立った。

――勇者だった。


それと同じ頃。

その光景は紀人達にも及んでいた。


「なんだぁ?てめぇーらは」

「〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉だよ」

「〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉だって?」

「うん」

「あらまぁこれは厄介なことになりますねぇ?団長ぉ?」

「うるさいなお前。殺すぞ」


とニコニコで言う。

周りの者達に向き変えると、紀人は口を開く。


「……〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉が、俺達に何の用かな?殺して欲しいの?」


すると、ある1人の者が喋り出す。


「我々は〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉。貴様らには大人しくしていてもらう。それが聞けないのなら――貴様らには死んでもらう」

「じゃあ是非とも俺達を殺してみて欲しいな……本物の『狼』に勝てると思うなよ?」



それと同じ頃。ヘル達はというと。

アゴット人は未だに檻の中だ。


「ちょっとー?いい加減私をここから出してよねー?」

「……まぁ今はそんなことを言っている場合ではないが」


そうヘルが呟いた途端、監獄は消え去った。

アゴット人は何事かわからなかった。しかし、それは一瞬でわかった。

辺りを〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉の信者達が囲っていたのだ。


「な、なんで〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉が……!?」

「チッ……また厄介な事が起こりそうだ……」


ヘルは無論〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉のことは知っている。ニルバナ王国の女王だからそれぐらいの情報は知っておかないとマズイ。

ただでさえ厄介ごとに巻き込まれているのに、これ以上巻き込まれるのはさすがにゴメンだ。


「おい貴様ら。何の用だ」

「大人しく我々についてこい――」

「嫌だと言ったら?」

「――殺すまで」


一斉に襲いかかってきた。

見た感じ数では負けている。相手は〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉。只者ではないことは確実だ。だからこそ、戦いになる時には気をつけなければならない。

――やはり数が多すぎる。ここは……


「おい貴様。今は一時休戦だ。とりあえずこいつらを殺す」

「わ、わかったわよ」

「貴様らがここに来たことを後悔させてやる」


と瞬間、〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉の者達が吹き飛ばされていく。

何者だ!と思った瞬間。

目の前にその犯人は降り立った。

――女神だった。


★★★

その船は、〈異賊暴オーガ〉第1使徒〈神炎ウリエル〉船にぶつかって止まった。

先端に立っていた男は、大きく跳躍してこちらに乗り移ってきた。そして、そのままこちらへ歩いてくる。

……こ、こいつは……!


【ドット……モール……!】


蓮雄とメーリスの声が重なる。

その男の名はドット・モール。蓮雄達と同じく女王の弟子だ。しかしこいつは……


「お前……死んだはずじゃ……!?」


そう、こいつはあの事件の時に命を落としたはずなのだ。蓮雄の目の前で……確実的に……死んだはず……!なぜこんなところに……!


「俺を勝手に殺すな裏切り者共が」

「裏切り者ってお前――」

「――わめくんじゃねぇーよ」


その見た目からしてありえない口調。全く似合わない口調。その格好や頭でそれは気持ち悪い口調。……とりあえずキャラ考え直せ。


「お前らは★★★様を裏切った分際だろうが……この下手人共」


な、なぜだ……なぜ肝心な名前のところだけ……何も聞こえない……!?なぜそこだけ……辺りが無音になるんだ!?なぜだ!?なぜなんだ!?

そんなことを考えている蓮雄がわかったかのように、


「あぁそうだったな……貴様は★★★様という名前が聞けないんだったな。残念だ残念だ……でも」


瞬間、いつの間にか蓮雄の後ろに立って、蓮雄の耳元で呟く。


「それも仕方ないことだもんなぁ……★★★様の顔も★★★様の趣味も★★★様の何もかも知らないもんなぁ……★★★様の」

「うるせぇ……!」


ただ単なる嫌がらせだ。


「……てめぇー俺がなぜ思い出せないか知ってるだろ?」


蓮雄は未だ後ろにいるモールに話しかけた。


「……さぁな。貴様の想像に任せる」

「ふざけんな!……なんで……なんで俺だけこんな思いをしなきゃならねーんだよ!なんで俺だけ……1番近くにいたのは俺だというのに!」

「は?貴様何を言っている。『俺だけ』だと?……笑わせんなよ貴様」


後ろから衝撃を受け、吹き飛んでいく。


「貴様だけじゃねぇよ……貴様以上に苦しんでるやつだっていんだよ……被害妄想してんじゃねぇぞガキが」

「うる……せぇ……!他人のことはどうでもいいんだよ!他人のことを考えたから女王は死んだんだよ!……俺がてめぇーらの事を考えてなければ……!女王は……!死なずに……済んだんだァァァ!」


剣を片手にモールへ襲いかかる。

簡単に受け止められて、1発2発と剣を混じり合わせている。

それをただ見ているだけのメーリスとレッカ。面白いからではない……この男モールが危険だからだ。


「ほうほう。そこまでは思い出したようだな……」

「うるせぇぇぇぇぇぇ!」


カキーン。

蓮雄の剣が弾き飛ばされ、龍架の足元に突き刺さる。「ヒッ……」と小さな声が漏れる。


「な……」

「貴様……本当に弱くなったな」


斜めに切りつけられた。

それがあまりにも深く上半身や口から大量の血飛沫が舞う。それは、龍架にも届くほどの。

――私の目の前で……大切な人が……殺された……。

地面に倒れ込む蓮雄を見て、龍架はそう心の中で解釈した。この状況はなんなのか?このモールと呼ばれている男や〈異賊暴オーガ〉や〈浄土空宗じょうどくうしゅう〉の事も何もかもわからない。ただ1つ言えるのは、目の前で大切な人が殺されたということ。

蓮雄を中心に徐々に大きくなっていく血の水たまり。綺麗に楕円状に広がっていく。

ああ……ああ……ああああああああああ!

龍架は絶望と恐怖が同時に襲いかかってきて、意識が一瞬で遠くへ行ってしまった。

私の目の前でレオンが殺された。

別にそれが私達の目的だったから悪いことではないのだが。

何かが違う……

その疑問が私の体を動かしていた。


「モール……!」


剣を出現させて、モールへと襲いにかかるメーリス。何故かはわからない。なぜ自分が動いているのかを。

メーリスが振り下ろした剣を容易くかわし、槍の柄の方でメーリスの鳩尾を強く叩く。その1発だけで、メーリスは苦しそうに倒れ込んでいく。

俺の目の前で……メーリスが殺されかけている。

だんだんと遠のいていく意識と、だんだんと狭まっていく景色の中、メーリスが苦しそうに倒れ込んでいる。自分も死にそうなのに、自分を殺そうとしている奴なのに、自分達の敵のチームに入っているのに、なぜか俺はメーリスが心配になった。

俺は最後の力を振り絞り、立ち上がる。


「まだ生きていたのか……しぶとい奴め……」

「フフ……うるせぇーなハゲラッチョ……少しは毛を生やせよ……ハハ……」


グサリ。

今度は確かに肉に何かが突き刺さる音。

モールの槍が蓮雄を貫通していた。そのまま引き抜き、1発殴ろうとするが。

当たる寸前で受け止められた。両手を使ってはいるものの、ほぼ今は死にかけ。どこにそんな力があるのだろうか。


「ハァ……ハァ……どうだ……死にかけでもてめぇーの拳は受け止めれるぞグハッ……」

「きさ……ま……!」

「ヘヘ……てめぇーに俺を殺すのはまだはえーよ……シャイニング・ヘッドが」

「黙れぇぇぇぇぇぇ!」


と槍を突き刺そうとした瞬間。

船の上が爆発した。

全員が吹き飛ばされていく。

蓮雄の意識が消えていく直前、爆発が起こった瞬間その犯人が見えた。それは、

――魔女だった。

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