表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/46

13 かぁぁぁぁぁぁめぇぇぇぇぇぇはぁぁぁぁぁぁめぇぇぇぇぇぇ波ぁぁぁぁぁぁぁ!……パクリじゃないからね?

★★★

ついに〈異賊暴オーガ〉が動き出した。

早すぎる。いくらなんでも、準備していないとできないほどに早い。

いや、それよりも早いのは『バグ・レオンが記憶を取り戻した』ことだ。

だが、そんなことはまぁいい。いつかは起こることなのだから。

それよりも今は、この遊びを見よう。


「さすが〈異賊暴オーガ〉第1使徒〈神炎ウリエル〉隊長メーリス・アルボート……頭が良い」


その呟きに近くにいたリヴェルトンは、耳を向ける。

神の言う通り、メーリス・アルボートは頭が良い戦術をしている。いや、頭が良いわけではない。ただ、そう見えるだけだ。

神が〈異賊暴オーガ〉第1使徒〈神炎ウリエル〉隊長メーリス・アルボートの事を知っていても、なんの不思議もない。なぜなら、神だからだ。神はなんでも知っている。そう、なんでも。

リヴェルトンでもメーリスのことは知っている。いや、メーリス・アルボートのことを知らない者は少ないのではないだろうか。

海賊、だから組織が秘密化されているわけではない。異世界海賊〈異賊暴オーガ〉は、数々の異世界で暴れているが、異世界を滅ぼすことなど『あまり』ない。それになぜかは知らないが、〈異賊暴オーガ〉は使徒とその隊長の名を公表しているのだ。それは、異世界連邦の中でも意見が割れており、『強さを見せつけている』のと『ただたんにバカ』が有力な意見となっている。後者の方は置いといて、前者の方は海賊ならではのことかもしれない。〈異賊暴オーガ〉は強さを見せつけれるほどの勢力があるので、別に見せつけてるからどうとかはない。ただ、ムカつくだけだ。


「ただ……こんなのであの子が殺られるとは思わないんだけどね……」

「それほどまでにあのバグ・レオンという男は強いのでしょうか……?」


恐る恐る聞いてみた。

正直、リヴェルトンにはそうは見えない。前戦ったときも、自分より弱かったしもう少し時間があれば、確実に殺せれた。


「まぁなめていると……喰われてしまうかもね……」

「はぁ……」


リヴェルトンはその意味がわからなかった。食われる?わけがわからない。


「リヴェルトン気をつけなよ……」

「何が……ですか……?」

「バグ・レオンも危険だが……あの女にもね……」


あの女、って言われても誰なのかわからない。一瞬、ニューヘル女王かと思ったがそこまで危険人物ではない。

リヴェルトンと神はそれ以上ここでは喋らなかった。


★★★


「くそっ!なんだこの数は!」


現在絶賛戦闘中のヘルは、集中しなければいけないのに声をあげてしまう。声をあげてしまうほど多いのだ。

現在のヘルの姿は、ニューヘル女王の姿だった。どうやらこの異世界はまだ完全に壊れているわけではないということだ。

無理矢理入るなんて酷すぎる。こういう攻略系異世界というのは、無理矢理入ろうとすると機械が反応し、壊れてしまう。今回、〈異賊暴オーガ〉第1使徒〈神炎ウリエル〉は、空から無理矢理入ってきたため、壊れることは確実なはずだった。しかし、どうやらこの異世界の機械は生命力がすごいらしい。

ヘルは今、使い慣れた体で戦っているわけである。


「やはり私の真の力を……!」

「貴様はそんな冗談を言えるぐらい余裕はあるんだな!」


現在絶賛空中戦闘中のゼロは、いきりなりボケる。ボケれるぐらい余裕はあるかというと、実際そうでもない。ゼロは個人的に、ラフに戦闘をした方が本当の力で戦闘ができるらしい。つまり、こういう冗談を言ってでもしないと気分が楽にならないということだ。

ゼロは空中を、ヘルは地上を戦っているがなかなか減らない。それどころか、


「ちっ……なんか敵が増えてるように感じるのは私だけか?」

「いえ、実際増えてます」


そう、実際に増えているのだ。ゼロの見たところ、〈異賊暴オーガ〉第1使徒〈神炎ウリエル〉船からどんどん敵が落ちてきている(降りてきている)。

それを初めてみたヘルはニヤリと笑った。


「……ゼロ!少し頼めるか!?」

「女王……まさか……!」

「ふん……」

「危険ですぞ!」

「知るかんなもん……誰かを救うためには、自分が犠牲になることも必要なんだよ……自分を犠牲にできない者は、何も守ることはできないんだよ……覚えときな」

「……しかしやはり――」

「うるさい。貴様は黙って私の護衛をしていろ……!」


瞬間、ヘルの体が光出した。その光はそこまで強くはなく、ヘルだけ覆っている。ゼロはそれを確認して「まったく……」とつぶやきながら、地上へ降りた。

敵もどうやら驚いたようで固まっている。いや何が驚くことかよくわからないが。

そしてヘルの近くで止まり、再び剣を構える。それが再戦の合図だった。

敵が一斉に攻撃してきた。当然、ヘルに攻撃を仕掛ける者どももいるが、ゼロはそれを魔法や剣で殺した。

そして、ゼロが2つの剣を地面に刺す。敵の動きが止まった。そして、ゼロは少し腰を落として両手を右側に置いた。そして、ゼロは密かに練習していた最強の技の名前を放つ。



「かぁぁぁぁぁめぇぇぇぇぇぇはぁぁぁぁぁぁめぇぇぇぇぇぇ波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


【・・・?】


空気が凍った。

確かに謎の光がここら辺一帯を包んだが、攻撃は受けていない。

ゼロは両手を前に突き出して、あの『かめ★め波』のポーズをしていた。が、なんてでていない。


「あれ?おかしいですね……イメージトレーニングでは完璧だったのですが……まだ私の真の力は復活していないようです」

【殺せぇぇぇぇぇぇぇ!】


一斉に突っ込んでくる。が、それはゼロの罠にハマるのと同じことだった。

ゼロは敵が一斉に突っ込んでくるのと同時に、剣を抜いて空へ飛び立った。未だ光るヘルを置いて。

敵たちがヘルから約3m離れたところに来た途端、そのヘルを中心に半径約3mのところに、地面が爆発したのと同時に、高さ約10mぐらいの炎がでてきた。

突っ込んできた前らへんの奴らは死に、その後ろからは近づけなくなってしまった。

――これがゼロの狙いだ。

ただたんにふざけて『かめ★め波』をやったわけではない。『かめ★め波』の準備ポーズをした時に、手に『閃光せんこう』の魔法陣を準備しておいて、それを前に突き出すタイミングで魔法『閃光せんこう』を放った。そして、敵の目が眩んでいるうちに、ヘルを中心とした半径約3mの円上に、地面が爆発する魔法『地爆じばく』と高さ約10m程の炎を出す魔法『高炎こうえん』を、『地雷』方式でセットしたのだ。つまり、ヘルを中心とした半径約3mの円上を踏むと、『地爆』と『高炎』が発動するというわけだ。

――それを一瞬でゼロはやった。

それは蓮雄でもできない。いや、蓮雄はそもそも魔法があまり使えないので比較しても意味無いが。まぁいいの。

つまり、あの『かめ★め波』より一枚上手というわけだ。ヤバイ強すぎる……!

相変わらず空中に浮いている。

そして、「ふっ……」と笑うと魔法を解除した。

だんだん消えていく『炎』。

そして、そこから現れる『女王』。

ただ、その『女王』は思わせる、というだけであって本当の女王という意味ではない。

確かにその人物はヘルなのだが、先程と姿が違う。

あかと茶色の色をした、キラキラ光沢のある服。まるで、紅葉のよう。

服、ではなく間違いなく『女王』を象徴する服装。言わば『ドレス』だ。

頭には『女王』を表す『ティアラ』を身につけている。

雰囲気がまるで、いや、違い過ぎる。それは、当の本人もわかっていることだった。


「サンキューゼロ……だが途中の『かめ★め波』については……後で教えてくれぬか?」


どうやら雰囲気が変わっただけであって、バカはバカらしい。


「了解です……ようやく私の真の力が発揮できました」


だが、バカがバカに言うとこうなる。


「……やはり『王装おうそう』はあまり着心地が良くない」


王装おうそう』とはこの服装の名称だ。


「まぁまぁ……」

「あとは任せてくれ……一気に片付ける……!」


瞬間、とてつもない速さで敵に突っ込んでいった。

たった5秒のうちに50体は軽く超えるほどに殺してしまった。

敵は剣に致命傷をつけられた。そう、剣で。

ただ、動く前も5秒後に止まった時にもヘルは剣を持っていなかった。

確かに『剣』で殺した。それは確実だ。

だが、敵達にはわからなかった。

謎の恐怖に襲われる。

ヘルはそんなこと知るわけもない。

――ヘルは不気味に笑ってまた動いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ