男女平等社会に於ける役割分担の是非
「何かを言ってもらうのは男性に、何かをしてもらうのは女性に頼みなさい」
これは、鉄の女と呼ばれたサッチャー首相の名言である。
・・・などと偉そうに書くと、私がいかにも政治通だと勘違いされそうなのだが、実は、子供が図書館から借りてきた『世界の偉人図鑑』に載っていたのを読んで、最近、初めて知った。
子供向けの図鑑であったが、私はそれを読んだ時に、その言葉の重さと奥深さに唸った。
解説するまでもないが、サッチャー首相とはイギリスの女性首相で、その鋼鉄の如く固い意志を評して『鉄の女』と異名を取ったすごい女性である。
今だに女王陛下が現存するイギリスだから、女性の社会的地位は日本に比べたら少しは高いかもしれないが、女が一国のトップに立つという事は、想像を絶する苦労があっただろうと想像に難くない。
封建的な我が国を筆頭に、21世紀になった今でも男女の社会的差別は存在し、その溝は埋まる事がない。
女性への性的暴行が日常茶飯事に行われているのに被害届すら受理されない中央アジアのどっかの国とか、まだ小学生の女の子を還暦過ぎた年寄りのとこに学校辞めさせて嫁に行かす中近東のどっかの国とか、女性の地位が飼ってる牛以下である国は世界的に見ても少なくない。
発展途上国故の民族・宗教・文化の違いかと思いきや、発展している部類に属する日本でさえも、連日のようにストーカー殺人や、家庭内暴力事件がネットニュースを賑わしている。
遺憾ではあるが、個人的な意見を言ってしまえば、男性による女性への暴力は人間が動物である限り、なくなることがない気がする。
理性と知性でカバーしようにも、所詮、人間は動物であり、本能を完全に停止させる事はできないし、それができるようなら、種としての繁栄はこの先ないと思う。
と、書いてしまうと「男は所詮、野獣だって言いたいのか?」と男性からのブーイングが来そうなので少々ビビリながら言葉を変えてみると、男性の方が本能的であるのは種の存続の為に必要な事であり、種を残そうとするなら、その矛先はやはり受け入れ先である女性に向かってしまう。
体力的に劣っている女性に向かってしまうのは種の存続の為だけではなく、動物として備わった弱肉強食の本能のなせる業なのかもしれない。
「理性的でダンディな俺を『男=野獣』という括りで一緒くたにすんな!」と立腹される男性もいらっしゃると思うが、今回のテーマは男性の本能ではないので、そろそろ本題に戻らせて頂きます。
まあ、何が言いたかったかと言うと、世界が文明化したところで、古今東西、女性蔑視は変わらず存在して、残念だがこの先も恒久的に続いていくという事だ。
その中で、一国のトップに立ったサッチャー首相が言った「何かを言ってもらうのは男性に、何かをしてもらうのは女性に頼みなさい」という言葉。
これをどう解釈するべきか?
私的見解ではあるが、彼女は組織に於いて、女が前に出るよりも男性を上に立たせて喋った方がいろんな事で物事が上手く進むと感じていたのではないのか。
実際、彼女が「鉄の男」と呼ばれる男性であったなら、イギリスはもっと違う国になっていたかもしれないしね。
彼女がいかにすごい人間でも、女性だというだけで反発し、非協力的になった者は男女問わずに多かっただろう。
人は、上には男性が立つものだという固定観念を少なからず持っている。
例えば、私が職場で接客をしていたとする。
何かの拍子に客が怒り出し、私の手に負えなくなった場合、一番効果的なのは「上の者を呼びます」と言って男性社員を引っ張ってくることだ。
その場合の男性社員は、この際、男であれば何でもいい。
客は、女の私が引っ込んで男が出て来たというだけで、自分がリスペクトされていると感じ、気分が良くなり、怒りを忘れるだろう。
相手の客が女性だった場合は、更に効果覿面である。
男女同権を振りかざし、男より出世したいキャリアな女性でさえも、実は上は男性がいいと思っているものである。
だが、本能的な男性には、フォローが必要である。
生まれた時から男性には冒険したい本能が備わっている。
うちの息子と娘の成長過程を観察していても、幼年期の男女の差は非常に大きい。
一概には言えないだろうが、男の子の方が突拍子もない言動が多い。
考えずに行動してしまうというのか、「これをやったら、ああなるだろう」みたいなプロセスが事前に立てられないようだ。
「買ったばかりの靴だから、絶対汚さないでね!換えがないから、汚したら学校行けないよ!」と言われた直後に、水溜りにダイブしてしまうのは、どーしても水の中に入りたいという本能が勝ってしまう為なのだ。
放っといたら何しでかすか分からない男を、冷静に見守り操縦するのは女性しかない。
出産・育児の本能が備わっている女性は、どちらかと言えば、守りの姿勢の方が性に合っている。
日本にも「内助の功」という言葉があるように、男を前に出して、実権は家の中で女性が握っている方が、世の中渡りやすいのだ。
もう一つは、女が前に出張っていくと、面白いくらいに敵が増える。
女性を叩き落としたいのは男性ばかりではなく、実は女の敵は女である場合が多い。
最初に集団で潰しにかかるのは、彼女の身近にいる女達になるだろう。
そんな世の中を全て見通して、一国のトップに立ったサッチャー首相の言葉は非常に奥深い。
もう一つの解釈として、サッチャー首相は男のダメっぷりに辟易していたという。
「喋る事しか能がない男には喋らせておいて、大事な仕事は女性にやらせなさい」という意味で言ったとの説もあるらしい。
何をしでかすか分からん男に、大事な事を任せるなと言う事だ。
先週、割烹着姿で研究室で働き、その美貌と女性には珍しい理系頭脳の持ち主で、時の人となっていた某女性が、テレビで記者会見を行った。
僅かひと月前に、すごい細胞を発見したとかで、メディアがこぞって割烹着の美人研究員と持ち上げていた彼女だったが、その墜落ぶりは余りにも早かった。
論文がホームページのコピーだったとか、アメリカの偉い研究者の意見はデタラメだったとか、マスコミ全総力をつぎ込んだ如くの総攻撃だ。
それも、美人研究員として代表扱いだった彼女だけに集中攻撃である。
学校の自由研究じゃあるまいし、そのプロジェクトに携わっていたのは彼女だけではない筈だ。
何故、彼女だけが槍玉に上げられてしまったのかと考えると、残念ながら、彼女が女性だったからである気がして仕方がない。
この研究発表を、どんなダメダメ下っ端研究員でもいいから、取り敢えず、男を代表に立てていたら、これほどまでに注目され、そして反撃に遭う事はなかったと思うのだ。
挙句の果てには高校時代の彼女の同級生だっという女性のインタビューが女性誌に掲載される始末である。
自称友達だったその女の口から「彼女ってぇ、思い込みが激しかったっていうかぁ、自分が好きになった男の子に告白されたとか、付き合い始めたとか勝手に公表したりして、昔から虚言癖があったんですよねぇ。細胞の話も、思わずデマカセで言っちゃったのかなあ・・・」などと、それ見たことかと言わんばかりにどうでもいい暴露話が飛び出して、女の敵はやっぱり女なのだと、改めて恐怖を感じた。
てか、こんな女は友達じゃねーわ。
インタビューに答えたバカ女には、世紀の大発見となる細胞の研究と、高校時代に付き合ってた部活のキャプテンの話がリンクするほどに教養の欠片もなく、信憑性に欠けるニュースソースである事は間違いないのに、哀しいかな、難しい細胞の話よりも、そういった彼女の恋愛関係などのゴシップに世間の話題は移ってしまい、先日のインタビューでは、彼女の上司との恋愛関係まで突っ込まれていた。
完全文系人間である私には、その細胞がどれだけすごいのか、彼女の研究が捏造だったのかどうかなんてさっぱり分からないのだが 誰でもいいから男を代表にしていれば、この研究はここまでのバッシングは受けなかったのではないか、と思われてならない。
恐らくは、ビジュアル的にも優れた彼女を代表にすれば世間の注目度も高いと踏んだのだろうが、これが全く裏目に出た結果になった。
何はともあれ、件の女性研究員の方には、こんな事でめげずに、これからも研究に勤しんで頂きたいと切に思うのである。