現状確認
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「うーん・・・・・」
眠りから覚めるような感覚と共に、俺は目を覚ました。
「というか此処何処だよ?」
俺が目を覚ましたのは、何処か朽ち掛けた神殿の硬い石の祭壇の上であった。
現在の状況が理解出来ず呆然としていると、頭の中にスピーカーから出るようなキーンとした音の後に、ロリ神の声が聞こえてきた。
『シューイチさん聞こえますか?私です、神様です。』
『これはどういうことだ、説明しろ。』
状況を飲み込むことが出来ず、若干怒気の混ざった声色になりながらロリ神に質問した。
『ごめんなさい、ごめんなさい。』
ロリ神が急に謝りだして話が進まなくなってしまったので、取り敢えず慰めながら質問することにした。
『悪かったよ、怒らないから訳を教えてくれ。』
『実は転送の座標指定を忘れていたらしく、今は使われていない私を祀っていた神殿に転送されたみたいなんですよ。』
前言撤回してやろうかと思ったが、もう少し話を聞くことにした。
『神殿って言ったけど何処なんだ?』
『そこは『始まりの森』と言う低ランクの初級モンスター生息区域にあります。』
『・・・・・・森の出口は近いのか?』
これは重要だ。もし遠ければ俺の異世界生活はほぼ終わりだろう。
『えー、この神殿は森の中心分でこの森自体かなり広大です。』
・・・・・・・・・・終わった。
◆ ◆ ◆
今は冷静に生き残ることを考えよう。
そこでふと転送前にロリ神が言っていた得点について聞いてみることにした。
『なあ、ロリ神俺に何の特典付けたんだ?』
『それは、シューイチさんが言っていたチートに入っていた『無限収納』、『鑑定眼』あと生活に支障が出ないように『言語理解』あとこれは本当に特別ですがシューイチさんの体をほんの少し若返られさせました。』
途中まで大人しく聞いていたが、ロリ神が一つ聞き捨てならないことを言った。
若返らした、そう言われて良く体を観察して診ると十八の時にカッターで切った指の傷が綺麗に無くなっていた。
『後、言い忘れてましたが個人のステータスをオープンと言えば見れます。因みに閉じるのはクローズです。
すいません、これ以上話すことが無理そうなんでここで切ります。どうか気を付けて。』
そう言うとロリ神からの通信は一方的に切られた。
しょうがない、生き残るために取り敢えずステータスだ。
◆ ◆ ◆
ロリ神に言われたとおりにステータスを確認するとしようか。
「えーとっ、まずは『オープン』」
俺がそう言うと、白い空間で一度見た透明な板が目の前に浮いて出て来た。
相変わらずこれ何で出来てんだ?
俺の疑問は兎も角、自分のステータスを確認した。
名前〈シューイチ・ハヤカワ〉
メインジョブ・テイマーLv.1▼
サブジョブ・オールメイカーLv.1▼
スキル▼
成程、STRとかの詳しいパラメーターは存在しないパターンの奴か。
結構すっきりした表示で少し不安になったが、黒い逆三角に触ると詳しい物が現れホッとした。
名前〈シューイチ・ハヤカワ〉
メインジョブ・テイマーLv.1
モンスターをテイムし、使役する。テイム枠は一度テイムすると二度と空かない。テイム枠はLvによって増える。(Lv10毎に枠を一つ追加)
モンスター
1・---
サブジョブ・オールメイカーLv.1
全ての物を作る技能を持つ。専門のジョブが生産したものより質は落ちる。
スキル
意思疎通〈モンスター〉▼
木工細工▼
(隠しスキル)
鑑定眼▼
言語理解▼
無限収納▼
取り敢えずはこんなものか、流石に初期のステータスだけあってスキルが少ない。オールメイカーにマイナス補正が付くのは目を瞑ろう今は何でも作れる方が有難い。
隠しスキルの方はどんなものか大体分かるので普通のスキルを確認することにした。
意思疎通〈モンスター〉〈★★☆〉
テイムしたモンスターと意思疎通が出来る。
木工細工〈★☆☆〉
木を使った物品を作れる。
恐らくこの黒い星が、ロリ神の言ってたランクだろうな。それでこの『意思疎通』が、特別にくれたレアスキルと言うやつだろう。
「『クローズ』、さてスキルも確認したし、少し神殿内を物色するか。
飲み水くらい確保しないとやばいし。」
そんな独り言を零しながら、祭壇から降りた。
◆ ◆ ◆
結論から言うと案外簡単に見つかった。神殿から出て直ぐの所に古い井戸があって、そこから汲んだ水を鑑定すると
井戸水
・飲料可能
と出たので、飲み水は確保できた。
序でに、鑑定眼のスキルが俺の知りたいことのみが表示される事が分かったのは嬉しい誤算だった。
もう一つ幸運な事に神殿を鑑定すると、
女神の神殿
・女神の加護
モンスターの侵入阻害。但し例外有(テイムモンスター、高ランクモンスター)
となっており睡眠中に襲われる心配は無さそうだ。只、例外の高ランクモンスターには注意したいが、この森に住んでるのが低ランクらしいので大丈夫だろう。
神殿の探索がひと段落着く頃には、辺りも薄暗くなり始めており夜間森を行動するのは危険だと判断し、今日は祭壇で眠ることにした。
◆ ◆ ◆
「うぅ、体痛い。」
昨夜石の祭壇で寝たせいか目が覚めると体の節々が痛かったが、十分な睡眠が摂れたためかそれとも若返った為かは不明だが体の疲れは残って居なかった。
「さて、探索を始めるか。」
今回の探索で俺が目標にしていることは、食料の確保と出口を探すことである。
このサバイバルが何時まで続くか分からない為、食料の確保を最優先にしたいと考えている。幸い俺には鑑定眼のスキルが有る為、毒物を食べることは無い。
俺は、神殿を見失うことを避ける為あまり森に入らない様にしながら探索を開始した。
「お、これリンゴっぽい。」
探索を開始して数十分後、赤いリンゴの様なものが生えている木を発見し早速鑑定することにした。
ププルの実
・食用可
名前は違うが如何やらこれが、この世界のリンゴのようだ。俺は味見の為に一つ食べてみることにした。
「いただきます。」
俺はそう言うと一心不乱にププルを平らげた。
「地球のより、酸っぱいけど美味かった。」
この世界に来てから水しか口にしていなかった俺には、この実がとても美味く感じられた。
その後も探索は順調に進み薬草などこれから役立つであろう物を幾つか採取することが出来、探索は概ね成功した。
それから数日、出口は相変わらず見付らないが餓死しない程度に食料を確保することが出来、俺は安堵していた。
今思うとこの時の安堵感は、俺の油断が原因だったのかもしれない。
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