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序章1-2

 教室を出て僕は、三階の隅に位置する空き教室へと足を運んだ。空き教室だからと言って、誇り臭いだとか、ガラクタの山だということはなく、ただ本棚の多い教室という感じだ。


 僕はそこの窓際にポツンと、廊下側を見るような向きに置かれた椅子に腰掛け、読みかけのライトノベルへと目を落とす。


 それにしても怒りに身を任せて教室から逃げ出すとは僕もまだまだ子供だな……。そういや、次の授業開始時間まで時間がない、まぁいいや少しくらいサボったところでバチは当たるまい。


 僕は自分にそう言い聞かせライトノベルを読みふける、本当はあの教室に居たくないと僕は心では理解していた。自分に嘘をついているのは明白だった。


 僕のんでいるライトノベルは、現代に生きる男子高校生が、ひょんな事から能力者たちの戦いに巻き込まれる話だ。


 僕はこういった類のファンタジー小説が実に好きだ。僕と変わらない毎日を送っていたはずの主人公が、ちょっとした事からゴタゴタに巻き込まれる。


 もしかしたら、自分の知らないところでそんなことが起こっているのかもしれない。そう思うと、夜も眠れなくなるほどだ。


 やはり嘘というのは素晴らしい。ここまで人に夢を与えるのだから。


「ファンタジー入りしてぇ」


 僕の虚しい独り言は、寂しくも静かな教室に溶け込む。この寂しさが心地よいと思うようになったのはいつからだっただろうか。僕の意識はそんな問いと、ともに落ちていく。


 


―――――――――


「ほらやっぱりここにいた」



 次に目が空いた時、真っ先に飛び込んできた刺激は、聞き覚えのある音であり声だった。


「美琴?」


 寝起きの声でその声の主と目を合わせる、状態を起こそうとした時に、膝の上に乗っていたライトノベルが床に落ちる。


「まったく午後の授業全部サボるってバカじゃないの?」


「ふぁ~、戦士の休息だよ」


「くだらないこと言わないの」


 どうして美琴はこうもお姉さんキャラなのだろうか、なんだか子供扱いされているみたいで納得がいかないぞ。


 僕が内心で腹を立てていると、尊はこちらを向いていった。


「帰るんだから早く準備しなさいよ」


 僕はその言葉を訊いて、ポケットに忍び込ませてある携帯電話を取り出した。


「16時23分」


 この学校の放課の時間は15時50分から始まる。これは無駄な時間を過ごしたようだ。


「そt決まれば話は早い、では美琴さらばだ」


 僕は空き教室を飛び出して、一目散に僕の教室である。2年5組を目指す。そのまま、僕の机の横にかかった鞄をもってさっさと退出する。

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