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第八話 消えたはずの自転車

「お主が無くなったと嘆いておった自転車なんじゃが、あれは転移の途中で消えた訳ではないのじゃ」


 消えたわけじゃなんだ、良かった。 

 けど、そうなると自転車はどこに行ったんだ?


「お主が転移する前に儂が説明し忘れておったのじゃが、実は自転車はスキルとしてお主が所持しているのじゃ」


 うん? 

 どういう事だ?

 俺は最高神様が言った事が理解できず、首を傾げた。


「説明するより体験してもらった方が早そうじゃのう。頭の中で儂が与えた自転車をイメージして、この場に現れるように念じてみるのじゃ」


 よく分からないけど、言われた通りにやってみるか。

 まずは頭の中で自転車をイメージして……

 次にこの場に自転車が現れるように念じてみる……

 

 すると、なんと最高神様から与えて貰ったクロスバイクが俺の前に現れた。


「やった! 俺の自転車だ!!」


 俺は最高神様の事を忘れて、子供のように喜んだ。

 何たってもう二度と会えないと思っていた自転車とまた会うことができたんだから。

 そんな様子を最高神様は温かい目で見守っている。

 俺はそれを見てふと我に返った。


「あっ! すみません、俺子供みたいにはしゃいでしまって!」


「よいよい、気にするな。そんなに喜んでくれると儂も嬉しいからのう」

 

 最高神様は本当に優しい方だな。

 けど人が良すぎて、確かに他の神様達が悪さしてしまうのも少し分かる気がする……


「今見てもらった通り、この自転車はお主が念じる事で、望んだ通りに出し入れが出来る様になっておる」


「ありがとうございます! この機能は旅をする時などに凄く助かります」


「それは良かった。あとお主が喜ぶ細工と言っておいたものなんじゃが」


 あれ? この出し入れ自由なのが俺の喜ぶ細工じゃないの?

 まだ他にも何かあるのか!?

 俺はワクワクでまた笑みがこぼれ出す。


「実はこの自転車にはレベルがあり、レベルが上がると色々機能が追加される様になっておる。例えば、今はクロスバイクの姿をしておるが、マウンテンバイクに変化する事が出来るようになったりするのじゃ。」

 

 マウンテンバイクにもなるのか! てことはロードバイクにも変化できるのかな?

 他にもどんな機能があるのか気になるけど、今後の楽しみにとっておこう!

 

「因みにレベルはどうやったら上がるのですか?」


「レベルは、この自転車で走る距離に応じて上がっていく様になっておる。言わば走行距離じゃな」


 なるほど、走行距離に応じてレベルアップする自転車か……最高じゃないか!

 元々この世界を自転車に乗って旅をしたいと思っていたから、走行距離がレベルアップ条件なのは本当にありがたい。

 これは最高神様に改めてお礼を伝えておこう。


「こんな素晴らしい自転車を私に与えてくださり、本当にありがとうございます!」


「よいのじゃ。儂はこの後少し用事があるから、これで失礼させてもらうとするかのう。また、お主に会える事を楽しみにしておるぞ」 

 

「はい! 時より教会に行って、最高神様にまた会いに来ます!」


「おーそれは嬉しいのう。では、イブキよ、また会おう」


 するとまた、目の前が真っ白になった。

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