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第五話 冒険者ギルドに登録

 カミンライナはヨーロッパのような街並みだ。

 石造りやレンガ造りの建物が整然と立ち並び、石畳の道が整備され、街全体に統一感がある。

 街全体は城壁によって囲まれ、恐らく魔物などの外敵から街を守っているのだろう。

 目の前の景色に感動してその場に立ち止まっていると、エリシアさんが声をかけてきた。


「イブキさんはこれからどうされますか?」


「そうですね。本当は教会に行きたいんですけど、昨日と今日と歩き続けて疲れているので、今日はどこかで身体を休めようかと思います」


「そうですか。でも、イブキさんはお金をお持ちではなかったですよね?」


 そうなんだよな……

 けど、もう野宿はしたくないしな。

 うーん……街の中に無料宿泊所みたいな所ないかな。

 ダメもとでエリシアさんに聞いてみるか。


「はい。なので、街の中に無料宿泊所みたいな所があれば教えてもらえると嬉しいのですが」


「冒険者ギルドの近くに無料で利用できる宿舎があるんですけど、冒険者ギルドに登録しておかないと使用出来ないんですよね」


「なるほど」


 じゃあ諦めるしかないな。

 ……ということはまた野宿か。

 俺が落ち込んだ顔をしていると、エリシアさんがある提案をしてくれた。


「もし良ろしければ、冒険者ギルドに登録されてみてはどうですか?」


「私がですか?」


「はい、冒険者ギルドに登録しておけば宿舎も利用できますし、冒険者ギルドカードは街に入る際に身分証として使えますので、登録しておいて損はないかと思います。登録料もかかりませんので」


 確かにそれだったら作っておいてもいいかもしれないな。

 最悪、何も職に就けなかったら冒険者という選択肢もとれるし。


「分かりました。今後の事を考えて作っておこうかと思います」


「では、冒険者ギルドに向かいましょうか」


 俺はエリシアさんと共に冒険者ギルドに向かう事になった。

 エリシアさんもワイバーン討伐の報告をしに行くって言ってたし丁度良かったな。

 城門から歩いてものの数分で冒険者ギルドに着いた。

 エリシアさんに案内され中に入る。

 中には武器や防具を身に着けた冒険者が沢山いたのだが、何故か俺はその人達にジロジロ見られた。

 俺なんかおかしいかな?

 そんな事を思っていると、エリシアさんが手招きをしてきたのでそこに向かう。

 どうやら受付のようだ。

 

「エリシア様、本日は如何されましたか?」


 エリシアさんに気づいた受付の人が声を掛けてきた。

 

「今日は先日お願いされてましたワイバーン討伐の報告とこちらの方の冒険者ギルド登録をお願いしたくて参りました」


「こちらの方はエリシア様のお知り合いですか?」

 

「初めまして、私はソウダイブキと申します。ワイバーンに襲われていた所をエリシアさんに助けて頂きました」


「そうだったのですね、お怪我もされていないようで何よりです。私は冒険者ギルドで受付をしている、トレイシーと申します。よろしくお願いします」


 トレイシーさんは金髪美女でおしとやかな感じの女性だ。

 見た目は俺と同い年ぐらいだと思う。

 

「では、初めにワイバーン討伐の報告から対応させていただきます。ギルドマスターに直接報告致しますので、2階にご案内させて頂きます。エリシアさんは私について来て頂いてよろしいですか? イブキ様は少しお待ちください」


 そういうと、エリシアさんとトレイシーさんは2階に上がって行った。

 多分ギルドマスターの部屋が2階にあるんだろうな。

 少し時間が経って、トレイシーさんだけが降りてきた。


「お待たせしてしまってすみません。それでは、イブキ様の冒険者ギルド登録のお手続きをさせて頂きます。まずは冒険者ギルドについて軽く説明致しますね」


 トレイシーさんは冒険者ギルドについて丁寧に説明してくれた。

 内容を纏めるとこうだ。


・冒険者ギルドは国を超えて展開されている。

・冒険者ギルドに来る依頼(クエスト)はモンスター討伐、素材採取、護衛任務などである。(例外もある)

・依頼を達成すると冒険者ギルドから報酬が支払われる。

・冒険者ギルドにはランク制度があり、下からF→E→D→C→B→A→S→SS→SSSである。

・ランクを上げるには昇格試験を受ける場合とギルドマスターが独断で決める場合がある。

・冒険者が受けられる依頼は自分と同ランクの依頼のみである。

 但し、緊急の依頼の場合は例外である。

・殺人、略奪などをした場合は冒険者ギルドから追放処分となる。


「次はこの登録用紙に記入をお願い致します」


 トレイシーさんから冒険者ギルドの登録用紙を渡されたので記入していく。

 正直に答えれない項目があるかもと内心焦っていたが、記入するのは名前、年齢、種族だけで良かったので一安心した。

 そして、記入した登録用紙を渡すとトレイシーさんは後ろの部屋に消えて行った。

 程なくしてトレイシーさんが戻ってきた。


「では、血を一滴このカードにつけて頂けますか?」


 俺はトレイシーさんに渡された針で指先を刺し血をカードにつけた。

 すると、カードは一瞬光り元の色に戻った。


「こちらは冒険者ギルドカードになります。絶対に無くさないようにお気を付けください。もし紛失されて再発行するとなると手数料が取られてしまいますので。イブキさんは一番下のFランクからのスタートになりますので、受けられる依頼は弱い魔物の討伐や薬草の採取ぐらいしかありませんが、焦らずに頑張ってください」


「分かりました」


「それと、こちらは冒険者ギルドに登録された際に支給される銀貨5枚になります。武器や防具などを揃えられる際の足しにしてください。以上で登録の手続きは完了となりますが、最後に何か聞いておきたい事などはあったりされますか?」


 冒険者ギルドに登録しただけでお金がもらえるのか、これは思わぬ収穫だな。

 とはいえ銀貨5枚がどのぐらいの貨幣価値なのか分からないから、明日確認してみよう。

 今聞いておきたい事か。

 うーん――あっ、そうだ。

 エリシアさんが言っていた無料の宿舎について聞いておこう。


「冒険者ギルドには無料で利用できる宿舎があるって聞いたんですけど、私でも利用できたりしますか?」


「宿舎はEランクとFランク冒険者向けですので、イブキ様でもご利用できますよ。因みにいつから利用したいなどのご希望はありますか?」

 

 良かった。

 俺は安堵の笑みをこぼした。


「では、本日からお願いできたりしますか?」


「少しお待ちください、お部屋が空いてるか確認してきますので」


 そういうと、トレイシーさんは後ろの部屋に消えて行った。

 少し時間が経つと、トレイシーさんが戻ってきた。

 

「お待たせ致しました。確認しました所、お一部屋だけ空きの部屋がございました。私の方で予約をしておきましたので、宿舎に着きましたら受付の人に声をかけてください。因みに宿舎はこの建物の横になります」


「分かりました! トレイシーさん、色々ありがとうございます」


 俺はトレイシーさんにお礼の言葉を伝え、冒険者ギルドを後にした。

 本当はエリシアさんを待って感謝を伝えようと思っていたんだが、ギルドマスターとの話が長引いているみたいだったので、トレイシーさんに伝言を伝えてもらうことにした。

 冒険者ギルドを後にした俺は宿舎に向かい、受付を終え自分の部屋でゆっくり休んだ。

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