第四話 カミンライナに到着
カミンライナを目指す旅路は順調に進んでいた。
途中、魔物が出てきたりしたがエリシアさんによってすぐに切り伏せられていた。
周りを見渡すと、随分と日が落ちて暗くなっている。
「そろそろ日が落ちますので、この辺りで野営致しましょうか」
俺たちは魔物よけのために焚火を焚き、その近くの大きな石に腰を下ろした。
「食事にしようかと思うのですが、イブキさんはお嫌いなものはありますか?」
「いえ、特にありません」
こっちの世界に来るまでは特に嫌いなものは無かったけど、異世界の食べ物はどんな味がするんだろう。
少しワクワクするな。
「分かりました。では用意致しますね」
そう言うと、エリシアさんはマジックバッグからパンらしきものとお肉のスープらしきものを取り出して俺に渡してきた。
「すいません、ありがとうございます」
「それじゃあ、いただきましょうか」
まずはお肉のスープを口に運んだ。
若干お肉が固く、スープの味事態も質素な感じだった。
まあ食べれない事はないな。
次にパンを食べてみる。
パンは結構固く、味も無味に近い感じだな。
正直、俺の口には合わないが今は食事をとれている事に感謝しないとな。
俺たちは、食事を終え少し雑談する事になった。
「そういえば、イブキさんはカミンライナに職を探しに来たというお話でしたが、何かやりたい職などがおありなのですか?」
そういえばお昼にそれっぽく誤魔化す為にそんな事言っちゃってたな。
ここはまだ決まってない事にしておこう。
「いや、特に決まっていませんね」
「では、神の加護は何をお持ちなのですか?」
神の加護?
多分ファンタジーでよく出てくるあれだよな。
よく分からないし、知識に疎い人という設定でエリシアさんに聞いてみるか。
「私は田舎の村出身でして、ずっと自給自足の生活をしていたのでよく分からないのですが、普通は神の加護を誰でも持っているものなんですか?」
「えっ?! イブキさんは神託の儀をされていないんですか?!」
エリシアさんは余程びっくりしたのか、出会って一番驚いた顔をしている。
その後、エリシアさんが神の加護について色々教えてくれた。
纏めるとこんな感じだ。
・この世界では十二柱の神が信仰されていて、15歳の誕生日を迎えると教会で神託の儀を受け、神の加護を授かる。
そこで授かった加護によって、自分がどんな職に就くか決めるようだ。
・因みにこの世界では15歳で成人らしい。
・授かる加護の数は普通は1個で、多くても2個。
だが、ごく稀に2個以上の人もいるようだ。
「なるほど。因みに神託の儀は15歳を過ぎても受ける事は可能なのですか?」
「今までにそういう方にお会いした事が無いので正直何とも言えませんね。丁度、カミンライナに教会がありますので、一度神父様にお聞きしてみると良いかもしれませんね」
「分かりました。では、街に着いたら教会に行ってみようと思います」
「それがいいと思います。では、明日に備えて今日はもう休みましょうか」
「そうですね」
エリシアさんが夜の見張りをしてくれると言ってくれたのでお言葉に甘えて、俺は先に休む事にした。
エリシアさんと二人きりで、緊張で寝れるかどうか不安だったけど、一日中歩いたことが余程疲れていたのか、俺は気づいたら眠りに落ちていた。
◇ ◇ ◇
翌日――
俺たちは早朝から歩き始めたおかげで、日が落ちる前にカミンライナまで目前というところまで来ていた。
街の外壁が見えた時はつい感動してしまった。
アニメやゲームで街の外壁を見ていても、生で見たら迫力が全然違う。
そんな感想を抱きながら街の城門に向かって歩きを進めた。
城門に行くと街に入る人の列が出来ていたので、俺たちは列に並び順番を待った。
途中、売り子らしき子供達が来て食べ物を売りに来たが、所持金がないので断った。
この世界は子供でも働かないと生きていけないんだな。
その後、列は順調に進んでいき、数分で俺たちの番が来た。
「身分証の提示をお願いします。もし身分証を持っていない場合は通行料をお支払いください」
槍を持った門兵からそう言われた。
まずい、身分証明書もお金も持ってないぞ……
俺がどうしようか困っていると、それを見たエリシアさんが門番の兵士に硬貨を渡し始めた。
そして、合わせて身分証のカードらしきものも渡していた。
「これは私の身分証で、この硬貨はこちらの方の通行料になります」
エリシアさん、俺が身分証明書も所持金もない事を見抜いて、通行料を払ってくれたのか。
本当にエリシアさんには助けて貰ってばっかりで、頭が上がらないよ……
「問題ありません。お二人とも街に入って頂いて大丈夫です」
「すいません、私の通行料をエリシアさんに払わしてしまって。直ぐには難しいかもしれませんが、いずれ絶対お返しします」
「いえいえ、お気になさらず。困ったご様子でしたので、もしかしたら身分証も所持金もお持ちではないのかなと思い、私が勝手に払っただけですので」
エリシアさんは笑顔で俺にそう言った。
エリシアさん本当にいい人だよな。超絶美人で、超強くて、その上超優しいし。
こういう人が奥さんだったら幸せなんだろうな。
エリシアさん恋人とかいるのかな?
まあ俺なんかじゃエリシアさんには釣り合わないな。
そんな事を思っていると、美しい街並みが俺の目に飛び込んできた。
「カミンライナの街へようこそ」
エリシアさんはそう言って俺を歓迎してくれた。
「おお! これが異世界の街か!」
俺たちは無事カミンライナの街に到着した。




