第二十一話 オーガとの戦い
現在、俺たちは村から少し離れた森の中を走っている。
ウェルシュは飛んでいるけど。
「イブキ、なんで自転車で向かわないのだ? 急いでおるのだろう?」
ウェルシュが不思議そうな顔で俺に尋ねてきた。
「こんな暗い状態だと、前が見えなくて危ないから自転車には乗れないんだ」
実は俺の自転車にはライトがついていない。
だから、日が落ちると基本的には自転車に乗れない。
「うん? イブキは暗くなると前が見えなくなるのか?」
……えっ?
何を当たり前の事をウェルシュは言っているんだ?
その後話を聞いて見ると、どうやらウェルシュは夜でも昼と変わらないぐらい目が見えるらしい。
ウェルシュは俺が夜になると目が見えずらくなる事をバカにしてきたけど、人間だったら普通は皆そうだからな。
けど、正直今は前が見えなくて道が分からなくなってきていたから、ウェルシュの目は助かるな。
ウェルシュにオーガのところまで案内してもらおう。
「ウェルシュ、オーガの所まで案内してもらってもいいか?」
「分かったのだ! 私に任せるのだ!」
◇ ◇ ◇
しばらくウェルシュに案内され、森を走っていると突然獣のような叫び声が聞こえた。
「ウォォォォォォォォッ」
これはオーガの叫び声か?
叫び声の大きさ的に結構近いな。
「イブキ、まずいのだ! リリアーナがオーガと出会ってしまったようだぞ!」
ウェルシュが慌てた様子でそう言ってきた。
「えっ? ウェルシュなんでそんな事分かるんだ?」
「私は鼻もよく利くのだ! だから、今オーガの匂いがする場所ににリリアーナの匂いもあるのが分かるのだ!」
それを早く言ってほしかったよ……
だったら、最初からリリアーナの所に向かってたのに。
リリアーナの場所が正確に分からないから、取り敢えずオーガを目指して走ってたのに。
まあ、今はそんな事を考えている場合じゃないな。
早くリリアーナの所に向かわないと。
「ウェルシュ、急いでリリアーナのもとに案内してくれ!」
俺たちはペースを上げて、全力でリリアーナのもとに向かった。
叫び声が聞こえた場所から、ものの数分でオーガを発見した。
オーガは思ったよりも大きく、見た目はゴブリンが何十倍にも大きくなったようだ。
「リリアーナは……いた!!」
リリアーナはオーガと対面していて、今にもやられてしまいそうだ。
身体中に傷も負っているある。
これは思ったよりも急がないとまずいな。
本当はオーガと戦わずにリリアーナを連れて帰るのがベストだったんだけど、そうはいかないみたいだな。
「ウェルシュ! ゴブリンの時と同じで、もし俺がやばい状況になったら手を貸してくれ!」
「分かったのだ! また、あの凄い剣術を見せてくれ!」
俺はマジックバッグから片手剣を取り出した。
勢いで助けるとは言ったものの内心はもの凄くビビっている……
だって、元の世界だと喧嘩すらしたことなかったんだぞ。
それがいきなりオーガと戦うだなんて……
けど、俺は今までどんな状況でも諦めずに乗り越えてきた。
元の世界でも病気が治ると信じて、10年間入院生活を乗り越えてきただろう。
それに比べればこんな状況は取るに足らないことだ。
ヨシッ、いくぞ!
俺はオーガ目掛けて一直線で走って行った。
「イ、イブキさん……な、なんで……」
リリアーナが俺を見て驚いているようだが今はそんな事を気にする余裕がない。
オーガは直ぐに俺に気づき、雄たけびを上げ棍棒を振りかざしてこちらに向かってくる。
俺はそのオーガの棍棒の一撃に対して、華麗に身を躱した。
この時俺は、何故かオーガの攻撃を避けることができると直感で分かった。
オーガの攻撃を避けた後は、隙ができていた心臓部分に剣を突き刺した。
「グガァァァァァァッ」
オーガは天を向いて叫び声をあげながらその場に倒れた。
…………
あれ? これ倒しちゃったのか?




