第二話 いきなりピンチです
目が覚めると、目の前には幻想的な世界が広がっていた。
雄大な山々、広大な草原、果てしなく続く青空。
まるでゲームの世界みたいだな。
んー、空気が美味しい。
さて、これからどうするかな。
まずは手始めに身体の状態を確認してみるか。
最高神様は健康な身体にしてくれてるって言ってたけど――
取り敢えず草原を思いっきり走ってみるか。
「おー身体が軽い! それに全然疲れない!」
これはすごいな、今なら世界の果てまででも走っていけそうだ。
病気だった頃には、こんな事想像すらでき無かったな。
最高神様ありがとうございます。
じゃあ、次は最高神様に貰った自転車を確認してみる事にするか。
……って、あれ?
俺の自転車が無いぞ!
確かに最高神様と話してる時にはあったよな?
ということは、転移の途中で消えちゃったのか。
「そんなっーーーー!」
俺の悲痛な叫びが広大な大地に響き渡る。
俺の夢だった自転車の旅が……
これは結構落ち込むな。
異世界に来たら一番楽しみにしていた事だったのに。
――――
待てよ。そういえば、最高神様がこの世界の神様に、俺が困ったら助けてくれる様にお願いしとくって言ってくれてたよな。
この世界の神様に会える可能性は低いけど、まだ希望は残ってるか。
今は取り敢えず健康な身体にしてもらえただけでも感謝しないといけないな。
そう自分に言い聞かせて、気持ちを落ち着かせる。
てか今気づいたけど、俺の服入院してた時に着ていた病衣じゃないか。
スリッパ履いてるし。
これじゃ健康なのに、まるで病人みたいじゃないか……
一旦、自転車と服の事は後回しにしておくか。
えーと、次に手持ちの物を確認っと。
ポケットの中には……何も入っていない。
――――
って事は……
今俺、一文無し、食料なし、飲み物なし、知り合いなし、この世界の知識ゼロってことか。
これ結構やばくないか。
このまま人にも出会えなかったら……うおッ、寒気がする。
何はともあれ、生きていくにはお金を稼がないといけないな。
お金を稼ぐとなると、やっぱり街に向かうべきか。
そう思った俺は、街を目指して道なりに進んで歩き始めた。
◇ ◇ ◇
歩き始めて3時間ぐらいが経過した。
太陽が昇って、辺りを日差しが照らしている。
景色は相変わらず広大な草原が広がっているけど、さっきまで遠くに見えていた山に少し近づいた感じがする。
だが、目の前には人っ子一人見えない果てしなく続く道なり。
「これ人に会える気配ないぞ……」
つい本音が漏れてしまう。
だめだ、だめだ、弱音をを吐いちゃ。
そう思っているとある事に気づいてしまった。
病気の頃は気付かなかったけど、身体を動かすと物凄くお腹が減る事に。
喉もカラカラだ。
これ、人に会う以前に食料と飲み物をどうにかしないとまずいな。
そう思い周りを見渡してみるが、食べれそうなものも喉の渇きを満たしてくれる池や川などもない。
そんな事を思いながら歩みを進めていると、後方から突然、映画で出てくる恐竜のような鳴き声がした。
「グルォォォォォォォォッ」
後ろを振り返ると、大きな翼をもつドラゴンが俺目掛けて近づいて来ている。
えっ? 俺は一瞬その場に固まった。
だが、次の瞬間には俺は全力で前方に走り出していた。
生物の本能で、逃げないと死ぬと直感で分かったからだ。
「はぁはぁ、これはまじでやばいっ!」
誰だ、困った時は男は度胸だとか言ったやつは。
こんなの度胸だけじゃ、どうしようもないだろう。
てか、ドラゴンの迫力やばすぎる。
これ一生トラウマになるよ。
でも俺もせっかく異世界転移して、健康な身体を貰ったんだ。
これからやりたい事だっていっぱいあるんだ。
俺は生きる為に走り続けた。
必死に走り続けた。
一生懸命走り続けた。
だが、ドラゴンとの距離ははみるみる縮まり、もうそこまで迫っていた。
これは逃げ切れないな……
覚悟を決めて戦うしかないか。
だけど、武器も何もないぞ。
最高神様が魔法能力を高めてくれてるって言ってたけど、魔法の使い方なんて分からないし。
他に何か戦える手段はあるか。
考えろ、考えろ。
そんな時、一瞬俺の周りが暗くなった。
そして、直ぐにまた明るくなる。
ドラゴンは俺の上空を通り越して、目の前まで迫って来てしまっていた。
大きな口を開けて今にも噛み付きそうな勢いだ。
もうダメだ。
俺はこんな所で死ぬのかと思って目を閉じた瞬間。
スパッ。
ドスッン。
刀のようなもので何かを斬ったような音と、それと同時に何かが地面に落ちた音がした。
恐る恐る目を開けてみると、そこには首を落とされたドラゴンの姿が。
これ死んでるよな……
でも、一体何が?
首を落とされたドラゴンの傍に目を向けると、そこには銀髪美女が立っていた。




