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第十七話 魔法を使ってみた

「またこれを食べるのか……?」

 

 朝食にだしたパンを見てウェルシュが嫌そうな顔をしている。

 昨日夜食でだした時も「これ美味しくないのだ」とか言ってたもんな。

 けど仕方ないだろう、これしか食べれるものがないんだから。

 ウェルシュは文句を言いつつも、しっかり完食していた。 

 それじゃあ、魔法の確認でもするか。

 昨日ステータスを確認した時は確か火魔法Lv1って書かれてたよな。


「ウェルシュちょっといいか?」


「うん、なんなのだ?」


「昨日自分のステータスを見てて、火魔法Lv1って書いてあったんだけど、これって火魔法が使える状態なのか?」


「使えるぞ! けど、火魔法Lv1とは……イブキはすごく弱いのだな! ちなみに私は火魔法Lv10なのだ!」


 仕方ないだろう、昨日始めて魔法を見たんだし……

 それに何で急に火魔法Lv1が使えるようになったのか分かってないんだから。 

 それにしても、ウェルシュは最高レベルのLv10なのかよ。

 やっぱり四神竜というのは伊達じゃないな。


「はいはい、俺は最低レベルのLv1ですよ。それでLv1だとどんな魔法が使えるんだ?」


「Lv1だと『火生成』(ファイア)ぐらいだな」


「なるほど。それで『ファイア』の詠唱はなんなんだ?」

 

「そんなの私に聞かれても知らないのだ! 私は生まれた時から無詠唱で魔法が使えたのだから」

 

 マジかよ……魔法の天才ってやつか……

 これは魔法について、聞く相手を間違えたかもしれないな。

 取り敢えず、頭の中で魔法をイメージして口に出してみるか。

 よくネット小説であるのは手を前に突き出すと火が発射されるやつだよな。

 じゃあ、頭の中でそれをイメージして……


『ファイア!』


 すると、俺の手から勢い良く火が出始めた。

 これは凄いな……火が手から出てるのに全然熱くないぞ!

 

「やったー! 魔法が使えるようになったぞ!」 


 俺は嬉しくてつい大声で叫んでしまう。

 これで薪に火をつけたりする時に魔道具を使わなくて済むな。

 けど、何で俺は魔法が使えるんだろうな。

 魔法適正は生まれた時に決まるって昨日ウェルシュが言ってたし、俺はこの世界の住人じゃないから本来どの属性の魔法適正もないはずなんだけどな。

 最高神様が転移前に言っていた、魔法能力を高い状態にしているっていうのが関係してるのかな?

 新しい街にでも着いたら、教会に行って最高神様に確認してみるか。


「私はもっと凄い魔法が使えるのだ! これが火魔法最高の魔法――」


 ウェルシュが魔法を発動しようとしたので、俺は急いでウェルシュを止めた。 

 まったく何で張り合ってくるんだよ……

 こういう所が子供っぽいと思ってしまう所以だよな。

 

 魔法の確認を終えた後は、街道に沿って自転車を乗り進めた。


「やっぱり風が気持ちいいのだ!」


 ウェルシュが自転車のハンドルの真ん中に座ってそう言ってきた。

 まったく、翼があるんだから飛んでくれよ……

 そんな事を思っていると目の前から馬車がやってきた。

 これは昨日追加した偽装Lv1がちゃんと機能しているか確認できるな。  

 何に偽装するかは今朝、自転車のステータスで設定しておいた。

 ちなみに今は馬に見えるように偽装している。


 馬車がどんどん近づいてきて分かったのだが、馬車はきらびやかな細工と重厚な作りがされている。

 これは、明らかに貴族とかお金持ちが乗っているな……

 こういう人に関わると絶対面倒なことが起きるのを俺はネット小説で知っている。

 何事もなく、通り過ぎてくれ……

 ――――

 はあ、良かった。何事もなく通り過ぎてくれたな。

 

「そこの君、ちょっと良いか?」


 通り過ぎたはずの馬車から、白髪と立派な髭をたくわえたおじさんが窓を開けて声を掛けてきた。

 これは、偽装が上手くいかなかったか……

 はあ、無視するわけにもいかないし、話を聞くか。


「私でしょうか?」


 馬車のおじさんは「そうだ」と言いながら馬車から降りて俺の方に近づいてきた。

 おじさんを見ると、手に金ぴかの宝石をつけまくり、服装も明らかに高そうなものを着ている。

 これは確実にお偉いさんだな……

 早く話を終わらせてこの場を離れよう。


「君、その馬に乗っているのはドラゴンじゃないか?!」

 

 おじさんは何故か興奮している様子だ。

 うん? ちょっと待てよ。

 今このおじさん、馬に乗っているドラゴンって言ったよな?

 という事は……

 自転車の偽装はちゃんと機能しているんだな! 

 良かった、これで毎回人とすれ違う時に自転車をしまう手間がなくなったぞ。


「おい君、聞いているのか?」


「あーすみません! はい、ドラゴンで間違いありません」


「私は普通のドラゴンではなく、特別なドラゴンなのだ!」


 ウェルシュが怒った様子で話に割り込んできた。

 面倒な事になりそうだし、静かにしていてくれるといいんだけどな。


「やっぱりそうか! それに、このドラゴンは人の言葉も話せるのか! これは凄い……君、そのドラゴンを私にくれないか?」


「えっ?」 


 俺が困惑した表情をしていると、おじさんが立て続けに話しを進める。


「もちろんタダでとは言わん。私はそれなりにある商売で儲けておるからのう、それ相応のお金を支払わせてもらうぞ」


 このおじさん商売人だったのか。

 ある商売って……何の商売か言わない辺り、なにか悪い事をして稼いでそうだな。

 なんか胡散臭い雰囲気もあるし。

 この人とは関わっちゃだめだと俺の直感が言っている。

 そもそもウェルシュは俺が飼っているとかじゃなくて、勝手についてきてるだけなんだけどね。

 すると、それを聞いていたウェルシュが恐ろしい事を言い始めた。


「こやつは何を言っておるのだ! それになんだその口の聞き方は! イブキ、こやつ私をなめておるみたいだから殺してしまってもよいか?」


 おいおい、何を恐ろしい事を言っているんだ。

 そんな事をしたら、俺がまずいことになるだろう。

 まあけど、効果は凄くあったみたいだな。 

 さっきまで笑顔で話していたおじさんが引き攣った顔をしている。

 ここは丁重にお断りしておこう。


「ウェルシュ、それだけはやめてくれ……すみません、失礼な事を言ってしまって。ただ、このドラゴンは私が飼っているわけではなく、勝手についてきているだけですので、すいませんがあげることはできません。それに、もし本気で怒らせたら私でも止めることは出来ませんので、お気をつけください」

 

 そう言うとウェルシュが怒った顔でおじさんを睨みつけている。

 おじさんは睨みつけられて、ビクッとしている。


「そ、そうか。このドラゴンは君が飼っているのはないか。では、今回は諦めるとしよう」


 そう言うと、おじさんは足早々と馬車に戻って行き、どこかへ行ってしまった。

 はあ、何とか問題を起こさずに済んだな。

 

「ウェルシュ、今後ああいう言い方はしちゃだめだぞ」


「あやつが私を舐めているのが悪いのだ! 私は四神竜なのだぞ! その私に向かってあやつ……」


 偽装のおかげで自転車を見られる心配はなくなったけど、ウェルシュを見られるとまずいという新たな問題が発生した。

 これはどうにかしないといけないな……

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