第十二話 エリシアさんとの別れ
城門に着くと、俺は急いで門兵のところに向かった。
「すいません、少しいいですか?」
「おう? どうかしたか?」
「日が落ち始めてから今までの間で、銀髪の女性の方がここを通られませんでしたか?」
エリシアさんは特徴的な髪色をしているし、もしかしたら門兵の人が覚えているかもしれない。
「銀髪の女性……あっ! もしかしてエリシアさんか?」
「そうです! エリシアさんをご存知なんですか?」
俺は門兵の人にすぐに聞き返した。
「あの美貌だぞ、知らない訳ないだろぅ! それにエリシアさんはこの国に5人しかいないSSランク冒険者だからな」
…………えっ?
エリシアさんってSSランク冒険者だったのか?!
それにSSランク冒険者はこの国に5人しかいないって……
始めてあった時に只者ではないとは思っていたけど、こんなに凄い人だったとは思いもしなかった。
俺そんな人に色々助けてもらっていたのか。
今思えば、冒険者ギルドに初めて行った時、冒険者にジロジロ見られていたのって、エリシアさんと一緒にいたからか。
なんかエリシアさんに会うの緊張してきた……
「そうだったんですね、知りませんでした」
「知らないだと!? エリシアさんは――」
その後、門兵の人はエリシアさんについて饒舌に語りだした。
あまりの熱量に正直、ちょっと引いてしまった。
このままだと、エリシアさんについて一生語られそうなので話を戻すことにした。
「それでエリシアさんは城門を通られたのでしょうか?」
「あっ、そういう話だったな。すまんすまん、つい熱が入っちまって。エリシアさんは今日、まだここを通っていないぞ」
「そうですか、教えて頂きありがとうございます」
「いいって事よ、また暇な時にここに来てくれよ。エリシアさんについてまた一緒に語ろうぜ!」
一緒に語るって言うけど、俺はずっとあなたの話を聞いていただけなんだけどね。
出来れば俺はもうあなたに会いたくありませんよ……
俺は苦笑いをしつつ、門兵の人に挨拶をして別れた。
……良かった、エリシアさんはこの街をまだ旅立ってなかった。
だったら、ここでエリシアさんが来るまで待っておくか。
俺は城門近くにあるベンチに座って、エリシアさんを待つことにした。
――――
大分周りも暗くなってきたな。
すると、急に城門近くが騒がしくなっていた。
騒ぎの方に目を向けると、エリシアさんが門兵の人たちと話をしていた。
俺は急いで近くに行き、話が終わるのを待った。
少し待った後、無事に話が終わったみたいだったので、エリシアさんに話しかけた。
「エリシアさん!」
エリシアさんはすぐに俺だと気づいてくれて、笑顔で反応してくれた。
「イブキさん、お久しぶりです! お久しぶりと言っても昨日ぶりですかね」
「そうですね。昨日は色々助けて頂き、ありがとうございました!」
「いえいえ、お気になさらず。そういえば、神託の儀は無事受けられましたか?」
「はい、無事神託の儀を終え、神の加護を授かりました」
本当は最高神様の加護を授かって、神の使徒になってしまったんだけど。
それは口が裂けても言えないよな……
「それは良かったですね! それではカミンライナで何の職に就くか決められたんですか?」
あーそうだった。
本来カミンライナには職を探しに来たって、エリシアさんには言ってたんだった。
正直、昨日まではカミンライナで仕事をしてお金を稼ぐのも良いなって思っていた。
けど、今日最高神様に会って、自転車が手元にあると分かってからは、自転車で旅をしたいという気持ちが強くなった。
服の買取のおかげで手持ちのお金も少しはあるしな。
エリシアさんには旅に出ることを伝えておこう。
「そのことなのですが、私は当分この国を旅して周ろうかと思っております。服の買取のおかげでお金も手に入りましたので」
「そうなんですね。イブキさんが決められた事ですしお止めは致しません。ですが、旅をするとなると魔物などに出会う可能性がありますので、しっかりと装備は整えられてから旅に出るようにされてください」
「分かりました、しっかり装備を整えてから旅に出るように致します」
「それがよろしいと思います。では、私からはこちらの剣を餞別としてお渡し致します」
そう言うと、エリシアさんはマジックバッグから片手剣らしきものを取り出して俺に渡してきた。
「いえいえ、エリシアさんには色々助けて頂きましたので、これ以上受け取ることは出来ません」
俺は丁重に断ろうとした。
「旅には絶対に武器が必要になりますので、受け取ってください」
確かに魔物などが出た時に武器は必要になる。
それに武器や装備品を買い揃えるとなると、そこそこお金がかかってしまう。
手持ちのお金は今後の事を考えるとなるべく残しておきたいし、ここはエリシアさんの言葉に甘えよう。
「分かりました、ではお言葉に甘えて有難く頂きます」
俺はエリシアさんから片手剣とそれをしまう鞘を餞別にもらった。
その後、装備品を揃えるのに良いお店などをエリシアさんに聞いておいた。
――――
「それでは、私はそろそろ次の街に向かいますので、これにて失礼させていただきます。また、どこかでお会いできるのを楽しみにしております」
「はい、私も楽しみにしております。それではお気をつけて」
俺は城門で次の街に旅立つエリシアさんを見送った。
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