3、召喚の歴史
( *´▽`) 旦~~ 過去話で小休止。
◆召喚の歴史
かつて、この世界は「古代王国」と呼ばれる幾つもの小国が林立する時代があった。現在の統一された大国とは異なり、それぞれが覇権を争い、領土を広げるために手段を選ばぬ時代であった。
もちろん、後に強大な国の一つとして発展することになる帝国も、その例にもれず、幾つかの国々に分かれていた小国の一つだった。
その中で、最も忌まわしい習慣の一つが「強制召喚」だった。
異世界から無理矢理人間を召喚し、男性なら「聖者」や「勇者」や「賢者」などとして、女性なら「聖女」として祭り上げて利用した。周辺諸国との争いの均衡を謀ったり、国を豊かにするためだけに、彼らが本来持つ膨大な魔力や神力、加護や恩恵などを、ただ国の繁栄や要望を満たすためだけに搾取し遣い潰したのだ。
この行為は、もはやただの誘拐に等しく、残虐で残酷な奴隷扱いも同然であった。
この事態を、二つの世界を見守る管理者たちが嘆いた。
召喚される地球側を管理する「神」のような存在と、異世界側を管理する異世界を創造した「創成女神」として崇められている存在は、どちらの世界の住人も等しく可愛いし大切な存在であった。命の重さに違いなどなく同じはずなのに、召喚者たちがあまりに軽んじられた扱いをされることに心を痛めたのだ。
本来、管理者が直接、人の世に干渉することは、よほどのことがない限り許されない不文律のきまりごとのようなものがあった。しかし、異世界側の一方的な召喚と蹂躙、命を軽視する行為に、地球側の管理人はついに怒りを爆発させた。
『創成女神側の住人達は、我が産み育てた地球の住人たちに、何という身勝手なことをしているのか!』
二つの世界の管理者同士は話し合い、まず
『一国が一度に複数人もの召喚を行えなくする』
という制限を設けた。これで、少なくとも大規模な搾取は防げると考えたのだ。
しかし、愚かなことに、この小国はこの制限を逆手に取り、何度も召喚を繰り返したのだ。
一度に一人しか召喚できないなら、前の召喚者が死ねば ―― つまり殺してしまえば ―― 再度、次の召喚ができるのではないか?
そう気付いた彼らは、召喚された者の能力が自分たちにとって有益でないと判断すると、その場で凌辱し、手足や性器を損傷させると言う残虐な行為を散々おこなった上、最後には命まで奪うということを繰り返した。
ある聖女は、戦場での治癒能力が
「敵も治してしまう」
として無益と判断され、三日三晩にわたる公開の凌辱の末、焼き殺された。
別の勇者は、その力が
「農地を豊かにする」
だけで戦闘には不向きだとされ、奴隷として売り飛ばされた後、使い潰されて野ざらしの遺体となって発見された。
これらの報告を見知った創成女神は、天災をもってこの小国を罰した。大地が割れ、疫病が蔓延し、三年間雨が一滴も降らない旱魃が国を襲った。そして女神は宣言した。
『殺せばすぐに次の召喚が叶うと思うなよ!』
新たな制限が設けられたのだ。
召喚者が死んでから次の召喚が可能になるまで、最低でも五十年の歳月を空けること ―― これで、少なくとも短期的な殺害による召喚の濫用は防げるはずだった。
しかし、人間の悪知恵は尽きない。
今度は、召喚された女性たちを強姦し凌辱する行為が横行し始めた。さらに、
「聖女や勇者たちの子孫にも力が宿る」
という根拠のない噂が流布し、本人だけでなくその子どもたちまでもが誘拐され、複数の愚者たちの間で売買され、奴隷以下の扱いを受けた上に遣い潰されるようになった。
ある記録に残る悲劇がある。
名をツキナという聖女は、この世界の騎士と心を通わせ、密かに結ばれていた。彼女は身ごもり、静かに幸せを噛みしめていたが、その噂が広まると、隣国の貴族たちが騎士を殺害し、ツキナを拉致した。彼女は十人もの男たちに輪姦され、生まれた子どもは「聖なる血筋」として市場で競売にかけられた。ツキナ自身は、最後の出産の翌日に隙を見て首を吊って自ら命を絶った。
しかし、それでも彼らを搾取する者たちは満足しなかった。
死後、ツキナの遺体にムチ打つがごとく、血は「聖なる薬」として、皮は護符として、髪は呪具として、骨は武器の材料として、肉を焼いた灰さえもが農地の豊穣を願って撒かれた。全てが
「聖女の力が宿っている」
という妄信のもとで再利用され続けたのである。
これに怒った騎士の遺族と友人たちは、ツキナを拉致した貴族の屋敷を襲撃し、関係者を一人残さず殺害した。
このように、召喚された聖女や勇者たちを心から愛し慈しむ者たちができても、地位や身分や財産や権力などを使って、横から攫われるように愛する者達を奪われ穢され凌辱され蹂躙された。それだけでなく、死後にまで、血も皮も髪も骨も残った肉を焼いた灰までもが聖女や勇者の力が宿っているらしいと再利用され続けたのだ。
もちろん、聖女ツキナの関係者だけでなく、愛する伴侶を奪われた聖者や勇者たちの関係者もだ。そして彼らは宣言した。
「奪った者がたとえ一国の王であろうと、内乱や戦争を起こしてでも、無残に殺された者の無念を晴らすために国を滅ぼす」
あまりに続く悲劇に、地球側の管理人や創成女神たちはついに大胆な方便を用いることにした。彼らは信託を下した。
『聞け、愚かなる者たちよ。
召喚された聖女や勇者たちは、処女や童貞などの純潔を失えばその力を失い、召喚者としての資格も失う。故に強姦などもってのほか。また、死後や子孫にもその力は決して受け継がれず、一代限りの力である。だからこそ、彼らを敬い、大切に扱え』
そして逆に、
『もし召喚者が心から愛する者を見つけた場合、その時点で勇者や聖女としての力を失うから、殺さずとも代わりの次の召喚を一年で叶えられるようにしよう』
という特別措置を設けた。これで、少なくとも召喚者たちの命を脅かしたり、奴隷圧化などしないよう、「大切に扱う」動機が生まれると考えたのである。
実際のところ、処女や童貞などの純潔を失っても力が失われることはなく、子孫に力が受け継がれないというのも真実ではなかった。これは、愛し合う者同士を守り、召喚者たちが奴隷扱いされないようにするための女神たちの慈悲だった。
長い年月が経ち、この方便は次第に「真実」として受け入れられていった。
国によっては、召喚者を丁重に扱い、賓客として迎えるところも現れた。中には、律儀にも生涯独身を貫き通した聖女や勇者もいた。彼らは、自分たちが処女や童貞などの純潔を失えば力を失い、国に迷惑をかけると信じたために、所属する国に長い平穏と平和を約束したからだった。
もちろん、内縁の関係や愛人、婚外子を持つ者もいた。特に聖女や勇者の子孫が「婚外子」であることが知られれば悪用されかねないため、身内や親族であっても伴侶以外には秘密にし、密かに信用できる遠戚や伴侶の養子として育て、身近で見守るという知恵も生まれた。
こうした歴史の中で、召喚された者たちへの呼称も二極化していった。
召喚した国や人々に協力的で好意的な者は「聖女」「聖人」「聖者」「神子」「勇者」「賢者」「救世主」などと呼ばれ称えられた。
一方、非協力的で反抗的、あるいは敵対する者は「魔女」「魔人」「魔王」などと呼ばれ、迫害の対象となった。
ある記録には、戦争を止めようとして双方の指導者を非難した召喚者が「平和の魔女」と呼ばれ、火あぶりにされた話が残っている。別の記録では、農民たちの権利を主張した勇者が「反逆の魔王」と烙印を押され、公開処刑されたとある。
時は流れ、古代王国は統一され、現在の帝国となった。強制召喚の習慣は公式には廃止され、今では稀にしか行われない儀式となっている。しかし、この歴史が残した教訓は今も生き続けている。
一部の地域では、今でも「聖女や勇者の子孫」を称える家系があり、彼らはある種の尊敬と畏怖の念を持って扱われている。また、かつての悲劇を繰り返さないために、召喚者が現れた場合の扱いについて詳細に定めた「召喚者保護法」が存在する。
創成女神たちの方便は、長い歳月の中で真実として定着し、多くの召喚者たちを救うことになった。
しかし、時折、歴史学者たちが古い文献をひも解き、
「処女であることと力の関係には疑問がある」
と指摘することもある。その度に、保守的な神官たちは激しく反論する。
真実は歴史の闇の中に埋もれつつも、一つだけ確かなことがある。それは、どのような力を持とうと、どのような立場であろうと、人間として尊重され、愛される権利は誰にも等しくあるということだ。そして、その単純な真実を守るために、二つの世界の管理者たちは今も見守り続けているのである。
そんな現在、帝国の片田舎で、老夫婦に育てられた少年が、自分が「聖女の末裔」であることを知らずに穏やかに暮らしている。彼の祖母は、かつて召喚された聖女の隠された子孫であった。彼女は死の間際、少年に囁いた。
「力などどうでもいい。大切なのは、人を愛し、人に愛されることよ」
その言葉こそが、長い悲劇の歴史が最終的にたどり着いた、最も尊い真実なのであった。
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ところで、リコたちが逃げ出したムーン王国では、彼女たちの逃亡が思わぬ結果を招きつつあった。
キョウカは王族たちからちやほやされ、聖女としての待遇を享受していた。
しかし、彼女の心には満たされないものがあった。本当の聖女ではないという引け目。そして、クニコたちが逃げたことへの苛立ち。
「他の人は、どこに行ったのかしら……」
彼女が呟くと、傍らにいた王太子フライアが優しく声をかけた。
『気にすることはありません、聖女様。あのような雑魚はどうでもよい。あなたこそが我々が求めた聖女なのですから』
「ええ、それもそうよね♪」
しかし、キョウカの心には疑念が渦巻いていた。召喚の儀式の時、クニコの周りにだけ、異様な光が輝いていたのを覚えている。あれは一体、何だったのだろう?
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名称:キョウカ・サクラガワ:桜川鏡華、18歳
LV18
職業:女子高生
HP:体力 91
MP:魔力 37
攻撃力 32
守備力:防御力 46
素早さ:回避力 17
命中力 17
賢さ 18
運の良さ 50
スキル 生活魔法LV1、言語翻訳、鑑定、水+光魔法全般、治癒魔法、防御魔法、ステータス改ざん魔法
特殊スキル 魅了初級
特典:召喚による恩恵
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一方、創成女神は虚空の中から世界を見下ろし、深くため息をついた。
(さあ、司、そして業子。貴方たちの本当の旅が始まります。この世界の運命は、貴方たちの選択にかかっているのです)
そして、誰も気づかないところで、世界に小さな歪みが生じ始めていた。
川の水が濁り、動物たちが不安げに鳴く。大地が微かに震え、空気が重くなっていく。
十の災害の序章が、静かに幕を開けようとしていた。
リコたちの知らないところで、因果の輪が回り始める。逃げた者、残った者、利用する者、利用される者 ── 全ての運命が絡み合い、やがて大きなうねりとなってこの世界を飲み込んでいくようだった……
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…そうだったのか~ o旦´▽`*)ホゥッ~




