三話
さらに下におりてから数分洞窟の中をさまよっていると、またゴブリンと出会った。ただ、一点今までと違うところがあり、それは二体が同時に現れたことだった。
(武器持ちと素手か)
俺は倒すべき優先順位をつけて武器持ちから先に攻撃して倒していく。武器持ちのゴブリンがやられたことで持ってない方が俺に気付くが、もう遅い。間合いをつめたままこちらに向かってくるゴブリンの頭を狙って殴って終わりだ。武器を持ってないゴブリンの対処法は楽だった。間合いがこちらの方が長い分先に殴ることができるからだ。あと、ゴブリンは目が悪いのか今のところ先制攻撃が毎回成功している。これはゴブリンに対する必勝法だな。
問題は二匹どちらとも武器持ちの場合だった。片方を不意打ちで倒した後、武器を構えたゴブリンと至近距離で対峙しなくてはならない。その時は、わざと目の前でこちらもバットを構えて攻撃する隙を見せる。すると必ずゴブリンは攻撃してくるのでその攻撃をステータスの上がった俺ならば余裕をもって避け、反撃に繋げることができる。そうやって危なげなく倒して進んでいくこと数十分、また次の階段が見つかった。今回倒したゴブリンは二体セットが10組くらいだったから20体くらいか。念の為、ステータスを見ておく。
「ステータス」
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LV 12
HP 36
MP 32
SP 13
・エキストラスキル
経験値十倍
・スキル
なし
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あれ、おかしいぞ。HPとMPが前はレベルアップごとに2ずつ上がっていたのに今のステータスはそれだと2ずつ余計に多くなっている。SPもそうだ。前の上昇量だと2余分に増えている。なんでだ、、、
俺は少し足を止めて考えて思いついた。
「そうか」
レベルアップでレベルが大台の10に乗ったことでレベルアップボーナスが増えたんだ。それだと計算に合う。となると、レベルが上がれば上がるほど強くなる計算になるな。もしかして思ってよりこのエキストラスキル「経験値十倍」はやばいんじゃ、、、
考えばかりいても仕方ない。経験値が増えてもモンスターを倒さなければ意味は無いんだ。俺は頭を振って頭の中をスッキリさせた後、次の階段を降りるか考えたが即決で降りる一択だ。体力はまだある。俺はふとこの洞窟がどこまで続いているか考えた。どこまでも続く洞窟なら途中で引き返さないといけない。帰る道中の体力も考えて進んでいかないとな。俺はそう思いながら階段を降りて行った。
降りてから洞窟を進んでいってまたしばらく経つとゴブリンの集団に出会う。今度は三体一組の集団だった。こちらの戦法は前の階とは変えないといけなくなったな。不意打ちで一体倒すとしても二体同時に相手するのは危険がともなうかも知れない。ただ、今回は武器持ちが一体だけだったのであとで二体武器なしと戦う分には危険はないだろう。俺はそう思い武器持ちを先に倒す。
「グギャ」「グギャ」
二体のゴブリンが俺に気付くが俺に攻撃が届く前に一体はバットのフルスイングで倒せる。二体目を倒した後、すぐに最後のゴブリンの攻撃を避けようとするがまだゴブリンは俺に近づこうと走っている最中だった。
(思ったより早く倒せたな)
レベルアップすればスピードも上がるのかも知れない。俺はそのまま最後のゴブリンを倒そうとするがふと思いついたことがあった。もしかして耐久力も上がっているのではないか、そう思ったのだ。ものは試しと俺は一発攻撃を受けてみることにした。もしなにかあっても身長が子供くらいしかないゴブリンの素手の攻撃だ。大丈夫だろう。そうしてゴブリンの攻撃を受けてみると、
「カン」
と肌にものが当たったとは思えない音がした。やはり耐久力も上がっているらしい。俺はそのままゴブリンを始末し、洞窟の先を見る。
(この耐久力があれば武器持ちの攻撃を受けても大丈夫かも知れない。三体でてきても前に進めるな)
俺はそう思うと、迷うことなく洞窟の先へと進んでいった。
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