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一話

ダンジョンの中に入ってみると、そこは洞窟の洞穴になっていた。壁は土でできているようで、表面はでこぼこしている。そして、明かりなんてないはずなのに、洞窟の中を俺ははっきりと見ることができた。これじゃまるで洞窟自体がうっすらと光っているみたいだった。ダンジョンに入ってすぐに入ってきた情報だけでもここがどれだけ異様かを表していた。


「よし、行くか」


金属バットを片手に握りしめて俺はダンジョンの中へと進んでいく。ぱっと見中には誰にいないし、何もないが奥にはお宝や敵がいるかも知れない。俺は注意を払いながら奥へと進んでいった。

進むこと数分、歩いてきたが特に何かと出会ってはいない。でもまあ入ってすぐに塞がれている洞窟ってことはないらしい。来た道を振り返るがとくに変わったことはない。そのまま進むか、と思って前を見た瞬間、そこには緑色の肌をした動く物体があった。


「お」


よく見るとそれは物語でゴブリンとして描かれている生き物にそっくりな存在がそこにいた。肌は全身緑色で股は擦り切れた布で守られている。手には何も持っておらず素手だった。そいつはトコトコと俺の前を歩いてきて、俺との距離は3メートルほどある。まだ相手は俺に気付いていない様子だった。


(ゲームだったら俺がこいつを倒すってことだよな)


今なら先にこちらが存在に気付いているから先制攻撃できる。今までバットで誰かを殴るなんてことはした事が無かったが、こうなれば覚悟を決めるしかない


(よし、、、)


俺はバットを強く握りしめて覚悟を決めた。金属バットを構えて突進していく。


(おおおおおお)


心の中で雄叫びを上げながら俺は金属バットをそのゴブリンの頭めがけてフルスイングした。


ガキンッ


と音がなり、金属バットがゴブリンの頭に直撃する。

ゴブリンは、


「グギャ」


と言いながら倒れ、頭から緑色の血を流している。  


「ハァハァ」


と俺は息を切らしながらフルスイングした金属バットをまだ握りしめていた。強く力み過ぎたせいか手がジンジンする。


「グ、グキャ」


と鳴き声を上げながらゴブリンは頭を手で痛そうに押さえながら立ち上がろうとしている。


(一発だけじゃだめだったか)


俺は止めをさすべく、金属バットをまた構えた。そして、立ち上がろうとしているゴブリンの頭目掛けてもう一度金属バットをスイングした。


「グギャ」


とゴブリンは断末魔のような声を上げると、倒れて動かなくなる。しばらくゴブリンが動かないのをみて


(やったか)


と思った俺は驚くべき光景を見た。なんと倒したゴブリンが光の粒子となって溶けて死体が無くなったのだ。


(いよいよ本格的にゲームの世界みたいだな)

 

俺は心の中でそう思うことしかできなかった。死体が溶けて無くなった後には、小さな赤い結晶が残っていた。それを手で拾いながら俺は


「これってゲームで言うなら魔石ってやつか」


と一人ぼやいた。ゲームの世界のようになったのなら、これは有用なドロップ品に間違いない。俺は魔石をポケットの中に入れた。幸いドロップした魔石はとても小さなものだったので、まだいくつかポケットに入れて持ち帰ることはできそうだった。


「ふぅ」


と一戦闘終えて落ち着いていると、また俺の頭の中に音が響いた。


「ピロリン」


「またこの音か」


なんでこの音が鳴ったのか心当たりは魔物を倒したことしかない。俺はもしかしてと思い、


「ステータス」


と言ってみた。すると、



----------

LV 2

HP 12

MP 10

SP 1


・エキストラスキル

経験値十倍

・スキル

なし

----------


となっており、レベルが上がっている。さっきの頭の中に響いた音はレベルアップを告げるものだったらしい。それにしても俺はまだ魔物を一体しか倒してないのにレベルアップするのはゲームの設定的にどうなのだろうと思ったが、そういや俺は「経験値十倍」を持っているんだった。つまり俺はゴブリンを十体倒した経験値を獲得したのか。それでレベルアップしたと。


「このまま魔物を倒していけば、、、」


どんどんレベルを上げていける。俺はその事実に興奮していた。まるで新作ゲームで裏ワザを見つけた気分だ。


「こうなればどんどん魔物を倒していくぞ」


俺はそう意気込み、さらなる魔物と遭遇するためさらにダンジョンの奥へと進んでいった。

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